中南米の最新情報

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デング熱がカンピーナス市で猛威

 サンパウロ州内で3番目に人口が多いカンピーナス市(約120万人)で、今年に入ってからデング熱への感染者が1万6445人(5月27日時点)に達しました。カンピーナス市役所が27日に発表、伯字紙が報道しました。カンピーナスは現在、過去3番目のデング熱流行に襲われており、市内の感染者数は1週間で18.2%も増加しています。

 デング熱ネッタイシマカヒトスジシマカという、俗に「ヤブカ」と呼ばれる蚊によって媒介される感染症で、この蚊に刺されるとウイルスに感染します。感染すると、14日程度の潜伏期間を経て発熱や頭痛、筋肉痛、関節痛といった症状に見舞われ、重篤になると死亡の危険性もはらんでいます。

 カンピーナス市保健局は、今年に入ってから92歳と19歳、生後5カ月の3人が、デング熱で死亡したとしています。

正規雇用の純増12.9万人

 経済省が24日に公表した就労者・失業者登録台帳によると、ブラジルの登録雇用(正規雇用)が4月、12万9601人の純増を記録しました。4月としては13年以降で最も高い数字です。就職者は137万4628人、離職者は124万5027人でした。24日付伯字紙の報道です。

 産業別の純増数はサービス業6万6295人、製造業2万479人、建設業1万4067人、農牧業1万3907人、商業1万2291人、官公庁1241人、公共利用サービス産業867人、鉱業454人となっています。また、地域別で見ると、サンパウロリオデジャネイロ両州を抱える南東部で8万1106人と増加したほか、北東部で1万5593人、中西部で1万5240人、南部で1万4570人、北部で3092人増加しました。

フィアット・クライスラーが4800億円投資

 ジャイル・ボルソナロ大統領は23日、フィアット・クライスラー・オートモービルズFCA)が2024年までに、ブラジル国内で160億レアル(約4800億円)の投資を行うとツイッターに投稿しました。23日付伯字紙が報道しています。同社のジョン・エルカーン会長、幹部との会合で明らかにされたボルソナロ大統領は、「同社の歴史の中で最も大きな投資額であり、新たに1万6000人の雇用が創出される」としています。

 大統領の発表を前に同社は22日、ブラジル南東部のエンジン製造工場で3気筒と4気筒のフレックス燃料ターボエンジンの製造を20年末に開始するため、製造ライン設置に5億レアル(約150億円)を投じると発表しています。この投資は同社が同工場に投じる予定の85億レアル(約2550億円)の一部に当たります。

 フィアットが投資で新たに製造するエンジンは、同社が16年中頃から製造している1.0リッター3気筒エンジンと1.3リッター4気筒エンジン(いずれも自然吸気)の新バージョンで、すでに中国で製造されて欧州へ輸出されています。同エンジンはブラジル国内と欧州市場向けに出荷され、欧州へは40万基を輸出するとしています。

経済改革の停滞が低成長の原因

 経済開発協力機構は21日、社会保障や税制といった改革政策の停滞はブラジル経済成長率の鈍化の原因にると指摘しました。これは同機構が発表した研究報告を伯字紙が報道したものです。

 同機構は18年11月の発表で、ブラジル経済の19年成長率をプラス2.1%と予測していましたが、今年3月にはプラス1.9%と修正、最新ではさらにプラス1.4%に引き下げました。この成長率は世界経済全体の19年の成長見通し(プラス3.2%)の半分にもなりません。ちなみに、ブラジルのパウロ・ゲデス経済相は先週の連邦議会予算委員会で、「経済は今、井戸の底にある。19年の経済成長率はプラス1.5%程度だろう」と述べています。

 同機構は、「成長を軌道に乗せるのには社会保障改革が重要。改革実施には議会での合意が必要だが、政党数が多く、合意を得られるかどうかは不確実だ。経済成長は政治的合意が出来るかどうかにかかっている」と述べ、改革が進めば、国内需要が加速し失業率が低下、成長も加速すると指摘しています。

最大小売チェーンの薬局チェーン買収を承認

 日本の公正取引委員会に相当するブラジルの機関、経済防衛行政審議会は20日、2月末に発表されたブラジル国内最大の医薬品小売チェーン「ライア・ドロガジル」による8位の薬局チェーン「ドロガリア・オノフレ」の買収を承認しました。ライア・ドロガジルが発表し、伯字紙が報じました。ライア・ドロガジルの買収は7月1日に完了する予定です。

 ドロガリア・オノフレは、サンパウロ州、リオ州、ミナス・ジェライス州で50店舗を展開しています。同店は1934年にリオ・デ・ジャネイロ州ニローポリス市で創業され、2013年に米国のドラッグストアチェーン「CVS」に買収されました。ドロガリア・オノフレはブラジル国内で最初に医薬品のディスカウント販売を行った薬局チェーンで、99年にはブラジル国内で初めて、インターネットによる医薬品の販売を手がけています。18年の総売上高は4億8000万レアル(約144億円)でした。

