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サンパウロ市電気バス事業に三菱重工と三菱商事が技術供与

 サンパウロ都市圏運輸公社が来年3月ごろから商業運行予定の電気バス「E―bus」開発で、駆動源のリチウム電池、制御システム、充電器の技術をブラジル三菱重工業、ブラジル三菱商事が提供し、サンベルナルド・ド・カンポ市に本社を置くバス車体組立会社Eletra社(ベアトリス・セチ社長)と共同開発をい行ました。この蓄電式大型連結バスの都市交通システムは、世界初の試みです。
 共同事業はマナウスからポルト・アレグレまでのブラジル全大都市交通網へのシステム販売を目的に進められ、とりあえずは完成した電気バスシステムをサンパウロ都市圏運輸公社(保有台数2万台)、サンパウロ市運輸公社(同1万5000台)の保有車両を蓄電式電気バスにどの程度転換させるかが課題になります。
 19日、サンベルナルド・ド・カンポ市の配車場で行われた関係者及びマスコミ向けの電気バス披露式にはEletra社からセチ社長、三菱重工業東京本社から鯨井洋一常務執行役員、ジュランジア・フェルナンデス氏(サンパウロ州交通局長)ら約200人が出席しました。会場で鯨井常務は「バスの動力をディーゼルから電気に移行しようとするサンパウロ州の思いに同意し、環境保護という大きなプロジェクトに参加できたことに誇りを感じる」と明るく語りました。
 Eletra社工場に三菱重工業から技術指導で参加した苔田和孝さんら6人の技術者は、来年3月目標の運行に向け試験走行を重ねています。同電気バスは1日2〜3回、1回5分程度の充電で200キロ走行を予定しています。苔田さんは「世界初の運行システムが本当に商業運行に耐えられるのか、ブラジルの運輸関係者にも注目されています。サンパウロ都市圏運輸公社の連結バス車体の大きさは日本製バスの2倍以上あります。動力源としての電池容量もその分増えました」と苦労の一端を明かしました。写真はサンパウロ新聞。