中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

商売上手なブラジル大統領

 ブラジルの戦闘機購入をめぐり、フランス、アメリカ、スウェーデン3国が売り込み合戦を繰り広げていますが、さきごろ、スウェーデンが先手必勝とばかりに大胆な行動に出ました。同国国防省のハカン・ジェブレル副長官が、「ラファル(仏戦闘機)の半額」という条件を提示したのです。同時にブラジルが欲している無制限の技術移転についても保障し、資金協力についても示唆するなど至れり尽くせりの売り込み。ハカン副長官は、「ブラジルを取引相手としてでなく、産業開発や航空技術の分野で協力し合える戦略パートナーと捉えている」と語り、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社との航空機共同開発も申し入れています。今後の戦闘機売買交渉に微妙に影響しそうです。
 スウェーデンの最新技術を駆使した戦闘機「グリペン」は、世界でも高い評価を得ているコンピューターが搭載されており、その技術移転はブラジルに大きなメリット。それだけでなく同機は、戦闘・攻撃・偵察を全てこなす多目的仕様で、航続距離などでは他に劣る面もありますが、操縦の容易性と高いコストパフォーマンスを実現していて、捨てがたいものがあるといわれます。
 スウェーデンがこの大胆な提案に踏み切ったのは、ルーラ大統領が去る7日、「仏と購入交渉を開始する」と電撃発表し、米・スの2国に揺さぶりをかけたためです。慌てた米国は、価格を下げたほか、技術移転を「制限付き」から「無制限」に変更してきました。スウェーデンの提示と合わせて、どうやらルーラ大統領の「交渉戦略」が功を奏した形となり、ルーラ大統領はニンマリということのようです。