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「透明人間マント」理論をリオ国立大の研究者が発表

 地元メディアによると、「透明人間になるマント」理論を研究しているリオデジャネイロ国立総合大学(UFRJ)の研究グループが、科学誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に成果を発表しました。発表したのはウィルトン・コルトカンプ、フェリペ・ロザ、フェリペ・ピニェイロ、カルロス・ファリナの4氏で、物体を目に見えなくする物質が既に存在しているばかりでなく、さまざまな周波数の光に対して見えなくする「同調化」を行うことも可能としています。
 数年前までは、物質の不可視化は実現不可能というのが科学者による一般的な見解でした。米SFドラマ「スタートレック」では、宇宙船が装置の下で見えなくなってしまう現象が起こりますが、これを実現するには宇宙船の周囲の空間を曲げて太陽光が当たらないようにする必要があります。しかしそれには現実世界では得ることができないほど莫大なエネルギーが必要です。
 ところが香港科学技術大学が2006年単純な解決方法を提案しました。それはエネルギーを利用して物体の周囲の空間を曲げる代わりに「負の屈折率」という特徴を持つ物質で隠したい物体を包み込むという方法です。マントの役割を果たすこの物質は「メタマテリアル」と呼ばれています。
 リオの研究グループの理論は、対応できる周波数の異なる2種類のメタマテリアルを使って入射光を反射時に互いに打ち消し合わせるという方法で「透明人間マント」が可能となり、「マント」で覆った物体を磁場の中に置いて磁場の強さを調整することにより、打ち消したい光の周波数を選ぶことができるというものです。この調整機能は「同調化」と名付けられ、既存のメタマテリアルでも同調化を行えることを計算により証明しています。
 ただ理論物理学者である彼らは、実験による証明は行わない方針です。ピニェイロ氏は「現在のところ証明を行おうと名乗り出た実験物理学のグループはまだいない」と話しています。