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ブラジル人コメディアンの日本のビザ取り消し

 地元メディアによると、在サンパウロ日本国総領事館で日本への商用ビザを受給していたブラジル人コメディアンのレオ・リンス氏が、東日本大震災津波をテーマにしたコメディーが原因でビザを取り消されていたことが判りました。リンス氏が約2年前に公演した自作コメディーは東日本大震災の被災地と被災者の映像を織り交ぜたもので、そのビデオが8月末にフェイスブック上の日本在住ブラジル人のページに公開されました。その翌日、「レオ・リンス氏の日本入国阻止嘆願書」が多数の署名入りで総領事館に提出され、2日後には商用ビザが取り消されたということです。
 リンス氏は総領事館からビザ取り消しの理由について「日本で収入を得ることが渡航目的と見なされているため、別の申請が必要となる」と説明されたと話しています。同氏の渡航目的は、レギュラー番組「時すでに遅し(Agora E Tarde)」の収録と日本での公演でした。
 リンス氏は全公演をボランティアで行う旨を明記した書類を作成し総領事館を訪れましたが、再交渉を断られてしまいました。このことで総領事館は「申請者が津波について言及したこととは関係ない」とコメントしていて、リンス氏は「一体どんな渡航理由でビザを申請すれば良いのか知りたい。謎だらけだ」と困惑しています。
 問題視されているコメディーは、日本の地震とブラジルのカーニバルを絡ませてジョークにした作品です。フェイスブックでの公開以来、リンス氏はこのビデオのために「迫害」を受けていると主張し、「家族を失って泣いている人々の前でコメディーをやったわけではないのだから、中傷が目的ではなかった」と弁解しています。
 フェイスブックのページはすでに削除されていますが、リンス氏は自身に向けて送信された脅迫メッセージを保存しており、発信者とビデオの作成者を名誉毀損罪と侮辱罪で訴える準備を整えているそうです。裁判で勝訴すれば得た金額を被災者に寄付するとも述べています。