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アルゼンチンが経済危機に突入

 ブラジルのメディア15日付によると、アルゼンチンが経済と政治的な危機に陥っています。経済的にはインフレが高進し、国民の10人に4人が貧困になり、政界では大統領と副大統領が権力争いで状況の悪化に拍車がかかっています。

 フェルナンデス大統領は前任経済相の辞任に伴い新経済相を任命しましたが、インフレは一向に収まる気配が見られず、過去12カ月間の累積インフレ率は60%を超えました。インフレ抑制のためアルゼンチン中央銀行は基本金利を年52%に引き上げていますが、さしたる効果は見られないようです。余裕のある人は、ドルを買ってインフレヘッジに走っています。

 最も値上がりしているのは食料品です。インフレの高進で、多くの市民が街頭に出て抗議を始めました。今週、農民たちが高い税率、為替管理、収穫の最中のディーゼル不足に抗議して道路を閉鎖しました。そして数千人の市民が政府の所在地までデモ行進を行ったりと騒然とした雰囲気になっています。

 アルゼンチンのダンテ元生産労働大臣は「今のアルゼンチンは1980年代と似た3桁に近いインフレに突入している。今回の危機は、10年にわたる経済の停滞と無謀な行政によって、社会・経済・金融指標の悪化を招いた」と説明します。こうした中でフェルナンデス大統領とキルチネル副大統領は経済政策を巡って意見が対立し有効な対策が打てず、事態を悪化させるばかりです。

 経済学者は、アルゼンチンの危機はブラジルにも少なからず影響を与えると見ています。「特に観光、自動車部門、金属機械部門、機械部門に影響を与える」と指摘しました。