中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

バーレが上場企業最高益

 国内メディアによると、財務情報を扱うエコノマチカ社が上場企業の利益をまとめ発表しました。上場企業の中で2017年第1四半期(1~3月)に最も大きな純利益を上げたのは資源企業のバーレで、16年第1四半期比で25.0%増の78億9111万3000レアル(約2762億円)の純利益でした。

 バーレに次ぐ2位はブラジル最大の民間銀行であるイタウ・ウニバンコで、純利益は前年同期比16.8%増の60億5249万レアル、3位は16年同時期に12億4600万レアルの純損失を計上した国営石油会社ペトロブラス(純利益は44億4900万レアル)でした。以下、ブラデスコ銀行(40億7068万7000レアル)、ブラジル銀行(24億4302万1000レアル)と続いています。

 業界別では、18行の純利益の合計が前年同期比8.1%増の銀行業界がトップで、次いでアンベブ社を筆頭とする食品・飲料業界が続きました。

大統領が新移民法を一部項目を拒否して裁可 

 上議院サイトによると、ミシェル・テメル大統領は新たな移民法を一部を拒否した上で裁可、25日付官報に掲載しました。同法は、1980年に制定された外国人法に代わるもので、軍政時代に制定された現行法には差別的な面があるとされていました。新法は移住者の権利の保障とともに、移住者や訪問者のブラジル入国や滞在に関する規則、これらの人たちに向けた公共政策のためのガイドラインが規定されています。

 フェレイラ外務大臣(上議員)により提示された草案は、上院での承認と下院での修正を経て今年4月に再び上院で承認され、大統領が裁可したものです。上院で承認された法案では、2016年7月6日までに入国した外国人に対し、その滞在状態にかかわりなく居住許可を与えると定められていましたが、この項目は大統領により拒否されました。理由として、同措置が「全移住者への無差別な恩赦」となる可能性や、移住者受入れに関する当局の権限がなくなることを挙げています。

 拒否された項目はこの他、憲法がブラジル生まれのブラジル人が就けると規定している公職を除き、移住者も公職に就けるとした項目や公務員試験に合格した移住者への自動的な居住権付与などです。国内に居住していない外国人による役職の行使を可能にする可能性があり、憲法に反するのが拒否理由としています。また、先住民や伝統的な民族が国境をまたぐ場合でも、先祖によって占有された土地を自由に移動できるとした部分も拒否されました。理由は、国の主権の要素として国土防衛を定めた憲法に反するとしています。

 ブラジル人の配偶者によるビザや在留許可の付与が、親族関係や依存関係、社交的な要因など他の事例に拡大されることも拒否されました。この拡大措置により、ビザを持たない子供たちの入国が可能になり、未成年者の国際的な誘拐を助長する可能性、また容易にするとしています。1988年10月5日以前に宣告された国外追放令の取り消しや4年以上ブラジルに居住していた移民が犯罪を犯しても国外追放できないとする項目も拒否されました。

 新たな移民法官報掲載後180日以内に細則が定められます。

大統領辞任求めるデモが暴徒化

 国内メディアによると、ブラジリア連邦直轄区ブラジリアの官庁街で24日、テメル大統領の辞任を求め、現政権が進める社会保障制度および労働法制改革への反対を訴えるデモが行われました。労働組合組織や学生団体、社会運動グループなどの呼びかけによるもので、直轄区公共保安局は4万5000人が参集したと発表しました。参加者は正午ごろから、直轄区のマネ・ガリンシャ競技場前から国会議事堂に向け官庁街を行進、官庁街は車両通行止めになりました。

 抗議行動は最初平和的に行われていましたが、一部のグループが警備要員へ投石したり、省庁建物を破壊したりして鎮圧にあたる警官隊と衝突、現場が大混乱しました。顔を覆った20人ほどのグループが国会前広場の近くを封鎖する警察官に投石し、現場にあったプラスチック容器に火をつけるなどの行為で現場は混乱に陥りました。

