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日系社会にW杯訪問者歓迎委員会発足

 W杯の開催時には日本から、最低でも約1万人のサポーターと約500人のマスコミ関係者の訪問が予想され、「はるばる日本からやってくる同胞の不安を取り除き、気持ち良く観戦してほしい」と、ブラジル宮城県人会の中沢宏一会長の発案で11日、「COPA2014日本人訪問者歓迎委員会」の準備会が発足しました。ブラジルは治安、物価高(主にレストラン、、ホテル、航空運賃)に見舞われていますが、日本には詳しい状況が伝わらず、訪問予定者の間に不安感が広がっています。同委員会は、そうした不安感を取り除くためのもです。12日に行われた在泊都道府県陣会連合会(県連)代表者会議で計画案が発表され、園田昭憲県連会長をはじめ多くの県人会から賛同を得て準備会が発足しました。中沢会長と共に計画を主導する秋田県人会の川合昭会長によると、(1)安くて安全な宿泊施設の提供(2)安全対策の啓蒙活動(3)ブラジルの情報提供、が同委員会の目的です。
 (1)については、訪問者のうち2〜3割程度の人に経済的余裕がないと予想されることから、日本代表チームのキャンプ地イツー(サンパウロ市から西へ100キロ。全てのものが巨大さで有名な観光地)や試合会場(レシフェナタルクイアバ)付近の地方文協・日本人会館の開放やその他施設を持つ各団体との連携、広間での雑魚寝を含めた各県人会館の宿舎の提供などを考えています。受け入れついては各県の国際交流課に選考を依頼するなどして「不届き者が夜中まで騒いだり、会館使用のマナーが乱れるのを防ぎたい」としています。
 (2)は、旅行社と協力してブラジルの治安の悪さや身を守るための注意点について紹介するパンフレットを作成し、空港や各施設で配布する案が出ています。川合会長は「日本が平和過ぎるお陰で、日本から来た旅行者は周囲に気を配らないため強盗の絶好のターゲットになってしまう。W杯のお祭り騒ぎ的雰囲気も手伝って、さらに油断してしまうかもしれない。危機感を持って安全の確保に努めるよう強く呼び掛けたい」と語りました。
 (3)については、観戦ついでに南米旅行に繰り出すサポーターたちに旅のアドバイスをするほか、日本からの新鮮な情報を取り入れると同時にブラジルの日系社会について知ってもらい、今後の日本とブラジルの交流に役立てたいとしています。
 中沢会長は、「県連だけの事業としてではなく、日系社会全体を巻き込んで活動を展開したい」と話し、近日中に会合を行って具体的な計画を話し合うとともに在サンパウロ総領事館日系企業、旅行会社、サッカー関係者などと協力して歓迎準備にとりかかる予定です。同計画について在聖総領事館の佐野浩明首席領事は、「W杯における旅行者保護の件はブラジルにある他の在外公館とも相談中だが、日系社会全体として訪問者の受け入れ準備を進めるのであればもちろん、総領事館としてもできる限り協力していきたい」とコメントしています。