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元サンパウロ新聞記者「国会議員になった隠れキリシタン」を刊行

 ブラジルで20年の議員生活を送り、大臣就任も近いと言われながら交通事故で非業の最期を遂げた日系二世、平田進氏の足跡を丹念に調査、その生き様を浮き彫りにした本が出版されました。著者は元サンパウロ新聞記者の高橋哲朗氏。書名は「国会議員になった隠れキリシタン」。副題に「時代に翻弄された日系二世の肖像」とあります。発売元は沖縄探見社。価格は1470円(税込み)。以下は、サンパウロ新聞に掲載された紹介記事です。

 「国会議員になった隠れキリシタン」は9章で構成されている。最初に平田の両親が生まれた福岡県大刀洗町の今村について記述、そこが「隠れキリシタンの里」であったことに触れ、住民たちは理想郷を求めてブラジルに移住したと書く。彼らは移住後も強い結束力を保ち、教会を建て、日本人学校を設立した。移住地におけるこの教育に対する熱心さが、平田という人間を形成した、と著者は指摘する。
 平田の青年時代は、日本とブラジルでナショナリズムが燃えさかっていた時代で、日本人からもブラジル人からも「敵性外国人」と呼ばれた時代。こうした時代を駆け抜けた平田は大学を卒業後、弁護士でありながらも、日本にもブラジルにも偏ることのない自分の考えを貫き通すため、政治家への道を歩んだと著者は述べ、平田の心情を分析する。
 二世たちの多くは、自分は日本人なのか、ブラジル人なのか、といった曖昧な存在に悩むことが少なくない。平田も同じことで悩んだが、著者によれば平田は「ブラジルで生まれたことも、両親が日本人であることも同時に誇れる生き方をしたい」と考えていたとしている。この本は、平田進という二世を通してブラジル移民を語り、二世たちの心の中を読み解いた上質の移民史といえそうだ。
 同書を購入希望の方は、下記へ申し込むこと。
 沖縄探見社:沖縄県那覇市安里110―9―405
 Eメール:brazilcat@okinawatanken.ecnet.jp