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拡大を続けるペトロブラス汚職 

グラッサ総裁に疑惑浮上

 地元メディアによると、国営石油会社ペトロブラスの元供給部門役員のベニナ・フォンセカ氏は2008年、同社の供給部門の広報課が他社と結んでいた複数の契約内容に違法性があったことを、当時同氏の直属の上司だったグラッサ・フォステル現ペトロブラス総裁に対して個人的に指摘していたことを明らかにしました。ベニナ氏の証言は22日夜のグローボ局の報道バラエティー番組「ファンタスチコ」で全国に放送されました。この証言は19日にペトロブラスが発表した声明の内容と矛盾しており、今後詳細な調査が必要になりそうです。
 ペトロブラスは19日の声明で、グラッサ総裁が汚職の事実を知らされたのは今年に入ってからだったとしていました。これに対しベニナ氏は同番組内で、「私はグラッサ総裁を個人的にお呼びしてこの問題について話し合い、告発に関する書類は当時ガス・エネルギー部長だったグラッサ総裁の手に渡しました。役員会で契約上の不正は当時から話し合われていたため、グラッサ総裁も当然知っていたはずだ」と指摘しています。
 今月12日にはバロール・エコノミコ紙が、ベニナ氏がグラッサ総裁に送ったとされる電子メールを公開し、供給部門の広報課で不正があったと指摘しています。メールには、ペルナンブコ州にあるアブレウ・エ・リマ社の製油所に関する費用が40億レアルから180億レアルへ跳ね上げられた事や、外国の供給各社との間に結ばれた契約に関する内容が書かれていました。

「娘に恥じない生き方をしたい」と告発

 ベニナ氏は役員として、パウロ・コスタ前供給部長をはじめ社内の他部門の部長級役員や当時のジョゼ・ガブリエリ総裁にも不正を告発したと証言しています。不正疑惑の調査を要求するためパウロ・コスタ氏のオフィスまで相談に出向いた際には、コスタ氏は室内にあったルーラ前大統領(労働者党=PT)の肖像写真を指差した後、社長室の方向を指さしながら「君は誰もかもなぎ倒すつもりかね」と言われたと生々しく証言しています。
 ベニナ氏は告発の動機を「自分の2人の娘たちに対して恥じない生き方をしたいという強い気持ちから」と述べています。同氏は、他にも不正行為を暴くための調査を要求していた役員らがいたことを証言しており、これらの人々と一丸となって告発を続けることの必要性を強調しています。「番組で証言したことで身の危険を感じるが、告発は最後まで続ける」としています。