中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

犯罪集団の報復攻撃が続く

 地元メディアによると、北東部セアラー州フォルタレーザ都市圏で7月下旬から発生している市バス車両への放火や公共施設の破壊行為が、始まってから5日経っても止む気配が見えません。これまでに16台のバスが放火され、16カ所の公共施設が破損しています。セアラー州公共保安局は一連の事件を、犯罪行為に関与した疑いで軍警察が犯罪組織幹部3人を射殺したことに対する報復、と見ています。

容疑者8人を拘束

 報復行動はマイクロバスへの放火や警察署敷地に手製の発火物を投げ込む、政府関係建物に銃撃を行うなど悪質なものです。これまでに16台のバス、警察署に駐車していた車両6台が破損しました。

 警察は、報復行動に関与した疑いで8人を拘束しました。市内のバス車両への放火、財務省建物に対する銃撃に関与した疑いです。容疑者宅からは、弾薬や麻薬、ガソリン容器が押収されています。

上期の中古車販売は微増

 国内メディアによると、初登録から3年未満の中古車販売台数が落ち込んでいます。全国自動車ディーラー協会連盟の調査では、2018年上半期(1~6月)の中古車全体の販売台数は680万台、対前年同期比で1.1%増とわずかに増加しました。ただ、中古車の中で最も年式の新しい初登録から3年未満の中古車販売台数は50.9%減少し、17年上半期の半分にも届かない137万台にとどまっています。

 初登録から4~8年の中古車は273万台と対前年同期比で32%上回り、9~12年の中古車も120万台と対前年同期比72%増加しています。13年以上経過の中古車も対前年同期比29%増と好結果です。一方、全国自動車販売業者連盟のデータでは、今年上半期の中古車の販売台数は、乗用車と軽商用車、トラック、バスを合わせて529万台、対前年同期比で0.79%増でした。

農業は3.4%の成長

 サンパウロ大学農学部ルイス・デ・ケイロス校先端的応用経済研究センターが26日、2018年の農業総生産額は農産業活動の活性化で対前年比3.4%拡大するとの予想を発表しました。各メディアが報じています。農業の産出高は、国内総生産の20%以上を占めています。

 農業ビジネスの今年の成長率は、大豆やトウモロコシをはじめとする様々な作物が過去最高の収穫で7.6%も伸びた昨年と比べ鈍化する予想です。同センターは、今年5月のトラック運転手ストの影響で大きく下振れしそうなブラジル経済全体の成長よりも、農業の落ち込みは小さいと見ています。ブラジル中央銀行の調査では、18年の経済成長率は1.5%としています。

 同センターは、大豆の収穫量は大幅に増えるが、トウモロコシ、オレンジ、サトウキビなどの収穫量が落ち込み、農業全体としての伸びが鈍化するとしています。ブラジル農業・畜産連合と同センターの共同調査では、農産業全体の収穫量は増大し、農業は回復基調にあると結論しています。同センターの研究員は、「こうした様々な役務や輸送、金融サービスが経済に好影響を与える」と語っています。

日本祭りに21万5千人来場

 ブラジル日本都道府県人会連合会(県連、山田康夫会長)主催の「第21回日本祭り(市川利雄実行委員長)」が20日から22日まで、サンパウロ市の「サンパウロ・エキスポ・センター」で開催され、過去最高の約21万5000人(主催者発表)が訪れました。「移民110周年」をテーマに各都道府県の郷土料理が楽しめる「郷土食広場」やジェトロの物産見本市、農林水産省筑波大学、日系進出企業のブースも観客で溢れました。

 ジェトロ・ブースでは各県の物産品26品の試食・試飲品を提供し、ジェトロは「思ったより多くの人に来てもらえた」と好調な客の出足に喜んでいました。農林水産省のブースでは、「お弁当」をテーマにした講演や利き酒の説明が行われ、農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課担当者は「日系社会の食文化だけではなく、本来の日本食文化を知ってもらった」と講演の成果に満足そうでした。

 カワサキ・モトレス・ド・ブラジルは、超人気モデルのクラシック・バイクを踏襲した新作Z900RSを発売しました。同社は「普段は触れることのないレジャーバイクに触れてもらった。販売よりも日系企業がブラジルでやっていることを知って欲しかった」と話していました。