 警察機動隊はデモ参加者に向けて催涙ガス弾、非致死性弾などを使用し鎮圧に努めましたが、覆面のグループは省庁の建物のガラスやバス停、簡易トイレなどを破壊し始めました。グループは大聖堂を含む8つの建物を破壊し、3省の建物に放火しました。この騒動で武器の所持、暴行などで7人が拘束されました。

 この騒動で大統領は軍隊の出動を命じ、陸軍から1300人、海軍陸戦隊から200人が派遣され、官庁街の警備にあたりました。大統領は翌25日、法と秩序が回復されたとして軍の撤収を命じました。同件についてジュングマン国防相は、マイア下院議長からの要請に応じたものと説明しましたが、マイア議長は「自身が要請したのは国家治安部隊の派遣だった」と語っています。

続出する大統領弾劾の訴え
 テメル大統領は、ペトロブラス汚職など複数の案件で捜査されている大手食肉企業JBSのオーナーの証言で司法妨害汚職の疑いが浮上、最高裁が大統領の捜査開始を許可しています。大統領の疑惑が浮上して以来、下院事務局には25日までに16件の大統領弾劾手続き開始請求が出されており、ブラジル弁護士会も請求を提出しました。

 今回の疑惑とは別に、テメル大統領がジルマ前大統領と当選した2014年の選挙の時、政治的・経済的権力を乱用しペトロブラス汚職の資金を受け取った疑いがあると社会民主党が当選無効を訴えている件で、高等選挙裁判所は6月6日から審理を開始する予定です。

警察官による殺害が1日平均3人

 地元メディアによると、リオデジャネイロ州内で今年1月から4月の間に警察の介入に抵抗して殺害されたとされる人数が383人に上りました。昨年同時期の241人から59%の増加で、1日平均3人、8時間に1人が殺害されている計算になります。公共保安研究所の調査で分かりました。

 リオでの警察官による殺害件数は年々増加傾向にあります。件数は2014年は84人でしたが、15年は645人、16年は920人で、今年1~4月ですでに383人を記録、16年の殺害件数の42%に達しています。なお、サンパウロ州では昨年590人が警察官により殺害されました。

 逆に、リオ州で軍警察官が殺害されたケースは、年初から5月22日までに56件です。15人が職務中、41人が非番でした。

 米州人権裁判所は先週、1994年と95年にリオ市で起きた警察による大量殺害事件の責任者を捜査せず、罰しなかったとしてブラジルを非難しました。同裁判所は、ブラジル、特にリオにおける人権侵害と警察の暴力が問題と指摘しています。

客足伸びる ショッピングモール

 国内メディアによると、人の行動調査などを行うイボペ・インテリジェンシアと客足調査などを手がけるマイス・フルクソがまとめたショッピングモールの活動状況から、モニタリング対象の国内123のモールの来館者数が2017年4月、前年同月比で3.4%増加していました。増加率はここ2年間で最も大きくなっています。

 イボペ・インテリジェンシア関係者は、「消費者はすでにモールの中に片足を踏み入れており、買い物のための信号は青になった。消費者の信頼感上昇とFGTS(勤続期間保障基金)の積立金引き出しが小売りの見通しの好転要因」と指摘しています。

政治家1800人超に不正資金、テメル大統領は受領を否定

 ペトロブラスに関係した汚職捜査に関し大手食肉企業JBSとその持ち株会社J&Fのオーナー、ジョエズレイ・バチスタ氏ら同社幹部による司法取引証言が連邦検察に行いましたが、最高裁は19日、同社幹部が行った証言の映像を公開しました。映像で同社幹部のリカルド・サウド氏は、同社から当選者を含む28政党1829人の候補者に計5億レアル以上の不正献金を行ったと証言し、テメル大統領にも、同氏が副大統領候補だった2014年の大統領選の際に、「同社に便宜を図る見返り」として1500万レアルを渡したと証言しています。大統領府は証言の内容を否定し、録音の鑑定が終了するまで捜査を停止するよう求めています。国内メディアの報道です。