FC業界の売上高7%拡大

 15日付伯字紙によると、ブラジルのフランチャイズ業界全体の2019年第1四半期(1~3月)の売上高は18年同時期比7%増の415億レアル(約1兆2450億円)に上りました。また19年3月までの12カ月間の売上高は1775億レアル(約5兆3250億円)になっています。ブラジル・フランチャイジング協会が発表しました。

 同協会代表者は「フランチャイズチェーン各社が3年間に渡って調整したものが効果を現したものと考えている。フランチャイズ業界は効率を求め、スマートなビジネスモデルを開発、販売チャネル、製品ラインアップを図ることで消費者を多様化させてきた」と売上拡大の要因を説明しました。

 同協会のまとめによれば、19年第1四半期には新たに開店したフランチャイズ店舗の数が閉鎖された店舗の数を上回り、ブラジル全体のフランチャイズ店舗数は19年3月末時点で15万6700店舗になっています。今年第1四半期は全ての分野で売上増になり、伸びが目立つのは住まい/建設関係(12.9%増)、自動車関係のサービス(12.7%増)、通信/情報/エレクトロニクス(9.7%増)、その他サービス(9.6%増)、健康/美容/ウェルフェア(9.2%増)、教育サービス(8.1%増)でした。食品関係の売上は2.5%増で、それほどの伸びではありませんでした。

GDP 0.1%縮小=ゼツリオ・ヴァルガス財団=

 17日付伯字紙によると、ゼツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が国内総生産GDP)に関する調査結果を発表しました。それによると、2019年第1四半期(1~3月)のGDPは前期(18年第4四半期)比で0.10%縮小しました。

 14日にはブラジル中央銀行(BCB)が、GDP予測と同様の経済活動指数(IBC-Br)を発表し、19年第1四半期のGDPは前期比0.68%縮小したとしていました。

 GDPの公式なデータは30日、ブラジル地理統計院が発表予定です。ゼツリオ・ヴァルガス財団とブラジル中央銀行予想のように前期比で縮小となった場合、四半期GDPは16年以降で初めてマイナス成長になります。

中国の大豆輸入が減少

 中国によるブラジル産大豆の輸入量が減少しています。海運代理店業のカルゴナヴェ社の発表を15日付伯字紙が報じました。それによると、ブラジルは2019年1~4月に2760万トンの大豆を世界各国に輸出し、この72.8%の2009万トンが中国に向けに輸出されました。18年1~4月にはブラジル大豆輸出量(2974万トン)の77.6%を占める2308万トンが中国向けでした。19年の年初4カ月間では中国向け輸出は減少傾向にあります。

 中国のブラジル産大豆購入の減少は、米国と中国の貿易紛争休戦期間にも関わらず、高い関税でも中国は米国製品購入に走ったことと、中国の家畜伝染病の発生で大量の豚が殺処分され、大豆ミールの消費が減少、中国国内の大豆需要減少の2つが原因と見られています。

銃メーカーの国内売上伸びる

 大統領令で一般の銃器所有が容易になったためか、ブラジルの銃器メーカー「タウルス社」の売り上げが伸びています。14日付伯字紙によると、タウルス社には米国に次ぎ2番目の大市場であるブラジルで、2019年第1四半期(1~3月)の売上高が昨年同時期比で11.5%増加、3590万レアル(約10億円)に上っています。銃器販売数は昨年同時期比13.6%増の2万5000丁にもなりました。同社は「ブランド信頼性の回復が原因」と売上増加を説明しています。

 タウルス社の米国における今年第1四半期の販売数は昨年同期比3.7%増の16万8000丁、売上高は同19.4%増の2億40万レアル(約60億円)に上っています。売上高の増加は主に、レアルがドルに対して平均で17%安くなったことによる為替差益です。他への輸出額は主にフィリピン警察による購入などで、昨年同時期比5.3%増の1330万レアル(約3億9000万円)でした。

ピレリ、ブラジル南部の工場閉鎖

 14日付伯字紙によると、中国化工集団傘下のタイヤメーカー「ピレリ」は13日イタリア・ミラノの本社で、リオ・グランデ・ド・スル州グラヴァタイー市で43年間オートバイ用のタイヤを製造してきた自社工場を閉鎖し、2019~21年の3年間にブラジル国内に1億2000万ユーロ(約147億円)の投資を行うと発表しました。同社は「市場に勢いがなく、結果として工場が十分に活用されていない」と閉鎖理由を語りました。今後、ブラジル国内の各工場再編を促進していきます。

 グラヴァタイー工場で行われているオートバイ用タイヤの生産は21年までに、現在自動車用タイヤの製造を行っているカンピーナス工場(サンパウロ州)に移管されます。グラヴァタイー工場には900人の従業員がおり、工場閉鎖に伴う解雇について今後、労働組合と交渉を開始します。13日まで労働組合は、工場閉鎖を知りませんでした。タイヤの生産が移管されるカンピーナス工場は2000人が働いていますが、21年までに300人を新規雇用する計画です。