中南米の最新情報

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社会民主党新党首にアルキミン・サンパウロ州知事

 国内メディアによると、ブラジリアで9日に開催された社会民主党(PSDB)の全国大会で、ジェラルド・アルキミン・サンパウロ州知事が同党の新たな党首に選出されました。任期は2年。アルキミン氏を党首とする候補者名簿の支持票は470票、反対票3、棄権1でした。

 同党は今年5月、当時のアエシオ・ネベス党首(上議)が食肉加工大手JBS社役員らの証言に基づく不正容疑の捜査で捜査対象となり、党首を休職しました。タッソ・ジェレイサチ上議が党首代行でしたが、12月の党大会を前に解任され、以降はアルベルト・ゴールドマン元サンパウロ州知事が党首代行を務めていました。

 党首選出後アルキミン氏は、景気後退と高失業をもたらしたとして労働者党(PT)政権を批判し、社会保障制度改革の必要性について言及しました。同氏は来年の大統領選挙に立候補すると見られています。

ブラックマーケットは150億レアル規模

 地元での報道によると、サンパウロ州工業連盟が2016年のサンパウロ州における盗品や偽造品、密輸品などを売り捌く違法な製品市場(ブラックマーケット)規模が151億レアルに達したとの推計を発表しました。前年の推計132億レアルと比べ14%増です。

 同連盟によれば、ブラジル国内で違法に販売された密輸品の大半がサンパウロ州内に運び込まれ捌かれています。ブラックマーケットでは食品、飲料、煙草、電気製品、衣料品など様々な商品が扱われています。

 同連盟は、「ブラックマーケットが無ければ、州内で9万件の雇用が創出されただろう」と指摘しています。ブラックマーケットの電気製品の売り上げで、正規の業者が被った被害額は12億レアルに上り、4億レアルの税収が失われました。この税額は学校校舎167棟の建設費に相当します。衣料品・アクセサリーの違法販売で喪われた税額は82の病院運営費用に相当します。違法煙草販売では5万6000人分の雇用が喪われ、病院・学校などの建設費1000棟分の税額を損失したとされています。

 法務・公共保安省は製品の密輸や取引、販売を撲滅するため取り締まりを強化しており、今年は飲料9万3000リットル、タイヤ1万2000個、自動車燃料9836リットル、電気製品9万8000個、IT関連製品1万7000個、煙草908万7000カートンを押収、1885人を密輸や海賊版製品販売容疑で逮捕しています。

日本語能力試験受験者数が急増

 国際交流基金主催の日本語能力試験が先ごろ、ブラジル8カ所の会場で行われました。サンパウロ市会場では受験者の増加で、試験会場を移す盛況でした。受験者が増加したのは、JICAや総領事館などが行っている日本研修制度や4世の査証問題が影響していると見られ、日本への志向が高まっている現れのようです。

 ブラジル日本語センター(立花アルマンド理事長)によると、全会場での受験者数は3687人でした。前年より601人の増加です。受験者は初級から最上級の全カテゴリーで増えています。受験者を地域別に見ると、サンパウロ(2356人=333人増)、ロンドリーナ(240人=22人増)、ベレン(123人=36人増)、リオ(403人=134人増)、ポルト・アレグレ(136人=14人増)、ブラジリア(245人=41人増)、サルバドール(51人=2人増)、マナウス(133人=19人増)となっています。

 受験者の増加理由について関係者は、「ここ数年間、受験者は減少していた。今回はいままで受験していなかった人が一斉に受験した可能性がある。日本での研修に魅力が出てきたのだろう。研修制度に応募するには、日本語能力試験の結果が求められるから」と、受験熱高まりの背景を説明しました。

 4世に対する日本のビザ問題も受験者増の原因とみられています。「インターネット上で、デカセギで(日本に)入国する4世には日本語検定能力の結果が必要との情報が流れていた。日本語能力試験が年に1回の開催のため、4世のビザ解禁時に間に合うよう受験した人が多数いたのではないか」と関係者は推察しています。

