中南米の最新情報

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鳩にエサ・保護は罰金= サンパウロ市=

 地元メディアによると、サンパウロ市内でハトにエサを与えたり、保護すると罰金が科せられることになりました。同市が7日付の官報で告知したもので、同市内でハトにエサを与えている現場を目撃され、「現行犯」が明瞭な場合、市当局から200レアルの罰金が科せられます。同法令は5月3日にサンパウロ市議会で可決されていました。

 同法令は、道路や公共の場でハトのエサを販売することも、ハトを雨風から保護することも禁じています。ハトが「侵入」する不動産を所有している市民は、ハトが羽を休めたり巣を作ったりできないよう網やその他の障害物を設置することも義務づけています。

移動手段を自転車に代えれば経済効果261億円

 地元メディアによると、ブラジル計画分析センターが5日、移動手段を自動車やバスから自転車に換えると健康や経済面で大きな効果があると発表しました。具体的には、移動手段として自転車を利用することで糖尿病、心血管疾患の改善で入院経費3400万レアル(約10億円)を削減することが可能で、サンパウロ市経済に8億7000万レアル(約261億円)の波及効果があると推計しています。

 同センターは、50歳以下の人が午前6時から午後8時の間に行う最大8キロメートルの移動に自転車を利用するとして研究を行い、「人々がより早く各々の職場へ移動すると生産性が向上」、自転車でも可能な移動を全て自転車に代えると、自動車やバスの交通量が大幅に減少し、二酸化炭素の排出量を18%削減すると指摘しています。

 同センターは、サンパウロ市内の自転車利用者の75%は3年以上前から自転車を日々の主な移動手段として使っている、と話しています。

心理学を学ぶ学生が増加

 エスタード紙によると、2016年度に心理学課程へ入学した学生が12年と比べ25.8%増加しています。高等教育実態調査で判ったもので、心理学の増加率は法学(14.5%増)や工学(19.7%増)、教育(19.7%増)、経営学(17.2%減)をかなり上回っています。これまでの人気は工学部や医学部、法学部でした。

 同部門の専門家は、心理学を選ぶ若者が増えている状況について、「政治的、経済的、社会的問題を抱えている国内の混乱した状況の反映だ」という見方をしています。続けて「高校によっては行動や感情の問題を論じるのをオープンにする傾向があり、この変化が同分野への関心を高めている」との可能性を指摘しました。サンパウロ市南部のサンタ・マリア高校では、心理学が3年生の間で人気のコースになり、129人の生徒のうち29人が心理学者になることを希望しています。

 ポルトガルの授業でいじめに関するドキュメンタリーを鑑賞した後、心理学を学ぶことにしたという16歳の女子生徒は、「そのドキュメンタリーでは、私たちが自然だと思っている行動に疑問を提示していた。私たちの行動を分析し、行動がどのように形作られ、どのような意味を持つのかを教えられ、傾倒するようになった」と話しています。別の女子生徒も、「どのような思いが働き、それがどう影響して私たちが行動を行っているのかを学ぶのは、非常に魅力的だ」と語っています。

菜食主義者が14%に増加

 エスタード紙など国内メディアによると、調査会社Ibope(ブラジル世論調査・統計機関)インテリジェンシアが今年4月に実施した調査で、16歳以上のブラジル国民の14%が菜食主義者だと判りました。ブラジルの人口で計算してみると、約2900万人になります。

 同調査は、ブラジル菜食主義協会の依頼を受けたIbopeが北東部を除く国内各地方の州都、都市周縁部の計142市2000人を対象に行いました。完全な菜食主義者と答えたのは8%、部分的な菜食主義者と答えたのは6%でした。サンパウロクリチバレシフェリオ・デ・ジャネイロの各都市圏では、菜食主義と答えた割合は16%に上りました。2011年の調査では、菜食主義者と答えたのは8%(約1520万人に相当)でした。

 菜食主義者の増加傾向は、別の調査でも同様の傾向が認められます。南部と南東部、北東部のサルバドール、レシフェフォルタレーザ各市、ブラジリアの州都圏で菜食主義者と答えた人(18歳から75歳)は、12年の8%から17年には12%に増加しています。

 ブラジル菜食主義協会のコーディネーターは、「特定の限られたグループではなく、現在では普通の家族の中に菜食主義者がいる」と述べています。同氏は「厳格な菜食主義ではないにしても、菜食を心がけていれば菜食主義といえる」と指摘しています。最近菜食主義者になったデザイナーの女性(38)は6年前の検査で鉄分が多いと指摘され、医師の勧めで野菜を食べるようになりました。女性は「夫が肉をよく食べることから再び肉を食べるようになったが、2015年に再び野菜中心の食事にした」と話しています。

 マット・グロッソ連邦大学社会政治学部のジュリアナ・アボニジオ教授は、「これまでは宗教的な理由による菜食主義が多かったが、現在では環境や健康、動物保護等を考えて菜食を始めた人が増えている」と説明しています。

