中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

厚生省、腸移植手術を認可

 ブラジル厚生省は10日、世界でも例が少ない腸の移植手術を試験的に認可しました。サンパウロ市のクリニカス病院とUSP付属病院で、来年初頭から実施される見通しです。腸疾患のうち移植が必要な患者は、確率で言うと100万人に1〜3人と少なく、その7割を未成年が占めます。手術は技術的に難しく、幼児の場合は成長に支障をきたしたり、感染症で死に至る危険も指摘されています。米国などでは認可されているものの、ブラジル国内では60年代に2例があるのみで、その手術後は禁止されていました。
 医療技術が進んだ今日、世界には約500の手術例があり、1年後の生存率も75%に達したとされていることから、厚生省は試験的な認可に踏み切りました。ただ専門家の中には、拒絶反応を抑える多量の免疫抑制剤による副作用や、感染症を懸念する声が少なくありません。
 手術費は20万レアル(約1000万円)と高額ですが、厚生省が認可したため、統一医療保険システムの適用が可能となり、患者の負担はいくらか軽減されます。