 4世の在留資格については未だ不透明で、朝日新聞が「在留資格として一定の日本語能力が必要」という趣旨の記事を報じたのみで、詳しいことはなにも判っていません。現在も国会や関係省庁で論議が続いているようで、不確実な情報がインターネットで報じられ、日本行き希望する4世たちの日本語学習熱に拍車がかかっているようです。

大気の汚れは2時間でタバコ1本分=サンパウロ市=

 エスタード紙の報道によると、サンパウロ市内の路上に2時間もいると、1本のタバコを吸うのと同じぐらいのダメージが肺に与えられるとサンパウロ総合大学の研究で分かりました。市内で30年間生活すると、肺の状態は少量喫煙者(1日10本以下)と同じ状態になる可能性を指摘しています。同調査は、病理学者のパウロ・サルジバ医師を中心に死亡が確認された遺体を解剖、生前の生活調査と並行して肺の炭素量を測定して行われました。

 サンパウロ大学医学部大気汚染研究所のマリアナ・ベラス氏は、「以前は、剖検の際に黒い炭素で肺が一杯になっているのは、喫煙者である可能性が高かった。しかし今ではそう言えなくなっている。この研究は、サンパウロ市内で呼吸する事が喫煙と同等であり、蓄積される影響があることを示している」と説明しています。

 国連環境会議と世界保健機関(WHO)によると、毎年700万人が大気汚染(その半数は、薪のコンロや石炭ストーブ)に起因して死亡していると指摘しています。また、汚染レベルが適正水準を上回っている都市が80%以上あるとしています。サンパウロ市は、吸入可能な微粒子(粒子状物質またはPM2.5)のレベルが安全な10マイクログラム/m3を90%上回っているとされています。

子供使った強盗事件が発生=サンパウロ市=

 国内メディアの報道によると、サンパウロ市南部モエマ地区のアパートで1日午後、子供を利用した強盗事件が発生しました。1人の男が10歳未満とみられる男児を連れて、41歳の男性技師のアパートを訪問。門番は、子供が同技師の息子と伝えられ、2人を建物内に入れました。2人は11階まで上がり、家事サービスの女性だけがいる技師の部屋になんなく入り込み、14万レアル相当の物品を奪い立ち去りました。

 お手伝いは働き始めて3カ月にしかならず、門番からインターホンで2人の訪問を知らされていたものの、犯人が連れた子供を技師の子供と思い室内に入れました。とたんに男はお手伝いの頭に銃を突きつけ、手足を縛り、室内を物色しました。

 犯人は室内にあった現金、金庫、携帯電話、時計、貴金属など14万レアル相当を奪い、来訪時と同様に建物の正面から立ち去りました。この犯人の姿はカメラに記録されています。しかし警察は現在、2人に関する手がかりは何ら掴んでいません。

テメル政権の高評価5%、低評価71%

 フォーリャ紙など国内メディアによると、ダタフォーリャ調査でテメル政権を「良い」または「最高」と評価したのは5%で、「悪い」または「最悪」と評価したのが71%でした。「良い」または「最高」の割合は9月末の前回調査と変わらず、「悪い」または「最悪」の割合は前回の73%から71%へ少し低下しました。「普通」と答えた割合が前回の20%から23%へ上昇しました。今回の調査は国内192市の計2765人を対象に実施されています。

 テメル政権発足後最初に行われた調査では、「良い」または「最高」の割合は14%、「普通」は42%、「悪い」または「最悪」は31%でした。「悪い」または「最悪」の割合は前回調査から70%を超えています。

大統領選
 ダタフォーリャは同調査で、来年の大統領選で投票する候補者名も質問しました。投票先として最も多く名前が挙がったのはルーラ元大統領で、想定される立候補者の組み合わせ(副大統領候補など)のいずれの場合でも30%を超えました。ルーラ氏に次いで多かったのはジャイル・ボルソナロ下院議員でした。

