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コロナワクチンで州と政府が対立

 ブラジルメディアによると、中国製ワクチン「コロナバック」を購入するかどうかでサンパウロ州政府と連邦政府が対立しています。保健省は20日、「コロナバック」を4600万回分購入するための交渉を始めると発表しました。ところがボルソナロ大統領が21日、ソーシャルネットワーク上に「中国製ワクチンは購入しない」と書き、交渉の破棄を発表、保健省も「中国ワクチンを購入する意図はない」と修正しました。

 この一連の連邦政府の動きにサンパウロ州ジョアン・ドリア知事は、「ワクチンの評価はどの国が作ったかではなく、有効かどうかで判断すべきだ」と指摘、他の州の知事もこれに同意しています。

 中国製ワクチン「コロナバック」はサンパウロのブタンタン研究所と中国の医薬品会社が協力して開発したもので、現在、第3段階のテストが行われています。パズエロ保健大臣は、27州の知事との会談で、中国ワクチン4600万回分を購入する意向の議定書に署名しています。今回、大統領の一声で、これが破棄されることになり、各州の知事は大統領を非難しています。

 ブラジルでは英国オックスフォード大学にサンパウロ大学が協力して開発中のワクチンもあり、こちらも最終段階のテストが進んでいます。ところが、最近、実験参加中のボランティアが死亡したことが明らかになるなど問題も起きており、「製造国にこだわるべきではない」というドリア知事に賛意の声が強まっています。