郷土食広場

 京都府人会を除く46都道府県人会が各県の郷土料理を販売し、来場者の舌を楽しませました。県人会の厨房には婦人部、青年部を中心に会員がボランティアで参加、料理作りに汗を流しました。遠方から参加したボランティアもいて、ブラジル各地から集まって祭りを盛り上げる行事になったことを覗わせました。福島県人会は本格的な喜多方ラーメンの販売に汗を流し、高知県人会ブースには名産のかつおのたたきを求める人で長い列が出来ました。

眞子さまも日本祭りをご視察

 眞子さまは21日、「ブラジル日本移民110周年記念式典(菊地義治実行委員長)」ご臨席の後、日本祭り会場を訪問になり、会場内を歩き並べられた料理をご覧になりました。各都道府県人会の会長が、眞子さまご来場を歓迎しました
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盛況だった日本祭り会場(サンパウロ新聞提供)

中国系企業の投資4倍増

 企画開発行政管理省の発表によると、2018年上半期(1~6月)に中国系企業がブラジル国内に投資した額が13億4300万ドルに上りました。これは17年上半期の3億290万ドルの4.4倍になります。各メディアが報じています。

 中国企業各社は昨年の4倍以上の投資をしていますが、同省によると、「これでも中国企業ミシェル・テメル大統領の後を引き継ぐ新大統領が決まるまで、投資を抑制している」と話しています。また、「中国企業各社は、投資について秘密にする傾向にあり、この先驚くべき発表が行われる可能性がある」と指摘しています。

 一方、18年上半期の中国からの投資額は、17年上半期の2億8646万ドルを大きく下回る1億9887万ドルにとどまっています。これについて同省は、「中国が投資する予定だった水力発電所の施設更新や水処理システムの保守を行う企業の買収については確認されていない」としており、これが明らかになれば投資額は多くなる可能性もあります。

ペンギン108羽 の死がいを発見

 国内メディアによると、ブラジル南部サンタ・カタリーナ州フロリアノーポリス市の海岸で23日、108羽のペンギンの死がいが見つかりました。野生動物の支援活動を行っている非政府組織「R3アニマル(R3 ANIMAL)」の発表です。ペンギンの死因は調査中で、漁網に引っかかった可能性が疑われています。サントス湾海岸監視プロジェクトも今年7月1日以降、サンタ・カタリーナ州内で289羽のペンギンの死がいを発見しています。

 R3アニマルがペンギンの死がいを発見したのは、18体が同市内サンタ・カタリーナ島北部のカショエイラ・ド・ボン・ジェズス海岸、10体は同じくイングレーゼス海岸、80体は同島北部エリアに近い海上でした。3羽は生きた状態で救助されましたが、衰弱で救助後に死亡しました。ペンギンに目立った外傷はありませんでした。

 ペンギンはこの時期、繁殖地であるアルゼンチン・パタゴニアを離れて北に向かいます。サントス湾海岸監視プロジェクトは、「このところの2、3週間、非常に多くのペンギンが現れた。毎年この時期に多くのペンギンが現れるのは普通のことで、死因は漁網に絡まったか、長い距離を泳いだことによる衰弱も考えられる」としています。

眞子さま、パラナ州日本移民記念式典にご出席

 眞子さは20日、マリンガ市で行われたパラナ州日本移民110周年記念祭(西森ルイス祭典実行委員長)の「EXPO・IMIN110」をご視察後、年記念式典に出席されました。眞子さまは式典で、「皆様が歩んでこられた長い道のりに思いを馳せるとともに、その歴史が未来を担う世代にも大切に引き継がれていきますことを願っております」と「お言葉」を述べられました。同式典にはパラナ州各地から1万2000人(主催者発表)が参加しました。

パラナ州日系代表とご懇談

 眞子さまはリンガ市のホテルで各地日系人団体と代表者と会われると共に、マリンガ文化体育協会で行われた昼食会に臨まれました。懇談会場では西森ルイス連邦下院議員夫妻、シーダ・ボルゲッティ・パラナ州知事らの出迎えを受け、展示物などをご覧になった後、イペーの木を植樹されました。ご懇談での眞子さまは、全体に淡い緑を基調に黄色や緑、青や白の花柄がプリントされた華やかなドレスに身を包み、首元にはパールのネックレス、耳元には同色のイヤリングを着けたファッションでした。

