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ブラジル経由で逃げるイスラム国難民

 地元メディアによると、イスラム国の脅威に晒されているイラクやシリアの人々が、ブラジルを通ってヨーロッパへと避難しています。避難民はトルコまで徒歩で行きブラジル行きの船に乗船、サンパウロに到着した後はバスで仏領ギアナへ行き、その後飛行機でフランスに飛び、最終的にはドイツを目指しています。国連の報告によると、日々数百人もの避難民がこのルートで避難しているとしています。
 この経路は今年1月、キリスト教徒のイラク人16人がブラジルから仏領ギアナに入り、フランスへ向けて出発しようとして国境警察に発見され判明しました。彼らはイラク北部モスルを昨年8月に出発、偽造パスポートを使いギリシャ人を装ってブラジルに入国していました。ブラジルの外務省関係者によると、フランス側は最初に入国したブラジルに避難民を送還することも検討したものの、最終的に仏領ギアナの首都カイエンヌの保護施設に収容することにしたそうです。
 直接ヨーロッパに向かわずブラジルを経由すると1万キロもの長旅になリます。それでもこのルートを利用するのは、ヨーロッパが避難民の受け入れを閉ざしているためです。しかし長旅は危険な上、犯罪組織の手を借りて場合もあり、国連難民高等弁務官事務所のウィリアム・スピンドラー広報官は「ヨーロッパには合法的に避難民を受け入れることを考えてほしい」と要望しています。
 同事務所の最新の統計では2014年にギリシャを出港した避難民はは前年より280%も多い4万3500人で、その60%がシリアまたはイラク人としています。その多くはヨーロッパの中でまだ避難民の受け入れをしているギリシャとイタリアに集中しているため、「他の国も受け入れるべきだ」と同広報官は主張しています。