ブラジル人の平均寿命は75.8歳

 国内メディアによると、ブラジル地理統計院が1日、2016年生まれのブラジル人が何年生きるかを示す平均寿命を75.8歳だと発表しました。平均寿命は2014年以降3カ月ずつ延びており、06年生まれと比べると3.5年長くなっています。1940年生まれの平均寿命は45.5歳、1970年生まれは57.6歳で、2015年に初めて75歳を超えました。

 16年のデータを男女別に見ると、男性の平均寿命は72.2歳、女性は79.4歳です。州別で最も平均寿命が長いのはサンタ・カタリーナ州で79.1歳。続いてエスピリト・サント(78.2)、連邦直轄区ブラジリアおよびサンパウロ州(78.1)となっています。最も短いのはマラニャン州で70.1歳でした。

二輪生産は来年から上向く=二輪自工会=

 ブラジル二輪自工会は、2017年10月の国内オートバイ生産台数を7万7000台と発表しました。前年同月比7.8%増です。対前月比では0.5%増でした。地元メディアの報道です。

 同自工会のマルコス・フェルマニアン会長は、「10月の数字は来年から二輪業界の業績が上向くことを確信させる数字だ」としています。ただ二輪業界は年間で見ると未だ対前年度より落ち込んでおり、現段階では回復基調とはいえません。今年1~10月の生産台数は88万5000台で、16年同期を0.3%下回っています。

357自治体で感染症流行の兆し=保健省=

 地元メディアによると、デング熱チクングニア熱、ジカ熱などのウィルスを媒介するネッタイシマカに関する調査で保健省が28日、国内の357自治体で幼虫が確認され、ここでは感染症が流行してもおかしくない状態と発表しました。

 調査は、国内の全5570市のうち3946市から送られたデータを分析して行われました。保健省によると、国内全体では減少傾向にあるとしています。年初から11月までに報告されたジカウィルス感染疑いの件数は約1万6880件で、昨年同期(約21万4100件)と比べ92.1%減少ししました。デング熱の疑いもは140万件から23万9000件へ、チクングニア熱の疑いも27万1600件から18万4400件へそれぞれ減少しています。専門家は、感染疑いの報告が減少したことを、「ジカ熱の流行が問題となった15年末から行われたネッタイシマカの繁殖予防の効果が現れた」と見ています。

 地方別にみると、警戒状態が多いのは北東部の自治体で全体の41%。以下、北部40.4%、中西部20.1%、南東部19.32%、南部13.66%となっています。幼虫の発生は、中西部と北東部は樽などに貯めた水が主な繁殖源になっています。

サントス湾に薬やコカインの残留物質

 23日付けの地元メディアによると、サンタ・セシリア大学とサンパウロ連邦大学がサンパウロ州沿岸部のサントス湾で行なった調査で、同湾の海水から医薬品やコカインの残留物質が確認されました。これらの物質が海洋生物に影響を及ぼしている可能性が懸念されています。

 この調査は溶解した医薬品の存在を確認する事を目的に2014年から実施されています。海水の採取は、サンパウロ州基礎衛生公社が処理した下水が排出される沿岸3.5~4.5キロのサントス湾中心部の船舶航行エリアで行なわれています。

 サンパウロ州基礎衛生公社が処理した家庭用排水地域の海水に、医薬品の物質のほかコカインの残留物質が確認されました。コカイン関係の物質は薬物使用者の尿から排出されたもので、この物質の排水処理は行われていません。調査では純粋のコカインも確認されており、輸送中またはクラック製造中に漏れたと推測されています。調査関係者によると、下水処理は固形物質と微生物の除去が主であり、「ブラジルでは、 薬物や麻薬は汚染物質とはみなされないため除去されない」と説明しています。サントス湾のコカイン量は、米国サンフランシスコ湾で確認された量の100倍といわれます。米国では、下水処理で汚染物質が除去されているためです。

 ブラジル海岸部での調査は今回が初めて。調査関係者は、サンパウロ州以外の地域でも同様な調査を行なうべきだと指摘、「都市人口や下水の排水路が集中している場所では、似たような結果になるはず。新たな残留物処理システムの構築が必要だ」と述べています。