中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

4月のインフレ率0.57%

 ブラジル地理統計院10日発表として伯字紙が報じたところでは、4月の物価上昇率は0.57%と前月の0.75%を下回り、物価上昇の減速が明らかになりました。ただ対前年同期比は0.22%の上昇で、4月のインフレ率としては16年以降で最も高くなっています。

 4月の物価上昇は主に保健・パーソナルケア分野(1.51%高)と運輸・交通分野(0.94%高)、飲食料品分野(0.63%高)でした。価格上昇が目立ったのは医薬品(2.25%高)、香水(6.56%高)、医療保険(0.80%高)、航空運賃(5.32%高)、路線バス運賃(0.74%高)、ガソリン(2.66%高)、軽油(1.31%高)などです。飲食料品分野では外食費用(0.64%高)、トマト(28.64%高)、鶏肉(丸鶏、3.32%高)、タマネギ(8.62%高)、肉(0.46%高)が目立っています。

ウォルマート、オンライン販売事業を終了

 世界最大のスーパーマーケットチェーンである米ウォルマートのブラジル法人は10日、国内におけるオンライン販売の終了を発表しました。同社は、「オンラインによる販売は、同社の総売上高のわずかに過ぎなかった」としています。伯字紙が10日付で報じました。

 国際市場調査会社のユーロモニター・インターナショナルによると、2017年時点で世界市場の3.3%を占めているウォルマートはアマゾン(2.4%)、アリババ(1.3%)を抑えて世界最大の小売企業の座に君臨していますが、ブラジル国内市場では、フランス小売チェーンのカジノ・グループ傘下のGPA(ポン・デ・アスーカル・グループ)がシェア6.4%でトップ、同じくファランス小売チェーンのカルフールが3.1%で2位、ウォルマートはシェア2.6%で3位に甘んじています。

食肉輸出業者が大幅な輸出増期待

 8日付伯字紙によると、ブタおよびイノシシに感染する家畜伝染病のアフリカ豚コレラが中国で猛威を振るい、壊滅的な被害を被っているのを受け、ブラジルの食肉輸出業者は中国向けの豚肉・鶏肉輸出が当初予想より大幅に増加すると期待しています。豚肉・鶏肉の輸出業者が集まるブラジル動物性タンパク質協会のフランシスコ・トゥッラ会長は8日、「今年の豚肉輸出量は主に中国の需要の増大で前年比20%増が見込める」と語りました。18年末に発表された同協会の予想では、豚肉の19年の輸出量は前年比3%増としていました。

 中国では飼育されていた豚の多くがアフリカ豚コレラの発生後に殺処分され、中国では豚肉の供給量が不足、中国は外国産の豚肉を求める必要が出ています。しかし、中国の巨大な豚肉需要を満たせる供給国は少なく、同協会は、中国はブラジルからの食肉輸入増に踏み切らざるを得ないと見ています。

 トゥッラ会長は、「世界最大の鶏肉輸出国であるブラジルは19年に過去最大の鶏肉輸出量を記録するだろう」と見ており、ロイター通信にも「家禽(かきん=肉や卵などを利用する目的で飼育される鳥)の輸出は低めに見積もっても(18年に対して)10%拡大する。豚肉は20%以上伸びるだろう」と話しています。

 豚肉と鶏肉はいずれも16年に過去最大の輸出量を記録しています。この記録はいずれも今年更新されると見られ、同会長も「今年の豚肉の輸出量は16年の73万3000トンを上回る80万トン、鶏肉も16年の438万4000トンを上回る450万トンに上る」と予想しています。

中国が豚脂の輸入解禁

 ジャイル・ボルソナロ大統領は5日、ブラジル産豚肉の副産物である食用脂肪の輸入を中国政府が承認したとツイッターに投稿しました。5日付伯字紙によると、大統領は「中国政府は豚コレラによる供給不足を埋めるため、ブラジルの豚肉輸出業者に食用脂肪の輸出も許可した。この措置はブラジル動物性タンパク質協会の要求を承認したものだ」と投稿、さらに豚の食用脂肪の市場価格は肉よりも高いと指摘し、「中国は2019年末までに100万~200万トンの供給不足を起こす可能性があり、この分野で輸出増が見込める」としています。

