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白血病に希望の光が灯る

 地元メディアによると、オズワルド・クルス財団とフルミネンセ国立総合大学の研究者らが、ブラジルの国花であるイペーの樹木から抽出した成分が白血病治療に利用できる可能性があると、ヨーロピアン・ジャーナル医化学誌に発表しました。
 白血病は、幼弱性白血球の異常増殖によって造血・止血機能を阻害される疾患で、「血液のがん」とも言われています。発表によると、正常な細胞に影響を与えずに問題のある白血球のみに作用する3分子を特定、複数の種類の白血病の特効薬になる可能性があると指摘しています。
 今回の研究では他の2物質の細胞核を結合させて生成した各分子を、小児患者に多い急性リンパ性白血病(ALL)2種類とより深刻な症状を発症する急性骨髄性白血病(AML)2種類の合計4種類の白血病でテスト、正常な細胞への影響を最小限に抑えつつがん性白血球に強力に作用することが明らかになったとしています。
 オズワルド・クルス財団でタンパク質・ペプチド生化学研究をするフロリアノ・シルバ・ジュニオール氏は、「細胞核の結合という手法により生成された分子を異なるタイプの白血病に使った研究は今回が初めてだ。白血病は、子供たちに悪影響を及ぼすがんの一つであり、白血病という言葉の裏には多種多様のがんが含まれている」と話し、「キノン(イペーから抽出した天然成分を基に生成された分子)は正常な細胞も攻撃してしまうため、がん細胞のみに作用するトリアゾールと呼ばれる別の分子とキノンを組み合わせることで効果が得られた」としています。完成までは10年以上の歳月が必要のようです。