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豚インフルエンザ、ブラジルで20人が感染の疑い

 メキシコに端を発した豚インフルエンザは、世界中で次々と感染が確認されており、発端のメキシコでは死者が150人を超えました。ブラジル国内にも影響が出て28日午後の時点で、メキシコから帰国した20人に感染の疑いがもたれています。ブラジル厚生省は感染の疑いのある人の検査を急ぐとともに、同日、国内の医療機関に専用窓口を設置。併せて「健康危機ホットライン」を開設、症状などの相談に対応しています。
 専用窓口が設置されたのは、感染症指定医療機関を含む51の病院。サンパウロ市内ではサンパウロ総合大学付属病院、サンパウロ病院、クリニカス病院、エミリオ・リバス伝染病隔離病棟など。これらの指定医療機関では、インフルエンザの自覚症状が現れてから24〜72時間以内に、鼻水や唾液の臨床検査や血液検査を行い、豚インフルエンザウイルスの有無を調べることにしています。
 拡大している豚インフルエンザウイルスはH1N1型で、1918年のスペイン風邪や、毎年流行するAソ連型ウイルスと同じ仲間。ただ遺伝子のタイプが違い、新型とされています。そのため、このウイルスに免疫を持つ人は少なく、感染すると死に至ることもあるそうです。
 豚インフルエンザの主な症状は、38度を超える急激な発熱、咳、頭痛、関節痛、鼻づまり、倦怠感が見られます。メキシコ以外の感染者は症状が軽く、毒性はそれほど強くないとの見方もありますが、現段階ではハッキリとしたことは分かっていません。世界保健機関は29日、警戒レベルをこれまでの「フェーズ4」から「フェーズ5(大きな集団での感染)」に引き上げました。世界的な大流行を示す「フェーズ6」の一段階手前で、各国は豚インフルの感染押さえ込みに必死になっています。ブラジル連邦政府は治療薬のタミフルを5万4000人分、指定病院に緊急配布する予定。この他政府は900万人分を備蓄しています。