 中国の養豚業界はアフリカ豚コレラの蔓延で大きな打撃を受けています。ブラジルの農牧供給省は、豚肉の世界最大の生産国であり消費国である中国は、アフリカ豚コレラの発生で豚の約30%を失ったと見ており、中国への豚肉供給が拡大すると考えています。

自動車輸出が半減、生産は前年並み

 7日付伯字紙によると、4月の自動車製造(乗用車、軽商用車、トラック、バス)数は、前月比11.1%増、対前年同月比0.5%増の26万7546台でした。今年1~4月累計生産台数は18年同時期に対して0.1%減の96万5393台でした。自動車メーカー団体の全国自動車工業会が7日発表した数字です。

 アルゼンチンの経済危機で昨年来落ち続けている自動車輸出は4月も落ち込みました。4月の輸出台数は18年4月の7万3152台比で52.3%減、前月比で10.5%減の3万4905台にとどまりました。1~4月累計の輸出台数は13万9467台でした。

 アルゼンチンはブラジル自動車産業には重要な市場の一つで、輸出の大幅な落ち込みにはそのアルゼンチンの不況が大きく関係しています。自工会のルイス・カルロス・モラエス会長は「自動車メーカー各社は現在、アルゼンチン向け輸出の落ち込みを埋め合わせるために他の市場を探している」と話しています。

インドが生鮮鶏肉の輸入解禁

 2日付伯字紙によると、インド保健当局がブラジル産生鮮鶏肉の輸入を承認しました。2008年、ブラジルとインドが「衛生に関する協定」を結んでから初めてです。ブラジルのテレザ・クリスチナ農牧供給相が29日に発表し、ジャイル・ボルソナロ大統領も2日にツイッター上で明らかにしました。

 農牧供給省によると、鶏肉はインド国内で最も多く消費されている食肉で、インドの鶏肉市場は年7~8%のペースで成長していると推定しています。鶏肉市場の成長は、インド国内の都市化の拡大と中間層の増加によるもので、ブラジル政府は「インドのブラジル産生鮮鶏肉の輸入は,今後消費市場の拡大で増加する」と予想しています。

 インドの人口1人当たりの鶏肉の消費量は年間3.5キログラムと、世界平均の年間11.9キログラムの3分の1にも達していません。ブラジルの年間消費量44.6キログラムの約13分の1でしかなく、インドの鶏肉消費は今後増大する余地が十分にあります。

 ブラジル産鶏肉の2018年の主要な輸出先(金額ベース)はサウジアラビア(8億500万ドル)、中国(8億ドル)、日本(7億2200万ドル)の3カ国でした。

世界にグアイド氏支持を要請=ブラジル政府=

 ベネズエラニコラス・マドゥロ大統領率いる政府側と暫定大統領就任を宣言したフアン・グアイド国会議長が率いる反政府勢力の衝突が激化、一部メディアが「ベネズエラでクーデターか」と報じた30日、ブラジル政府は世界各国に対し、グアイド暫定大統領の側に立ち、マドゥロ大統領が権力を手放すことに賛同するよう呼びかけました。通信社アジェンシア・ブラジルが伝えました

 オタヴィオ・ド・レゴ・バロス大統領府報道官は30日の声明で、「ブラジルは最大限の注意でベネズエラを見守っており、民主主義のために勇敢に戦っているベネズエラの人々への無制限の支援を断言する。我々は自由の理念尊重するすべての国々に、マドゥロ独裁政権を終わらせるとともに、ベネズエラの制度的正常性を回復させるための策を模索するため、フアン・グアイド暫定大統領の支援を要請する」と述べました。

国内のスマホは2.4億台で頭打ち

 26日付伯字紙によると、スマートフォンやパソコン、ノートパソコン、タブレットなどデジタル機器の保有台数は4億2000万台で、この内スマートフォンは2億3000万台と、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団が発表しました。スマートフォンは国民1人につき1台以上を保有していますが、パソコンの保有台数は国民7人につき6台となっています。

