日本人が海外へ雄飛、その150年の足跡を綿密に記録した「年表 移住150年史」(岡野護編著、海外日系新聞放送協会制作、風響社発売,定価5000円)が発行されました。
編著者の岡野さんは、日本人、日系人関係の仕事に学生時代から関わり、仕事の合間に移住関係の出来事を克明に記録してきました。その集大成とも言えるものがこの書籍です。
移住者たちが暮らす国の情勢もめまぐるしく変化し、各国の日系社会も変貌しており、一世たちの減少と共に、隆盛から衰退の道を辿っています。
1978年にブラジルでは日本移民70年祭が華々しく行われ、記念行事の一つとして毎日新聞社主催のシンポジュウムが行われました。ここで「移住者は新世界の建設に参加した人たち」と宣言され、後には「移住者は日本の重要な資産」と定義されました。
こうした認識も時代の流れで希薄になり、日本本国は内政に追われ、海外同胞に目を向ける余裕もなくなっています。
時の流れというものでしょうが、その流れの記録を克明に記したのがこの本です。移民の研究者に限らず、海外に住む日系人・日本人に興味のある方も、手元に備えておきたい一冊です。