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サンパウロ州内で拡大する麻薬禍

 サンパウロ州議会のクラック及び薬物撲滅対策本部が行った調査によると、違法薬物であるクラックがサンパウロ州内の各都市で、広範囲にわたって普及していることが判明しました。同調査は、サンパウロ州内の全645都市のうち325都市を対象に行われたもので、結果は、クラックが31%を示し、コカインが10%、大麻が9%、合成麻薬が0.59%でした。
 地元メディアによると、クラックの普及率は、人口が5〜10万人規模の都市で特に高く、バレットス市やリベイロン・プレット市ではアルコールと同率の80%を示しています。麻薬常用者の80%は16〜35歳の年齢層で、調査を行った都市のうち79%の都市は麻薬中毒患者を治療する施設を保有していないことも分かりました。
 調査を担当したドニゼッテ・ブラガ州議によると、「サンパウロ州の各都市にはクラックや他の麻薬に関連した中毒患者の治療施設が整っていないばかりか、公的援助も行われていない」と説明しています。麻薬禍が拡大しているサンパウロ州内陸部では、青少年間のクラック蔓延が深刻な問題となっています。病院などの施設で治療を受けているクラック中毒患者のうち3%が、9〜15歳の青少年層という調査結果もあります。
 クラックは煙の形で吸引するように加工したコカインのことで、正式にはクラック・コカインと呼ばれています。コカインは吸引するより喫煙した方が効果は早く表れますが、効き目の持続時間は短いといわれます。