大都市の喫煙者は減少傾向

 保健省は30日、31日の世界禁煙デーに先立ち国民の喫煙習慣に関するVigitel(電話調査による慢性疾患の危険要因および予防の監視)の調査結果を発表しました。調査によれば、国内の喫煙者は2017年の州都成人人口に占める喫煙者の割合は10.1%で、11年前より約36%減と減少傾向が続いています。その一方、喫煙率が上昇している年齢層もあります。地元メディアが報じています。

 この同調査は慢性疾患の危険要因を特定するのが目的で、国内26州都および連邦直轄区の18歳以上の5万3000人を対象に実施されました。喫煙者の割合10.1%は約2000万人に相当します。初めて実施された2006年の調査では15.7%でした。喫煙者は減少傾向にあるものの、過去3年間の減少ペースは遅々としています。2016年、成人の喫煙率は10.2%で、2017年調査と大きな変化がありませんでした。

 年齢層を見ると、2017年の喫煙率が前年から増加している層もあります。18~24歳では、2016年には7.4%でしたが、2017年には8.5%に増加しています。35~44歳の年齢層でも増加しており、2016年の10%から2017年には11.7%になっています。男女別では女性(7.5%)よりも男性(13.2%)が多く、就学年数別では12年(中等教育修了)未満のグループは13.2%で、12年以上のグループ(7.4%)よりも高くなっています。

 州都の中で最も喫煙率が高いのはパラナ州クリチバ市の15.6%で、サンパウロ(14.2%)、リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ(12.5%)と続き、最も低かったのはバイーア州サルバドール市の4.1%でした。保健省は喫煙率の低下について、「最低販売価格の上昇や閉め切られた場所での喫煙を禁止する法律が寄与した」との見方をしています。

衰退するブラジルの日本語教育

 日・ブラジル国会議員連盟(麻生太郎会長)が衆院第二議員会館でブラジル日本語センター、日下野良武理事長を招き講演会を開きました。講演会で日下野氏はブラジルの日系社会における日本語教育について「停滞から衰退の道をたどり始めている」と強い危機感を示し、日本政府の支援を訴えました。

 日下野氏はブラジル在住36年。サンパウロ新聞の専務を務めたり、ブラジル紹介の著書を出版したり、ブラジル通のジャーナリストとして活動しています。現在はブラジルの日本語教育振興に努力しており、日本語教育の総本山、ブラジル日本語センター理事長の要職にあります。

 講演のテーマは「いま、ブラジルの日系社会が危ない」というもので、日系社会の根幹である日本語教育が揺らいでいる実情を説明しました。「ブラジル移民が最初に作ったのが日本語学校だった」と指摘し、当初はボランティアで、様々な苦労を重ねながらブラジル全土で350校もの日本語学校を作り、日本語教師1200人、学習者は2万3000人に及んだと説明しました。日本の歴史や文化が日系社会でいまに受け継がれているのはこうした移民の努力によるもので、政治、法曹、医学など各界で日本人子弟が活躍しているのは教育に対する移民たちの努力が源泉になっているとしています。「日系社会の文化の根幹は日本語だ」と日下野氏は強調しました。

韓国、中国の語学教育は隆盛

 ところが最近は韓国、中国の進出が顕著で日系社会の存在感が薄れていると懸念、韓国人社会は韓国人学校を作り、中国は孔子学院を有力大学の中に創設、母国文化の普及に力を入れていると指摘します。韓国、中国は言語政策を国家戦略として力を入れているのに、日本は日本語教育の十分な法的整備すら行われていないのが実情だと、日本語教育の不備に言及しました。

 日系社会では、日本語教師が3世、4世の時代になり、日本文化を体験しないまま育った教師が大半といわれます。このため「日本語による日本語教育」では十分な教育が出来なくなっており、今は「外国語による日本語教育」、つまりポルトガル語による日本語教育の時代になっています。JICAや国際交流基金などの支援だけでは不十分で、日本語教育日本語教師の育成に取り組むブラジル日本語センターの運営も資金繰りに追われているのが現状で、日下野氏は「手遅れにならないうちに日本政府の多大な理解、支援を切望する」と講演を締めくくりました。

 講演を聴いた議員からは、「日本語学校を日本文化の発信拠点に」「ブラジル人の日本語教師の養成を」などに理解を示し、後押しする意見が相次ぎました。「どの程度の支援が必要か」と問われた日下野氏は、サンパウロに日本政府が35億円を投じて建設した「ジャパンハウス」の例を挙げ、「日本語教育を恒久的に続けていくには10億円程度が必要だ」と述べ、10億円の基金があれば利息の運用で、日本語教育の振興策が可能になると答えました。

 この講演は16日に行われたものをサンパウロ新聞が1日付で報じたものです。

モールの客足は南東部の州で伸び

 地元メディアによると、ブラジル・ショッピングセンターが先ごろ、全国の4月のショッピングモール来館者数を発表しました。それによると対前年同月比で1.33%、前月比では4.81%増加していました。

