中南米の最新情報

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富士フイルム製内視鏡導入=サンタ・クルス病院=

 サンパウロ市内にある日系のサンタ・クルス病院(石川レナト理事長)が26日、富士フイルムが独自に開発した内視鏡(ELUXEOTM7000)の導入を発表しました。この導入で、人体内部を細かく観察、早期に腫瘍(癌)を発見、治療が可能になるとしています。また、同病院を日本医療関係企業とブラジルの医療機関関係者のプラットフォームにしていくとも語りました。

 石川理事長は「サンタ・クルス病院は、この医療機器を用いて早期に病気を発見できるようになる。今後も日本政府の協力を得て、サンタ・クルス病院の技術を高めていく」と感謝の言葉を述べました。サンタ・クルス病院は皇室の協力で、日系人が苦労をして建てた病院です。日本の最先端技術がこの病院で展開されることになります。

 ELUXEOTM7000開発の狙いは、綺麗な画像で人体内部を調べ、早期に病気を見つけることにあります。開発した富士フイルムは「日本を代表するテクノロジーで完成した内視鏡で、ブラジル人の『生活の質』の向上に貢献できれば」と話しています。日本は内視鏡分野で世界をリードする技術先進国で、市場の約9割を占めています。

夢と消えブラジルとの一戦=サッカーW杯ロシア=

 サッカー王国の日系社会はサッカーW杯で決勝進出した日本の活躍に盛り上がりました。30日の日本ーベルギー戦もサンパウロ市東洋街の岩手県人会館でパブリック・ビューイング(PV)が行われ、60人の日系人が勝利を信じて声援を送りました。

 露国ロストフ州ロストフ・ナ・ドヌの会場で行われた決勝T1回戦ベルギー戦は、前半はベルギーの猛攻に遭い、耐え凌ぐ時間が続きました。しかし、日本も細かいパスから大きく展開するなど攻撃の形は出来ていました。後半3分、カウンターから原口元気が先制点を決め、同7分には相手のプレッシャーが遅れたのを乾貴士が見逃さずに右足で蹴り込みました。

 2点のリードに同会館会場では「勝てる。上に行ける」という雰囲気に包まれました。ところが、同24、28分と立て続けに失点、試合は振り出しに。日本が苦手とする空中戦を見据え、ベルギーは高さを重視した選手交代を行い、これが見事に当たってしまいました。後半、日本はアディショナルタイムに失点するという悪夢のような展開で、2―3で惜敗しました。これで日・ブラジル戦は夢と消えました。

 日本代表をPVで応援した和田エリーザさん(55、2世)は「残念でならない。ブラジルと日本の試合が見たかった。(日本代表は)前よりずっと強くなった。一生懸命応援したし、決勝まで行くと信じていた」と無念の想いを滲ませ、鈴木徹さん(55、神奈川)は「めちゃくちゃ残念。(過去の日本代表より)格段に良くなっている」と日本代表を労いました。

日本祭りの来場者目標は20万人

 サンパウロ市の「サンパウロ・エキスポ・センター」で7月20~22日、第21回日本祭り(ブラジル日本都道府県人会連合会主催)が開催されます。今回は移民110周年の記念の年ということもあり、記念式典は21日、会場内の「PISTA APRESENTAÇÕES」で行われる予定です。主催者は「今年は特別な年であり、日本祭り来場者を20万人と見込んでいる」としています。

 記念式典には日本の18県から200人を越える慶祝団が訪れる予定で、ハワイ、アルゼンチン、ペルー、ボリビアパラグアイ、メキシコからも500~600人がお祝いに駆けつけます。日本祭りを主催する同連合会の山田康夫会長は「ブラジルの移民110周年に、こんなにもたくさんの慶祝団が来てくれる。県連はしっかりおもてなしをしたい」と張り切っています。

 同祭の目玉行事は料理のギネス登録で、45県人会から550品の料理が出品され、ギネス登録を目指します。日本祭りは日本食の祭典(各県の郷土料理)として始まったものだけに、各県人会とも出品料理には腕に磨きをかけます。

 この他、ブラジル日本文化福祉協会は写真・物品を展示して移民の歴史紹介し、ジェトロは各企業の協力を得て物産展を行います。会場の舞台では郷土芸能、歌謡、太鼓など各団体が演技します。また場内で、広島県人会は「広島神楽」、沖縄県人会は「獅子舞」、長崎県人会は「龍踊り」を披露します。いずれもブラジル育ちの日系2、3世が中心です。