 調査責任者のフェルナンド・メイレレス教授は、「ブラジルのデジタル機器市場は飽和状態に近づいている。人はすでに各自のスマートフォンやパソコンを保有している。国内のスマートフォンはこの先数年間、2億4000万台を超えなかった。今後スマートフォンの販売数は減少するだろう。これからは機器の交換(買い替え)需要だ」と、かつてのテレビと同様の現象だと指摘しました。

 同教授はまた、人口1人当たりのスマートフォン保有数が2台に達することはないとし、「人々は、仕事用と個人用と2台のスマートフォンを持た無くなった。仕事と個人兼用で使っているためだ。しかも複数の携帯電話契約者に通信事業者は優遇制度を設けていない」と、増えない理由を説明しています。

機内持込みを厳しくする15国内空港

 ブラジルの一部空港で25日、国内線搭乗客の持ち込み手荷物の大きさ、重量制限を厳しくしました。大きさが55cm×35cm×25cmを超えるか、重量が10kgを超える各手荷物は飛行機内への持込みが禁止になり、預かり手荷物(有料)として貨物室に積まれます。厳しくなったのは首都ブラジリアのクビチェク空港、パラナ州クリチバのアフォンソ・ペナ空港、サンパウロ州カンピーナスのヴィラコポス空港、リオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタルのアルイージオ・アルヴェス空港の4空港です。地元メディアがで伝えています。

 国内の主要15空港では、国内線搭乗客に機内持込み手荷物の制限順守活動を行っています。運用が厳格化された4空港では先立つ10~24日まで、乗客への「指導」を行ってきました。4空港以外の11空港では現在も「指導」が継続されており、5月23日から11空港でも手荷物制限の運用が始まります。

 5月23日に先立ち2日から運用される空港は、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのコンフィンス空港、セアラー州フォルタレーザのピント・マルチンス空港、ペルナンブコ州レシフェのグアララペス空港、パラー州ベレンのヴァル・デ・カンス空港、13日からはゴイアス州ゴイアニアのサンタ・ジェノヴェヴァ空港、リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレのサルガード・フィリョ空港、サンパウロ州サンパウロコンゴーニャス空港、リオ・デ・ジャネイロ州アントニオ・カルロス・ジョビン空港とサントス・ドゥモン空港、23日からはバイア州サルヴァドールのルイス・エドゥアルド・マガリャンエス空港、サンパウロ州グアルーリョス空港です

 ブラジルでは国内線の預かり手荷物が有料化された後、多くの乗客が機内持込み手荷物だけで飛行機を利用するようになり、許可されているサイズを超える荷物を持ち込む乗客が多く、搭乗時に混乱が生じていました。

ボルソナロ政権の支持率は35%

 24日付地元メディアによると、ブラジル世論調査・統計機関が世論調査の結果を発表、ジャイル・ボルソナロ氏を「非常に良い/良い」と評価したのはが35%でした。同調査は全国工業連合の要請で全国126の自治体で実施したもので、市民2000人が回答しています。結果は「普通」と答えたのは31%、「非常に悪い/悪い」としたのは27%、「分からない」および無回答は7%でした。

 同機関は今年3月にも、大統領の支持・不支持に関する調査を行っています。この調査では34%が「非常に良い/良い」と回答、「普通」は34%、「非常に悪い/悪い」は24%、「分からない」および無回答は8%でした。

 同機関は、ボルソナロ大統領に対する市民の評価は、大統領就任(1期目)後の最初の3月のものとしてはフェルナンド・コロル氏以降の歴代大統領の中で最も低い、としています。歴代大統領の就任3カ月目の支持率は、1990年3月に大統領に就いたコロル氏が45%、95年1月に就任したフェルナンド・エンリケ・カルドゾ氏は41%、03年1月就任のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ氏は51%、そして11年1月就任のジルマ・ルセフ氏は56%でした。

 調査したボルソナロ大統領への信頼感については「信頼している」が51%、「信頼していない」が45%、「分からない」および無回答は4%でした。