 同協会は「客足の増加は景気の回復と継続した成長を続けるショッピングモール業界の好調な現れ」としています。

 地方別で見ると、ブラジル南東部のサンパウロ、リオ両州で対前年同月比2.05%増と大きく客足が伸びました。南部は1.00%増、北東部は0.63%増でした。

軽油を積んだ列車が脱線

 地元メディアによると、軽油を輸送していた貨物列車が29日、サンパウロ州バウルー市内で脱線しました。この鉄道を運営するコンセッショネア(契約により一定期間、公共サービスの営業権を与えられている民間企業)の職員は脱線を、「妨害行為によるものだ」と話しています。脱線した列車はバウルー市内の業者に渡す予定の軽油65万リットルを積んでいました。

 職員の話では、何者かがレールとレールをつなぐボルトを取り外し、そのためレールが不安定になり、脱線した可能性を指摘しています。

 しかし、鉄道運営会社のコンセッショネアは機関車が脱線したことは認めていますが、破壊行為や妨害行為が原因とは認めていません。同社は、「引き抜かれたボルトは軌道そのものを危うくするものではない。ブラジル技術規格協会(ABNT)の基準には、ボルトがない場合でも安全性を確保するための規定がある。当社は脱線の原因調査を開始したばかりだ」と説明しています。

 鉄道会社は外されたボルトと脱線の因果関係を否定していますが、警察はボルトを取り外した人間を特定するための捜査を始めています。

「ガソリンが無い!」 市民生活を直撃

 21日から続いている軽油価格の高騰に対するトラック運転手らの抗議行動で、サンパウロ市内のガソリン・スタンド(GS)でもガソリンやアルコールなどが品不足になり、GSにはガソリンを求める市民が列をなしています。これが道路渋滞の原因になり、野菜などの食品が供給不足で価格が高騰、市民生活を直撃する事態です。

 サンパウロ新聞記者が25日、サンパウロ市内を取材で歩いたところ、あるGSでは、店員が数分置きに来る客に「ガソリンは無い。サンパウロにはもう無いのでは」と説明していたと報告し、顧客の中には市内の複数のGSを走り回りガソリンを探しているようだったと記しています。

 サンパウロ市内に住む唐木田(からきだ)光男さん(52、東京)は24日午後、車で外出の用事があったために出先でGSに行くと、同店は1時間前にガソリンもアルコールも売り切れていました。用事終了後、給油しようと6軒のGSを「はしご」しましたが、渋滞で何時給油できるか判らなかったり、売り切れていたりで,結局この日は給油できませんでした。

 日系歌手の西村武さん(34、2世)は24日午後車で、週末のイベントの稽古で東洋街に向かっていました。しかし、GS渋滞の影響で車は約1時間も動けず、その日の稽古を断念せざるを得ませんでした。「普段なら車で30分で行けるところを、1時間半もかかりました」とウンザリしていました。

 市内の東洋街に住む70代の日本人女性は、毎週土曜日に最寄りのフェイラ(青空市場)に野菜などを買いに行くことが多いのですが、26日にフェイラに行ったところ、いつも来ている日系の野菜売りの家族の姿がなく、「白菜やキャベツなど他の店も探しましたが、売り切れで買えませんでした」と嘆いていました。サンパウロ近郊で農業を営む80代の日本人によると、自身の農産物の出荷の影響はあまりないが、ヅットラ街道(サンパウロとリオを結ぶ幹線道路)付近では、「カミヨン(トラック)の列が3~4日も続いている。近くを通ったカミヨンは、シンジカット(組合)関係者に停められて動けない様子だった」と説明していました。

 ロンドニア州ポルト・ベーリョ市に住む田辺俊介さん(70、鹿児島)は「仕事を休む人や、ガソリンが無く学校へ子供を連れていけない親もいますね。グレービ(スト)が終わったとしても平常に戻るまで、10日や15日くらいはかかると思うので、私はガスなどを買い置きしています」と話していました。
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 ガソリンが無いことを説明するGSの店員(サンパウロ新聞提供)

運転手ストで密輸ガソリン増加

 地元メディアによると、国税庁と国境警察部隊は24日から25日にかけブラジルのフォス・ド・イグアス市とパラグアイのシウダード・デル・エステ市を結ぶ「友情の橋」税関で、約900リットルの密輸ガソリンを押収しました。ガソリンはパラグアイからブラジルに入国してきたブラジル・ナンバーの車に積まれていました。

 国境警察部隊の調べによると、トラック運転手ストの影響でフォス・ド・イグアス市内のガソリンスタンドに燃料の供給が行われず、23日からブラジルのドライバーが燃料を求めてパラグアイのガソリンスタンドへ向かう人が増加していました。

 ガソリンを不法に持ち込もうとした人は密輸の罪に問われ、1~4年の禁錮刑と罰金が科されます。今回のように現行犯で摘発されると、製品はその場で押収され、商売で密輸したと判れば、密輸品のほか運搬に用いた車両も押収されます。また、ブラジル国内を危険物輸送に適した車両以外で燃料輸送を行うことは交通法によって禁じられており、違反すれば環境犯罪でも処罰されます。