国内タブレット市場の販売伸びる

 地元メディアによると、IT(情報技術)分野を専門とする調査会社IDCブラジルが今年1~3月のタブレット端末の販売台数は76万8000台で、17年第1四半期より0.1%増加したと発表しました。販売額は4億300万レアル(約120億円)に上り、17年同時期の3億6300万レアルから11.0%増加しています。端末単価も473レアルから525レアルへ11.0%上昇しました。

 IDCブラジルの市場分析担当者は「これまでタブレット端末市場は落ち込んでいたが、台数で0.1%、販売額で11%も伸びたことは市場の好転を思わせる」と分析しています。

 2018年のブラジル国内タブレット端末市場は苦戦が続き、前年比4%減で終わると予想されています。分析担当者は「タブレット各社は、ドル高に合わせ販売価格を見直すなど、戦略の再検討を迫られることになろう」と話しています。

79%がテメル政権を低評価

 国内メディアによると、全国工業連盟がブラジル世論調査・統計機関に委託し6月に実施したテメル政権評価の世論調査の結果が公表され、現政権を「悪い」または「最悪」としたのが79%と判りました。「普通」は16%、「良い」または「最高」と高評価したのは4%でした。今年3月に実施した調査では「悪い」「最悪」は72%でした。

 現政権を信頼すると答えた割合も、前回調査の8%から6%に低下、現政権の残りの期間について「悪い」または「最悪」と考えている割合は67%から74%に増加しています。

 今回の調査は6月21日から24日の期間に実施され、国内128市の2000人から回答を得ています。

W杯日本代表は「前向きなプレーを」

 サッカーW杯ロシア日本代表の決勝トーナメント出場をかけた対ポーランド戦が行われた28日、サンパウロ市東洋街のブラジル日本文化福祉協会ビル地下の「カフェ喜怒哀楽」、同市ベラ・ビスタ区の「ジャパン・ハウス」でパブリック・ビューイングが行われ、両会場とも日本人や日系人の熱気に包まれました。

 日本は「フェアプレーポイント」でセネガルを上回り、なんとか決勝トーナメントに進んだものの、両会場では、日本代表の試合後半の試合態度にブーイングが起きました。各国のマスコミが日本代表に失望する記事を掲載していますが、日系社会でもこの日の日本代表には失望したようです。

「カフェ喜怒哀楽」会場

 日本代表は、後半に時間稼ぎのパス回しで試合会場内で大ブーイングを受けましたが、「カフェ喜怒哀楽」の来店者たちも、この試合運びに納得のいかない様子でした。テレビ画面の前列で日本代表を応援していた小川彰夫さん(75、2世)は首を振りながら、「あんなプレー(後半のパス回しによる時間稼ぎ)を10分も続けては、世界に対して恥ずかしい。僕は反対。負けてもいいから最後まで前向きにプレーしてほしかった。つまんない試合は最悪」と感想を口にしました。

 また、20代の日系2世(男性)も「もっと攻めてほしかった。どうも、しっくりいかない試合ですね」と話していました。中には少数ですが、「まあ、せっかく決勝トーナメントに進んだんだから、次の試合に期待するよ」との声もありました。

「ジャパン・ハウス」会場

 ジャパン・ハウスには約120人が集まり、「にっぽん!」と手拍子で大事な一戦を応援しました。サポーターの大半は日本人で、国歌斉唱では「君が代」を口ずさむ姿も見られました。在サンパウロ日本国総領事館の野口泰総領事は、日本代表に見立てた青いネクタイを締めて声援を送りました。

 会場内は終始盛り上がっていましたが、0−1で敗戦が決まった時は静まり返りました。しかし、日本代表が「フェアプレーポイント」で決勝進出を決めると、明るさを取り戻しました。駐在員の日本人女性(45)は「最後はどうなるかと思った。決勝トーナメントに行けることは快挙。これから強豪と面白い試合を見せてほしい」と日本代表にエールを送りました。

 日本代表のユニフォームを着て応援したマルセル・ミノル・深水さん(42、3世)は「今日はディフェンスが動いていなかった。次戦では大迫選手にゴールを決めてほしい」と期待をにじませました。

政党を「信頼しない」が約8割

 エスタード紙電子版23日付によると、国家科学技術研究所の調査で、政党を「全く信頼していない」と答えた回答者が77.8%を占めました。これまでの調査の中で最も多くなっています。調査は、国家科学技術研究所の民主主義・コミュニケーション民主化研究所が3月15日から23日に実施したもので、25州と連邦直轄区の2500人が対象です。2014年の調査で信頼しないと答えたのは46.4%、06年の調査では36.7%でした。

 同調査では、政党に不信感を抱く有権者が過去4年間で倍増したことが判ります。14年にサンパウロ総合大学公共政策研究センターが同様の方法で実施した調査でも、政党を信頼しないと答えたのは46.6%でした。

