中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

カルドーゾのルーラ批判に ジルマ大統領が反発

 地元メディアによると、ジルマ大統領は3日、2日付エスタード紙のコラムでフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ元大統領が、ジルマ大統領の政治的指導者とされるルーラ前大統領を批判したのに対し、ルーラ前大統領を擁護する声明を発表しました。問題のコラムのタイトルは「Herança Pesada(重荷になる遺産)」というもので、ルーラ政権時の不適切な政策やメンサロン汚職事件などによる信頼低下がジルマ政権に悪影響を及ぼしていると批判したものです。
 コラムでカルドーゾ氏は「ルーラ政権時の経済成長期にもたらされた余剰財政は、実際に必要とされていた事業ではなく支持率アップを狙った公務員昇給や融資拡大などにとどまった」と指摘し、不必要な公共事業として、国内の造船所における石油タンカー製造事業を挙げています。ルーラ前大統領は当時、1隻目の完成式典スピーチでブラジルの成長を称賛しましたが、多額の投資に伴った利益を計上できず、無駄な事業だったとしています。
 これに対しジルマ大統領は声明文で「ルーラ前大統領から引き継いだのは大変貴重な財産だ」とカルドーゾ氏の批判を一蹴、返す刀でカルドーゾ政権当時に発生した国際通貨基金への410億レアルの債務と大規模停電危機(アパゴン)について言及、「私の手に渡ったのは、IMFに対して莫大な債務を背負った国でもなく、大停電寸前の状態にある国でもなかった」と皮肉を込め反論しています。
 ジルマ大統領は、ルーラ政権後のブラジル情勢についても触れ、「着実に成長する経済、インフレ対策、インフラ整備への継続的な投資、記録的な外貨準備高を実現した国家だ」と述べ、ルーラ前大統領の政策によってこれが実現していると強調しました。