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出版社や作家は電子書籍化に疑問符

 地元での報道によると、電子書籍の普及が世界的に進んでいますが、ブラジルでは紙媒体の書籍が根強い人気を誇っています。経済調査院の発表では、2013年度のブラジル国内における書籍の売り上げは合計53億レアルでしたが、電子書籍の売り上げはそのうちの3%に過ぎません。国立図書館でも昨年は1万6564冊の電子書籍を発行しましたが、対前年比でわずか1%強の増加です。
 ブラジルの出版社や作家は電子書籍化に懐疑的な態度を見せています。デジタル業界で有名なダークサイドブックス社でさえ電子書籍は出版していなく、同社のクリスチアーノ・メネゼス代表は「我々は紙媒体の質で勝負したいと思っている。電子書籍は二の次だ」としています。
 作家のラファエル・モンテス氏とカロリナ・ムニョス氏も、著書の売り上げの大半が依然として紙媒体の書籍であることから、電子書籍の有用性は認めながらも、直ちに電子化に走る考えはないようです。モンテス氏は「電子書籍は紙媒体と異なる役割を果たすために存在する。ストーリーを伝える新たな手段としてより相互方向的な物になるだけでなく、画像を加えたり専用アプリで視覚障害を抱える読者に音声で内容を伝えることも可能になる。しかし、電子書籍が紙媒体の販売を上回ることはないだろう」と指摘、時期尚早との考えです。