 調査の責任者であるオズバルド・アマラル氏(カンピーナス大学公共政策研究センター理事)は、「不信の増加は想像していたが、2014年から2018年にかけての急激な増加は想像していなかった」と述べ、「こうした状況は他国でも起きているが、ブラジルでは汚職事件などで不信感が増したようだ」と指摘しています。

 今回の調査では、いずれの政党にも共感しないと答えた人も83.2%と高く、14年の調査では76.7%でした。

教師になりたい若者が減少

 エスタード紙電子版24日付によると、経済協力開発機構の生徒学習到達度調査報告書「有効な教員政策」で、教師になりたいと考えている生徒が、ブラジルではわずか2.4%だと分かりました。10年前は7.5%でした。同開発機構諸国の平均は4.2%で、こちらも10年前の6%から低下しています。この低下傾向を開発機構は社会的な認識や給料が低く、職業としての魅力に乏しいと分析しています。

 25歳の男性教師は、「高校時代、同級生の多くが医師や弁護士を目指して勉強していたが、生物学を教える教師になりたいと思っていた。その考えにクラスメートや教師は驚いていた」と話しています。この教師は、私立高校の奨学金を受け、その後に生物学と教員資格を修めました。現在は、サンパウロ州沿岸部の市立小学校で、6~7才の生徒を対象に授業を行なっています。「家庭が経済的に豊かでない場合、教師への途は悪い選択ではない。私立学校では、ハイレベルの職業を選ぶよう勧められますがーー」とも語っています。

 同報告書でも、ブラジルでは両親の学歴が低いほど教師希望の児童が多くなっています。小学校のみを卒業した両親を持つ児童の3.4%が教師を希望し、両親が高等教育を修了している児童の教師希望者は、1.8%に過ぎません。

 大学の文学部2年生の学生は、「高校の時に通っていたオートメーション科の技術学校の教師には、教師になるのを勧められなかった。教師は給与が低く、世間の評価も低いためストレスにさらされるという理由からだった」と話しました。この学生も低所得の家庭で育っています。「私の家族は、1人あたりの収入が300レアルの月収で生活していた。ポルトガル語の教師が実施していた文学プロジェクトに参加することで、教師への意欲が高められた。自分が受けたのと同じ援助を他の児童・生徒に与えたい」という意欲を持っています。

企業の9割が2020年まで増収を確信

 コンサルティング会社のデロイトとブラジル投資家関係研究所の調査で、ブラジル企業各社は2020年まで収益増と資産増が続くと考えています。こう回答したブラジル企業は92%にも達しました。さらに回答企業の80%が固定資産の拡大を計画していました。各メディアが20日付で報道しました。

 この調査は、2018年4月から5月にかけトラック運転手のストが起きる前や米中間の貿易戦争の悪化の前に実施されており、ブラジル投資家関係研究所は「企業各社は(調査結果が示すよりも)慎重になっているはずだが、傾向は変わらない」と見ています。

 同調査では、ブラジル企業の59%が15年から17年にかけ、自社の顧客との間で債務再交渉の動きを拡大させていることも分かりました。企業の57%が、この交渉は今後2年間、さらに拡大していくと見ています。今回の調査で企業の97%が自社の不良債権を譲渡していませんでした。ただし、今後2018年から20年にかけては、企業各社は債務を圧縮する方針を立てています。

眞子さまがブラジル各地をご訪問

 宮内庁によると、眞子さまのブラジル訪問日程が7月17日から31日までと決まりました。詳細は次の通りです。

 7月17日に日本を出発され、ドイツ・フランクフルト経由で18日にリオデジャネイロご到着。翌19日、ロンドリーナ市(パラナ州)へ向かわれ、同市到着後ローランジアにご移動、当地のパラナ移民センターを視察されます。ご視察後にマリンガへ移られ、翌20日、当地でのパラナ州日本移民110周年記念式典に出席されます。

 21日にサンパウロに移られ、正午、移民110周年記念式典にご出席になります。22日午前はブラジル日本移民史料館を視察され、午後はカンピーナス市(サンパウロ州)からマリリア市へ向かわれ、プロミッソンで同地入植100周年記念式典に出席されます。

 23日はカフェランジアにある平野移住地を訪問され、アラサツーバでノロエステ日伯文化連合会での昼食会に出席後、カンピーナスを経てサンパウロへ戻られます。24日はマナウス市(アマゾナス州)へ向かわれ、翌25日もご滞在。26日夜にベレン市(パラー州)へ移動され、27日、トメアスー(日本移民が作った町)を訪問されます。同日中にベレンへ戻られ、28日午前にベレンからリオへ向かわれ、リオから日本へご帰国の予定です。