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JALサンパウロ線廃止?

 現地のサンパウロ新聞が、日本航空の南米路線について東京特派員電で、次のように報じています。下記に紹介します。
 以下同紙から引用───。
 【東京=東京支社】破産した日本航空の再建計画が管財人から「この計画では再建はおぼつかない」と指摘され、見直しを迫られている。この見直しで、30余年にわたって南米の空を飛び続けた日の丸航空機も風前の灯火となってきた。先週末から日本のマスコミ各社は、2010年度中にサンパウロ路線を廃止するというニュースを流している。しかし、日本航空の広報部によると、「まだ何一つ決まってない」と観測報道であると強調した。「日本の翼」がブラジルから消えるのか、その行方を追った。
 日本国内での報道によると、日本航空は銀行団などから再建計画について、2500人ではなく7千人程度のリストラが必要なばかりではなく、路線も国際線が40路線から20路線にまで削減、国内路線も20%の削減が必要とより厳しい案を要求されている。これを受け日航の再建案は、これまでより厳しいものになりそうだ。サンパウロ路線はこれまで、日本航空のプライドをかけて飛ばし続けた路線といわれるだけに、それを廃止することが銀行団に日本航空の再建への熱意を示すことになり、サンパウロ路線の廃止は確実視され始めた。
 日本航空ではサンパウロ新聞の取材に、「まだ何一つ決まってはいない」と話しているものの、日本航空を取り巻く厳しい環境を考えれば、南米路線の廃止は既定路線ということになりそうだ。
 こうした動きに対し、日本とブラジル両国の関係を知悉(ちしつ)する人は、問題は日本政府の考え方だ、と話す。「韓国、中国が対ブラジル関係に力を入れてきているのに、アジアのリーダーを標榜する日本が何の対策も講じ得ないというのはおかしい。日本航空の再建がままならないなら、全日空でも良い、とにかく日の丸の翼を飛ばし続けることが大切なんだ。10年後、20年後のブラジル関係を見据えたら、いまここで南米路線を廃止したら大きな損失だ。金銭的に赤字路線だから廃止するという些末な問題ではない」と指摘する。
 日本における観測では、全日空日本航空を合併、ナショナル・フラッグ・キャリアーを一社体制にする方向が生まれつつある、ともいわれる。『経営の神様』といわれる稲盛和夫会長も日本航空の再建にはお手上げといわれる社内状況で、未だに赤字を垂れ流し続けている。これでは単独の再建は無理という声も小さくない。そこで全日空との合併が視野に上がってきたわけで、南米路線の継続、合併するかどうかは、日本航空再建というより、政治の問題ということになりそうだ。
 ブラジルでは、南米路線を復活したコリアンエアーの活動の活発化、韓国自動車の順調な売れ行き、液晶テレビにおける韓国勢の勢い、どれを見ても韓国パワーが炸裂している。高速鉄道建設プロジェクトでも韓国グループが受注に有利と指摘されており、日本勢の勢いは衰えるばかりだ。
 ここで日本が南米路線から撤退ともなれば、もはや日本は経済大国の名称を返上したのと同じこと。日系社会150万人は「母国もここまで衰退したか」と嘆くことになりそうだ。