中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

「立ち小便」条例発効=サンパウロ市=

 地元メディアによると、サンパウロ市(ジョアン・ドリア市長)は24日、同市内の路上で立ち小便をした者に対して500レアル(約1万7500円)の罰金を科す条例を施行しました。同条例案は今年4月、市議会で可決、市長も承認していました。

 報道によると、立ち小便の取り締まりは市内32カ所の市役所支所の職員と同市警備隊が行います。この他、市内各地に設置されている防犯カメラでも監視されます。立ち小便の現場を押さえられると、住所氏名を確認の上罰金を払わされ、悪質な場合は警察署へ連行されることもあります。

 同条例では、路上生活者及び尿失禁を患っている子供の親(保護責任者)は罰金の対象から除外され払う必要はありませんが、口頭で注意されることはあるそうです。

6100万人が債務不履行

 セラーザ・エクスペリアンが13日、2017年10月時点で債務不履行に陥っている消費者が6100万人いると発表しました。16年の同時期は5840万人でしたから4.45%増になっています。

 セラーザの関係者は、「債務不履行者の増加は『子供の日』の反映だ」と話しています。ブラジルでは「母の日」や「子供の日」などの記念日、祝日がある月は通常、債務不履行者が増加します。ただし、クリスマスだけは13カ月目給与(ボーナス)の支給時期と重なるため、その傾向は見られません。

 焦げ付いている借金の種類は、銀行もしくはクレジットカードが29.6%を占めています。次いで水道光熱費、電話代、小売店の買掛金などです。債務不履行者を地方別で見ると、人口と消費が集中するサンパウロ、リオ両州を抱えるブラジル南東部が最も多く、債務不履行者の44.8%が集中しています。北東部は25.5%、南部は12.7%でした。

心臓疾患死に次いで多い医療事故死

 国内での報道によると、補完医療研究所がミナス・ジェライス連邦大学医学部と共同で調査しまとめたブラジル医療ケアの安全に関する報告書が22日発表され、2016年は30万2610人が投薬ミス、機器の誤使用、院内感染といった医療事故により死亡していたことが判りました。1日あたり829人が死亡したことになります。医療事故死はブラジルでは、心臓疾患死に次いで多くなっています。因みにブラジル心臓病学会の推定では1日あたり950人が心臓疾患で死亡しています。

 医療事故は、がん死、暴力、交通事故死よりも死亡者が多いだけでなく、死に至らなくても治療費が嵩み、後遺症が残る可能性もあり、大きな問題を含んでいます。報告書は、病院に入院した1910万人のうち140万人が何らかの医療ミスの「被害者」になっていると指摘しています。

 医療事故の主な被害者は生後28日以内の乳児と60歳以上の高齢者で、医療事故に伴う支出は年で109億レアルにも達しています。

ブラック・フライデーに 悪質業者暗躍

 毎年11月の第4金曜日に実施される安売りイベント「ブラック・フライデー」は、ブラジルでも盛り上がりを見せるようになています。同時にその商法を悪用する業者も後を絶たないようです。今年は24日でした。

 ブラック・フライデーは感謝祭(Thanksgiving Day)向けの商品の売れ残り品を値引き販売して一掃してしまおうという米国発祥の商法。家電量販店などを中心に小売各店が商品価格を大幅に値引きするため、ブラック・フライデーに対する消費者の期待は大きいのですが、中には大幅値引きをしているかのように見せかけて消費者をだましたり、注文とは全く違う商品を届けたりする悪質な小売業者も少なくありません。

 地元メディアによると、消費者が企業の対応や購入した商品・サービスに対する苦情を書き込むウェブサイト「Reclame Aqui」の集計で、ブラック・フライデーに関する苦情は2015年は4400件、16年は2900件もありました。同サイトに寄せられた苦情には、インターネットを介した商品購入でのトラブル、「大幅割引」や「出血大サービス」などと大きな値引きをしていると印象付ける「価格に化粧を施した」とする苦情、広告や店頭でうたっている価格とは違う金額を代金支払い時に請求する「紛らわしい広告」などがあります。
 
 これらの紛らわしい広告、宣伝で消費者をだます小売業者が多いことから、ブラック・フライデーのことをブラック・フラウデ(Black Fraude)と呼ぶ消費者も多いようです。フラウデ(Fraude)とは日本語にすると「詐欺」の意味です。

干ばつで牛2万頭死ぬ=リオデジャネイロ州=

 リオ州北部と北西部は深刻な雨不足に見舞われ、ここ数カ月で牛2万頭が飢えと渇きで死亡しました。牛の死亡で被った損害額は7000万レアル(約24億5000万円)に上り、被害額が大きかった14市は緊急事態を発令しています。地元メディアが報じています。

 ニュースサイト「G1」の調査結果では、14市の経済的損失はすでに7000万レアルを超えています。主に農業ビジネスによって経済が成り立っている北西部の11市は、州と連邦に資金提供を要請しています。

 リオ州民間防衛局北部及び北西部の地域コーディネーターは、「今回の干ばつはこれまでで最も強烈なものだ。11年と14年にも干ばつはあったが、各市の損失などを考慮すると、過去2度の干ばつを上回っている」と話しています。

