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中国のエンジン工場買収にブラジルが狼狽

 ブラジル横文字紙の報道によると、中国のリファン・グループが、パラナ州で操業中のトリテック・モーターズ買収に食指を動かしているそうです。同社はダイムラー・クライスラーBMWが5億ドルを投じて創立したブラジルのシンボル会社。ブラジル政府の意向もあり、商談は保留となっています。
 同社は、ブラジルのエンジン生産技術の粋を結集した輸出専用のモデル工場。中国は同工場を解体し、設備と生産技術を中国へ移転することを考えているといいます。もしこれが実現すれば、500人の従業員が失職し、2億5000万ドルの輸出が消滅することになります。ブラジル政府は、この商談を企業合併や買収における侵略行為とみており、安全保障と失業、国家主権が発展する中国に脅かされていると考えているようです。自由貿易市場の中に砦を築きつつあるブラジルは、中国による経済戦略にも似た行為に狼狽しているというのが現状です。
 トリテック・モーターズの買収は民間企業間の問題でり、政府が介入する余地はないと見られ、今後、この種の買収話はひんぱんに起こることが予想され、政府は何らかの対策を立てる必要を痛感しているそうです。
 これに対し中国政府の見方は、同買収は党の方針に合致し、ブラジル政府とも友好関係を築くチャンスを生み出す一石二鳥の商談としているそうで、ブラジルの安全保障に抵触しないし、国家主権も損なわず、ブラジルの誇りをなんら傷つけもしないという態度です。