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日本移民への迫害で謝罪

 地元メディアによると、サンパウロ市議会で10日に開かれたサンパウロ真相究明委員会(Rubens Paiva)の公聴会で、1942〜47年のジェツリオ・バルガス政権下で日本移民に対して行われた迫害についてロザ・カルドーゾ弁護士が、「ブラジル人を代表して謝罪をし、被害者に許しを請いたい。ブラジルのエリートたちは常に人種差別主義者だった」と謝罪しました。
 公聴会の中で、第二次世界大戦直後の46〜47年にサンパウロ州北部海岸地域のアンシエッタ島に強制連行され、島内の収容所で収監された172人の日本移民について触れた謝罪文が読み上げられました。このほか公聴会では、日本移民とその子弟数人が受けた不法収容や拷問のほか、さらにそれによりもたらされた死についての証言が行われました。
 カルドーゾ弁護士によると、ブラジルではエリート層が先住民(インジオ)、黒人、移民らに対する優位性を示すために人種差別が長年にわたり行われてきました。ポルトガル人によるブラジル大陸の発見に続き、インジオの虐殺や奴隷となった黒人への差別が行われてきましたが、そういった時代が終わりを迎えた後で外国からの移民に対する人種差別が公然と行われるようになったそうです。
 公聴会に出席した日系3世のドキュメンタリー映画監督の奥原マリオ氏は、人種差別により拷問などの迫害を受けた日本移民らの証言を紹介しました。証言の一つは、当時19歳だったある青年芸術家が自宅で日本語放送のラジオを聴いていたというだけの理由で家族や友人と共に逮捕されたというもので、当時の過酷な状況が浮かび上がる内容でした。