中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ブラジルなど中南米各国、大麻吸引合法化の動き

 ブラジル国内で大麻を合法化する動きが活発化していますが、ゴイアス州の音楽イベントに出席したミンク環境相が7日、大麻合法化に賛同する個人的見解を示したことで、合法化の動きに拍車がかかってきました。最近になって若者を中心に吸引常習者が増え、14〜30歳人口の約3割が「吸引したことがある」という調査結果も見られます。その普及率の高さから、「合法としては」という声が高まり、これが政界にも及んできたものです。
 大麻合法化のメリットとして、タバコや酒と比べて人体への害が少ないこと、医療目的で使用できること、新たな税収源となること、マフィアの活動資金を断つ、といったことが指摘されています。医療界では、大麻の鎮痛作用や精神高揚効果が注目されており、合法化により同分野での活用も見込める、としています。
 中南米諸国では、コロンビアが薬物の少量保持を認めているほか、8月末にはアルゼンチン最高裁が「マリフアナの少量使用は合法」との判断を下し、少量の個人使用に限って大麻吸引を刑法に問わないことになりました。同月中旬にはメキシコも、大麻、ヘロイン、コカインの少量所持を認めました。メキシコの個人使用の容認は、麻薬対策における限られた予算や要員を組織的薬物犯罪に振り分けた方が良いとする、現実的な判断によるものと見られています。
 2月には、ブラジル、メキシコ、コロンビアの元大統領が合法化を求める声明を発表し、ブラジルのカルドーゾ前大統領も「偏見に基づいた政策の見直しが必要」と、大麻合法化訴えています。
 ブラジルにおける大麻の歴史は古く、16世紀半ばの東北部では、砂糖のプランテーションで奴隷が砂糖と大麻を栽培し、吸引していたという記録も残っています。中南米諸国では合法化する動きが広がっていることから、近くブラジルも、元々吸引していた過去があることを考慮に入れると、大麻合法化に踏み切るのではと予測されています。
 その一方で、大麻の使用は、他の麻薬への入り口となるという意見もあり、合法化には慎重に協議を重ねる必要がある、との声もあります。