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黄熱病予防接種で2人死亡

 黄熱病患者の発生で注目を集めているサンパウロ州ピラジュ市(サンパウロ市から約300キロ)で、厚生省が住民に勧めている黄熱病の予防接種を受け、2人の男性が死亡し、関係者に衝撃を与えています。これまでに黄熱病の死者はサンパウロ州で8人、リオ・グランデ・ド・スール州で6人。厚生省や両州保健局では、黄熱病の予防にはワクチンの接種しかないだけに、今回の死亡事件に戸惑っています。ただ、調べによると2人は健康体ではなく、一度は予防接種を断られていたこともあり、特異なケースではないかと見られています。
 死亡したのは、グスタボ・デバル(30)さんとサウロ・デバル(34)さん兄弟。感染率の高い河岸の森林近くに住む2人は、感染を恐れて予防摂取を希望しましたが、後天性免疫不全症候群の「アジソン病」に罹っていたため、保健所では予防接種を断わりました。困った2人はかかりつけの主治医に相談し、ピラジュ市疫病監視センターでの接種許可を取り付けた。接種を施した市疫病監視センターでも2人の疾患を知って断ったものの、兄弟からの強い希望で接種に踏み切ったそうです。ところが接種後、兄弟は強い拒絶反応を起こし、体内の抵抗力が低下して死亡しました。
 市疫病監視センターのネイデ・シルベストレ主任は、兄弟は既に黄熱病に感染していた可能性もあるとして、TCR検査などを実施しています。ピラジュ市ではこれまでに、7人の黄熱病感染死者が出ており、感染経路についての調査が行なわれています。