黒人の失業率が上昇=大サンパウロ圏=

 地元メディアの報道によると、労組横断社会経済調査・統計所が実施した黒人と非黒人の労働調査で、サンパウロ市を含む39市で構成する大サンパウロ都市圏の黒人失業率が、2015年から16年にかけて非黒人の失業率よりも高く推移しました。調査では、非黒人の失業率は15年の12.0%から15.2%へと3.2ポイント上昇しましたが、黒人の失業率は14.9%から19.4%へ4.5ポイントも上がりました。

 男女別で見た場合、大サンパウロ都市圏内では15年から16年にかけて、もともと黒人男性よりも高い黒人女性の失業率が16.3%から20.9%へ上昇しました。黒人男性の失業率は13.7%から18.0%へ上がっています。

 賃金は、非黒人の平均時給が14.17レアルから13.41レアルへと5.3%下がったのに対し、黒人の平均時給の下落率は5.1%と非黒人よりも下げ幅は小さく収まりました。ただし、黒人の平均時給そのものが非黒人よりも低く、15年は9.59レアル、16年は9.10レアルとなっています。

億万長者が5年で30万人

 地元メディアによると、スイスに本社を置く金融機関クレディ・スイスは、2022年までにブラジルの億万長者は29万6000人に達する、とみています。クレディ・スイスは、同社が評価・分析を行った23カ国中でブラジルは億万長者の数の増加率がアルゼンチンに次いで大きいと伝えています。

 ブラジルに次いで大きな増加が見込まれているのは、インド(予想人数37万2000人)、ロシア(同19万6000人)、オーストラリア(同169万9000人)、日本(同382万1000人)など。同研究の億万長者の定義はは、住居を除く保有資産の価値が100万ドルを超える個人としています。

ブラジル政府、総額1309億レアルを投資

 連邦政府は9日、来年末までにエネルギー、インフラ、防衛、住宅、都市交通、衛生設備、石油・ガス各分野で総額1309億7000万レアル(約4兆5839億円)の投資を行うと発表しました。新たな投資資金は進行中の事業、中断している工事に手当てされます。事業の一部は、ルーラ政権とジルマ政権のショーウインドー、つまり「客寄せ」と呼ばれていたものも含まれます。国内メディアが報じました。

 この日発表された計画では石油・ガス分野に対して最も大きな額が割り当てられ、額は451億6000万レアル(約1兆5806億円)、投資額全体の34.5%を占めます。その他はインフラ241億2000万レアル(約8442億円)、防衛89億9000万レアル(約3146億円)、社会政策90億レアル(約3150億円)、住宅159億1000万レアル(約5568億円)、都市交通66億1000万レアル(約2313億円)、衛生設備73億9000万レアル(約2586億円)、発電90億レアル(約3150億円)、送電39億7000万レアル(約1389億円)、電力へのアクセスの普遍化7億3000万レアル(約255億円)となっています。

 投資資金は三つの財源から捻出されます。国の一般会計予算から421億レアル、連邦貯蓄銀行と勤続期間保障基金、社会経済開発銀行から合計299億レアル、そして国営石油会社ペトロブラスを中心とするエネルギー分野の国有企業から合計589億レアルが調達されます。

日本へ乳製品を輸出

 地元メディアによると、農牧食糧供給省は先ごろ、「ブラジルは牛乳及び乳製品を日本へ輸出出来るようになった」と発表しました。同省国際関係局が日本から、「ブラジル産の牛乳及び乳製品に日本市場を開放する」という知らせを受け取ったからです。

 ブラジルは日本との輸出交渉を粘り強く続け、2年かけて国際衛生証明書承認に漕ぎ着けました。これでブラジルは、ワクチン接種の有無にかかわらず、口蹄疫の発生のない地域からの製品を日本へ輸出することが可能となりました。

 同供給省によれば、日本は世界で7番目に大きな乳製品輸入国です。2016年にはホエイパウダーを約6万2000トン、バターを1万3000トン、チーズを25万8000トン、そして脱脂粉乳カゼイン、乳糖などの乳製品を20万1500トン、合計12億ドル分の乳製品を輸入しています。

 同省のシルバ国際関係局長は「国際市場参入を目指している乳製品業界にとって日本は、消費市場の大きさで重要な輸出先だ。ブラジルは日本の要求を満たす能力を有している」と強調しています。

「可哀そうな熊」はサンパウロへ 

 「世界一可哀そうな熊」として話題になっていた雌熊「マルシャ」が、快適に暮らせるようにサンパウロに移送されることになりました。裁判所の決定として地元メディアが報じています。

 ブラジル北東部ピアウイー州の州都テレジーナ市は南緯5度と赤道に近く、年間を通して高温の街です。マルシャは今はテレジーナ市の動物園で暮らし、地面に穴を掘って40℃という厳しい暑さを凌いでいます。この動物園では熊のマルシャに犬の餌を与えているそうです。

 このような良好とは言えない環境に置かれているマルシャをふびんに思ったネットワーク「Avaaz」のメンバーが、マルシャをもっと涼しい土地に移そうと署名活動を展開、裁判所へ訴えました。この訴えを受け裁判所は、マルシャにとって残酷な状況だと指摘、マルシャをテレジーナからサンパウロへ移すよう決定したものです。