 バチスタ氏と大統領の会話録音は、今年3月7日夜に副大統領公邸で面会した際にされたとされており、バチスタ氏がペトロブラス汚職捜査で勾留中のクーニャ元下院議長が証言を行わないようにする目的で行っている資金提供や判事や捜査関係者の協力に関して発言した際、大統領がそれらを容認するかのような発言が記録されている、とされています。

 最高裁は18日、バチスタ氏が大統領との会話を録音したものを検察に提出し内容を検討、「大統領が司法妨害を容認する発言をしている」という疑惑から、すでに検察庁の大統領捜査を許可ています。

 連邦検察庁が要請した捜査対象者には、大統領のほかネベス上議、ロウレス下議(両議員とも職務一時停止中)も含まれています。ジャノー検事総長最高裁に送った文書で、ネベス上議が大統領とともに汚職捜査を妨害しようとした疑いがあると指摘しています。

 大統領は、ジョエズレイ氏による会話録音の内容が報じられた後に会見で疑惑を否定し辞任の意思はないと語りました。大統領は20日に再び会見し、公開された録音の鑑定が終了するまで自身の捜査を一時停止するよう求める申し立てを最高裁に行う意向を示し、同日中に大統領の弁護士が申し立て、最高裁は鑑定のため録音を連邦警察へ送付する決定をしました。大統領側の捜査一時停止の申し立ては、録音の鑑定後に審議される見通しです。

大統領に1500万レアル,元大統領2人にも
 JBSから大統領に支払われたとされる1500万レアルについて同社幹部は、「14年選挙で大統領候補だったジルマ前大統領が属する労働者党に向けた資金の一部で、テメル氏から所属政党の民主運動党全国本部や各州へ分配された」と証言しています。900万レアルは公式な献金を装って支払われていました。

 JBSはルーラ、ジルマ両元大統領に対しても09年~14年にかけ計1億5000万ドルを国外銀行口座に送金したと証言しています。証言でこれらの資金の支払いはマンテガ元財務大臣が仲介し、ジルマ前大統領の選挙資金などに使われたと指摘しています。

出版市場、2年間で17%縮む

 経済調査院、書籍出版業組合、ブラジル書籍会議所3団体が17日公表した「ブラジルの出版業界の生産と販売」によると、出版市場の規模が2016年は前年度に比べ5.2%縮小しました。出版社各社は、縮小はブラジルの経済危機を反映したものだと指摘し、業績の落ち込みは「出版業界にとって重大な意味を持つ」と主張しています。ブラジルの出版市場は15年と16年の2年間で17%縮小したことになります。国内各メディアが報じました。

 15年の名目売上高は52億3139万6423.43レアル(約1830億円)、16年は52億6997万3133.98レアルで、16年のインフレ率(6.3%)を考慮すると実質値では5%を超える前年割れでした。報告書は、市場部門の15~16年累計の落ち込みは実質20%を超えると指摘しています。一般向けの市場部門がマイナス3.3%成長と沈んだ16年の政府調達部門はプラス13.8%の名目成長率でした。

 各部門の売上高は、市場部門が38億7251万546.37レアル、政府調達部門が13億9746万2587.61レアルで、販売数は市場部門が2億2662万1534冊と前年を11.0%下回わり、政府調達部門は1億5679万4917冊と16.5%拡大しました。

本の生産は4.4%縮小
 ブラジルの出版業界は、16年は4億2718万8093冊の書籍を生産しましたが、15年に比べて4.4%の減少です。このうち大半は重版によるもので、実質生産数は8002万6152冊(前年比8.6%減)でした。また、生産されたタイトル数は合計5万1819タイトル(前年比1.2%減)ですが、これも大半は重版でした。

最高裁、テメル大統領の捜査を許可

 大手食肉企業JBSオーナーのジョエズレイ・バチスタ氏が連邦検察庁との司法取引で行ったとされる証言の内容が17日報じられ、政界が混乱しました。メディアの報道によれ、国営石油ペトロブラスをめぐる汚職で勾留されているエドゥアルド・クーニャ元下院議長と資金捜査担当者が証言を行わないよう同オーナー側が資金提供を行っていると供述し、テメル大統領が同オーナーと面会時に資金提供を容認するような発言をしたとしています。また、社会民主党党首アエシオ・ネベス上議が同オーナーに200万レアルの資金を要請したという証言も行われたと報じられました。テメル大統領、ネベス上議はいずれも疑惑を否定しています。

