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リオの貧民街で軍警と麻薬密売人が銃撃戦

 地元メディアによると、リオ市内で24〜25日に2日間にわたり、軍警察と麻薬密輸組織の間で銃撃戦が行われました。この銃撃戦で2人の住民を含め少なくとも10人の死者がでました。住民と現地の非政府団体は、軍警察が民家に踏み込んで容疑者をその場で処刑したと証言していますが、軍警察はそれを否定しています。
 銃撃戦の発端となった場所は、リオ市内のブラジル大通りです。24日午後、値上げ反対デモ行進の参加者らが同大通りを通過する際、周辺の貧民街(ファベーラ)から集団で強盗を働こうとすグループが現れ、デモ隊を監視していた軍警察がこのグループの規制に乗り出し、逃げるグループを逮捕しようと貧民街の中まで追跡しました。その際に麻薬密売人らとの間で銃撃戦になったものです。銃撃戦で軍警察の特殊部隊(Bope)のエジネルソン・ジェロニモ軍曹(42)と住民のエラルド・サントス氏(35)、ジョゼ・エベルトン氏(21)らが死亡しました。
 銃撃戦は翌25日の夕方まで続き、住民は恐怖と不安の一日を過ごしました。さらに地域内の学校、商店街、病院などが閉鎖され、住民の生活にも大きな影響がでました。住民がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上に書き込んだ投稿によると、電気や電話などのサービスが停止している地域もあるそうです。銃撃戦後、軍警察は拳銃、ライフル、マシンガン、手投げ弾などの武器と麻薬類を多数押収しました。

軍警察の即決処刑

 現地で活動しているNGO「レデス・ダ・マレー」の関係者と住民は、銃撃戦で死亡した麻薬密売人の3人は軍警察官による拷問を受けた後、ナイフで殺害されたと証言しています。同NGOのエリアナ・ソウザ代表は、「軍警察は容疑者の家に強行突入して無断で処刑していると聞いた。すぐに現場2カ所を訪問したが、その事実が確認できた。もし彼らが犯人だったとしても、警察の役割は殺すことではなく逮捕することだ」と非難しています。これに対し軍警察は「過剰な武力行使が行われたかどうかを捜査するためには、まずナイフで刺された死体が必要だが、それが無いため確認できない」と答えています。
 事件が起きたところは、15カ所ほどの貧民街が集中している場所で、約13万人の住民が暮らしています。現在は麻薬密輸組織の2組織と民兵組織の1組織が拠点を構え同地域を支配、警察の目が届かない無法状態です。こうした状態を改善するため、今年8月には、平和維持警察部隊の支部が設置される予定になっています。