中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

「ガソリンが無い!」 市民生活を直撃

 21日から続いている軽油価格の高騰に対するトラック運転手らの抗議行動で、サンパウロ市内のガソリン・スタンド(GS)でもガソリンやアルコールなどが品不足になり、GSにはガソリンを求める市民が列をなしています。これが道路渋滞の原因になり、野菜などの食品が供給不足で価格が高騰、市民生活を直撃する事態です。

 サンパウロ新聞記者が25日、サンパウロ市内を取材で歩いたところ、あるGSでは、店員が数分置きに来る客に「ガソリンは無い。サンパウロにはもう無いのでは」と説明していたと報告し、顧客の中には市内の複数のGSを走り回りガソリンを探しているようだったと記しています。

 サンパウロ市内に住む唐木田(からきだ)光男さん(52、東京)は24日午後、車で外出の用事があったために出先でGSに行くと、同店は1時間前にガソリンもアルコールも売り切れていました。用事終了後、給油しようと6軒のGSを「はしご」しましたが、渋滞で何時給油できるか判らなかったり、売り切れていたりで,結局この日は給油できませんでした。

 日系歌手の西村武さん(34、2世)は24日午後車で、週末のイベントの稽古で東洋街に向かっていました。しかし、GS渋滞の影響で車は約1時間も動けず、その日の稽古を断念せざるを得ませんでした。「普段なら車で30分で行けるところを、1時間半もかかりました」とウンザリしていました。

 市内の東洋街に住む70代の日本人女性は、毎週土曜日に最寄りのフェイラ(青空市場)に野菜などを買いに行くことが多いのですが、26日にフェイラに行ったところ、いつも来ている日系の野菜売りの家族の姿がなく、「白菜やキャベツなど他の店も探しましたが、売り切れで買えませんでした」と嘆いていました。サンパウロ近郊で農業を営む80代の日本人によると、自身の農産物の出荷の影響はあまりないが、ヅットラ街道(サンパウロとリオを結ぶ幹線道路)付近では、「カミヨン(トラック)の列が3~4日も続いている。近くを通ったカミヨンは、シンジカット(組合)関係者に停められて動けない様子だった」と説明していました。

 ロンドニア州ポルト・ベーリョ市に住む田辺俊介さん(70、鹿児島)は「仕事を休む人や、ガソリンが無く学校へ子供を連れていけない親もいますね。グレービ(スト)が終わったとしても平常に戻るまで、10日や15日くらいはかかると思うので、私はガスなどを買い置きしています」と話していました。
f:id:ncb:20180530104751j:plain
 ガソリンが無いことを説明するGSの店員(サンパウロ新聞提供)