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電力供給めぐり パラグアイと緊迫

 地元メディアの報道によると、パラグアイのフェデリコ・フランコ新大統領は8日、今後はブラジルとアルゼンチンにイタイプー水力発電所からの電力供給を行わないという方針を示しました。これに対し、ブラジル外務省のトバル・ヌネス報道官は翌9日、「我々はパラグアイにエネルギーを譲渡してもらっているわけではなく、国家予算を投じて購入している」と反論しました。
 フランコ大統領の発言は、パラグアイが供給したエネルギーに見合うだけの対価がまだ支払われていないことに不満を表明した、と受け止められています。
 イタイプー水力発電所はブラジルとパラグアイの共同出資により建設され、1973年に締結された条約の中で各国が50%ずつ電力を使用することが定められています。しかし実際は、パラグアイは同発電所の総発電量のわずか5%しか使用しておらず、ブラジル側の使用量が総発電量の50%を超えているため、超過分に対する電力料金をパラグアイに支払ってきました。ヌネス報道官は、この電力料金が昨年の価格調整によって3倍近くも上昇し、年額7億2900万レアルに達していると指摘しています。
 しかし、フランコ大統領は「もうこれ以上、ブラジルとアルゼンチンに電力を譲渡しない」とわざわざ「譲渡」という言葉を使い、同料金は値上げしても売電ではなく、譲渡に近い料金と不満を表明したものといえます。
 電力供給をめぐり両国関係が緊迫する中、イタイプー発電所のフランクリン・ボシア所長は、「操業が政治的要因に左右されることはなく、ブラジル側への電力供給についても同じことが言える」とコメントしています。