 昼食会には400人が参加。眞子さまはごあいさつで、「3年前に両親が訪れたマリンガで、このような歓迎昼食会を開催していただき、誠にありがたい」と述べられました。

 昼食会で眞子さまを先導をした1世の植田憲司さん(91、福島)は、「マリンガ文化体育協会にはおじいさまの天皇陛下がまだ皇太子殿下の頃にお見えになり、秋篠宮殿下ご夫妻もお見えになった。そして孫の眞子さまもお見えになり、本当に光栄なこと」と誇らしげに語っていました。

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昼食会場に到着された眞子さまサンパウロ新聞提供)

リベルダーデ広場の名称が「日本リベルダーデ広場」に決定

 リベルダーデ文化福祉協会(ACAL、池崎博文会長)がサンパウロ市と交渉を進めていた東洋街のリベルダーデ広場名称変更が18日、ブルーノ・コーバス市長が署名を行い、「日本リベルダーデ広場(Praça da Liberdade-Japão プラッサ ダ リベルダージ ジャヤポン)」になることが正式に決定しました。

 リベルダーデ文化福祉協会の小川彰夫理事は、「眞子さまサンパウロに来られる前に決まってよかった。移民110周年のイベントの中でも歴史に残る快挙」と語り、名称変更に尽力した池崎会長を称えました。

 当初は地下鉄リベルダーデ駅とサンジョアキン駅に「東京」「大阪」の名称を付けるという案もありましたが、「日本には47都道府県があり、特定の県の名前だけを付けるのは問題」という意見も出て、今回は「日本リベルダーデ広場」に落着しました。

 時期を見て、同広場で名称変更の祝賀行事が行われる予定です。

麻疹感染677人 多いのはロライマ、アマゾナス両州

 国内メディアによると、保健省が18日、麻疹(はしか)感染の報告書を公表、17日までに6州で677件の感染が確認されました。感染者の大部分は北部アマゾナス州ロライマ州の在住者です。麻疹の感染例は最近はありませんでしたが、2月に1人目の患者が確認されてから、感染者が増加しています。

 両州以外のリオ・デ・ジャネイロ州(7件)、リオ・グランデ・ド・スル州(8件)、ロンドニア州サンパウロ州(各1件)でも感染者が確認されています。このほか全国で2724件が疑わしいとして調査中です。

 保健省は、ロライマ州アマゾナス州での流行は国外から持ち込まれたウィルスが原因と見ています。同省では流行を食い止めるのは問題ないとしていますが、そのためにはワクチン接種が重要と指摘しています。

国士舘大学舘長が移民110周年で訪問

 昨年創立100周年を迎えた国士舘大学の柴田徳文舘長がブラジル日本移民110周年記念式典出席のためブラジルを訪問しています。柴田舘長は17日から26日まで滞在、ブラジル日本語センター、文協、アリアンサ、国士舘スポーツセンターを訪問のほか、アマゾンのベレンも訪問予定です。

 同大とブラジルとの関係は戦前まで遡ります。1930年、国士舘の理事を務めていた上塚司が、アマゾン開拓の中堅指導者育成のため「国士舘高等拓殖学校」を設立、翌31年から34年まで「高拓生」と呼ばれる日本移民を送り出し、彼らはアマゾン河流域でジュート(黄麻)栽培に取り組み成功しました。この成功でブラジルはジュート輸入国から輸出国へと変貌し、「高拓生」の大きな功績とされています。

 戦後になり同大はアマゾン移民50周年(1979年)に慶祝団を派遣し、高拓生と面会し慰労しています。当時の舘長は梵天(ぼんてん)氏(故人)で柴田舘長も同行していました。ここで柴田館長は高拓生から、「自分の子孫が日本人じゃなくなっていく」と言われたことに衝撃を受け、日本文化の継承を手伝おうと、サンパウロに「国士舘大学協会」を設立し、翌80年にはベレンにも「パラー国士舘大学協会」を立ち上げ、空手や剣道を教育する武道場を設けました。

 同大とブラジルの長い関係から柴田舘長は、日系社会が直面している日本語教育問題についても関心を示し、「日本語教育を目的とした人材育成学部を創設して10年以上が経った。ブラジルでの(日本語教師の)必要性を(同学部の)生徒に伝えたい」と協力を表明しました。