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ブラジルを舞台に米中5G戦争

 ブラジルメディア20日付報道によると、米国はブラジル政府に、10億米ドル投資することを約束しました。この資金は米国との貿易円滑化、5G携帯電話ネットワーク構築などに向けられます。

 この米国の資金提供は、5G携帯電話ネットワークで中国の技術を採用しないようにブラジルを説得するための材料と見られています。これまでもブラジルと米国は、5Gネットワークを含む数多くの投資協定の署名を行っていますが、米国が最も力を入れているのが5Gネットワークへの資金提供です。

 第5世代のモバイルインターネットである5Gは、4Gの最大10倍の速度で、高速で安定した接続、少ない電力消費などの他、携帯電話、ノートブック、電化製品、車両など複数の電気器具を統合し、利便性は4Gを凌駕します。

 この面で米国と中国は覇を競っており、その一環としブラジルに接近したものです。5G ネットワークの中国の中心にいるのがハーウェイです。カナダは、米国裁判所の要請でハーウェイ創設者の娘を逮捕しました。ハーウェイの関連会社が、米国のの制裁に違反して、イランと取引をした、という容疑です。ハーウェイはそれを否定、創設者の娘も保釈金を支払って出所しています。

 また米国はハーウェイを国家安全保障への脅威と見なし、政府機関による製品の購入を禁止しました。トランプ大統領は、ハーウェイによって開発された5Gネットワ​​ークが中国のスパイによって使用される可能性があると主張しています。特に証拠はありません。

 米国の安全保障のロバート・オブライエン顧問は19日、ブラジルのビジネスマンに「ハーウェイをブラジルが選択した場合、企業や政府からの戦略的情報にアクセスできる可能性がある」と警告しました。これにブラジルのゲデス経済大臣は「アメリカ人と同じように全世界と取引し、常に中国とも取引する。米国とのパートナーシップは地政学や安全保障などの問題だ」と指摘しました。ボルソナロ大統領は「米国の選挙には干渉しないが、トランプを支持する」と語っています。

 ブラジルの中国大使館は、「事実を無視し、一連の嘘を偽造している少数のアメリカの政治家が、ハーウェイの5Gに対して中傷的な攻撃を開始している。中国側は、5Gを含む伝統的な分野と新興分野の両方でパートナーシップを拡大する用意がある」と述べました。