中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ES細胞を使った治験が来年スタート

 地元メディアによると、75歳以上の高齢者30%が罹患し、老年期に起こる失明の原因の90%を占めると言われる網膜黄斑部の疾病「加齢黄斑変性」の治療に向け、胚性幹細胞(ES細胞)を使った治験がサンパウロ国立総合大学と米国の南カリフォルニア大学の合同プロジェクトとして来年スタートします。ミナス・ジェライス州カシャンブ市で21日に開催された実験生物学連盟の年次総会で発表されました。
 同研究の目的は、ある器官に定着させればその器官特有の細胞に発達するES細胞の性質を利用し、病変部に健康な細胞を発達させる治療法の確立にあります。同研究はサンパウロ国立総合大学の眼科患者15人のボランティア患者で行われます。
 プロジェクトを率いる同大学のロドリゴ・ブラント眼科教授はこの研究について、「今回は安全性のみを調べる初歩的な臨床試験だが、効果的な治療法が見つかっていないこの病気の治療に関する期待が高まるだろう」と話す。ヒトが対象となるブラジル国内での治験は、すべて国家研究倫理委員会の承認が必要だが、同プロジェクトの安全性試験は既に承認済みです。その後に計画されている臨床試験については、同委員会の承認待ちになっています。