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ブラジルに再進出したIHI

 株式会社IHI(旧・石川島播磨重工業株式会社)のブラジル法人で、同社が持つ広範な総合重工業技術を売る商社的機能を持った「IHI・ド・ブラジル・レプレゼンタソンエス有限会社」(佐伯努社長)の開所式がさきごろ、リオデジャネイロ市のコパカバーナ・パレス・ホテルに招待客170人を集め行われました。開所式には日本側本社から釜和明社長、岩本宏常務執行役員、ブラジル法人を統括する米州IHI株式会社から望月幹夫社長が出席しました。

土光敏夫氏が種まき

 IHIは、今や伝説の企業経営者・土光敏夫氏が社長時代の1954年にリオに進出、「イシブラス造船所」の名前で活躍し、日系社会にとっても馴染みのある企業。80年代にブラジルを襲ったハイパーインフレの餌食となり、1994年、ベロルメ造船所に吸収合併されたのを機に、97年に財務のみを取り扱う管財会社を残してブラジルから撤退しました。
 開所式で生前の土光氏と親交のあったエレゼール・バチスタ元鉱山動力大臣は「IHIがブラジルに帰って来てくれたのは大きな意味がある」と歓迎し、「外国企業が仕事のやりにくい状況だったブラジルで造船業の礎的企業を立ち上げ、それまではブラジルから日本への輸出品として利益の出にくかった鉄鉱石に対して利益の出るシステムを構築してくれた」と土光氏を称えました。

広範な総合重工業技術が売り

 日本本社の釜社長は「今や日本企業は意思決定が遅く、世界から取り残されているのが事実。そのためにも、ブラジル法人は日本ではなく米国に置いた米州地域統括会社からの迅速な意思決定で動ける事業を進める」と語り、ブラジル法人の佐伯社長は「IHIが持っている技術で売れるものは全部売る」と意欲を見せていました。