 バチスタ氏兄弟の司法取引証言は、連邦最高裁判所の報告官が会話を録音したテープを含め承認、連邦警察および連邦検察庁は18日、ネベス上議の関係先を家宅捜索し同上議の親族、関係者などを拘束しました。連邦最高裁はネベス上議の議員職務の一時停止を命じ、同証言の内容に関するテメル大統領の捜査開始も許可しています。これでテメル大統領はペトロブラス汚職の捜査対象になりました。

 録音されたジョエズレイ・バチスタ氏とテメル大統領の会話は、今年3月7日にブラジリアの副大統領公邸で秘密裏に行われたとされ、その中でジョエズレイ氏は勾留中のクーニャ元下院議長と資金捜査担当のルシオ・フナロ氏に対し、証言を行わないよう逮捕以来月々の資金提供を行っていると述べ、そのとき大統領は「それを維持しなければならない」と語ったとしています。連邦警察はフナロ氏の親族、クーニャ氏の関係者に資金が渡ったことを掴んでおり、クーニャ氏には少なくとも500万レアル渡ったとみています。

大統領府は疑惑を否定
 大統領府は17日、「大統領はエドゥアルド・クーニャ元下議が沈黙を守るよう支払いを要請したことはない。(クーニャ)元議員による司法への証言または協力を回避する目的を持ついかなる動きにも、加わったことも、許可したこともない」という声明を発表しました。大統領府は、大統領が3月初めにジョエズレイ氏と公邸で会ったことは認めていますが、報道の内容については否定しました。

 大統領は18日午後4時過ぎから大統領府で会見し、証言で言及された内容について強く否定。自身の潔白を主張し、辞任の意思はないことを表明しました。

3割がブラジル経済「良くなる」

 調査機関ダタフォーリャが2日公表した最新の調査で、ブラジル経済の先行きを悲観的に見るブラジル人が減少していることが分かりました。地元メディアによると、ブラジル経済がこの先悪化するとした人は2016年12月調査では回答者の41%でしたが、今年4月の調査では31%に減少しました。経済が上向くとした人は28%から31%に上昇、現状維持と答えた人は27%から35%になっています。

 また、回答者自身の財務状況が悪くなると答えた人は昨年の27%から18%に減少、良くなるとした人は37%から45%に増えました。ただ雇用に関しては回答者の57%が悪化すると見ています。雇用についての見方は昨年12月の67%より少なくはなっていますが、悲観的な人が依然半数を上回っているのが実情です。

子持ちの独身女性世帯が10年前から110万増加

 地元メディアが、他の親族と同居している場合も含め配偶者のいない女性と子供で構成される世帯が2005年から15年の間に約110万世帯増加した,と報じています。05年の1050万世帯に対し、15年のデータでは1160万世帯に増加しています。

 ブラジル地理統計院が発表したもので、独身女性世帯の絶対数は増加していますが、全体に占める割合は18.2%から16.3%へ低下しています。原因は、子供のいない夫婦や単独世帯が増えているためとしています。子供のいる独身女性世帯は25.8%から26.8%に増加しています。

 人口統計国勢調査によれば、10年の出生率は1.9人で、00年の2.38人から減少しています。出生率の低下は全ての年齢層で起きていますが、15~19歳の母親の割合は女性の高学歴指向により、00年の14.8%から10年は11.8%に減少しました。中等教育で学ぶ女性の増加率は男性に比べて9.8%高く、大学における男女学生(18~24歳)の割合も、10年には女性が全体の過半数(57.1%)を占めるようになっています。

 ブラジル地理統計院は「家庭の構成に変化が起きつつあり、家族の主要な担い手と見なされる女性が増加している。この社会的変化に注意を向ける必要がある」と指摘しています。子供のいる世帯で配偶者がいても、女性が世帯を代表していると見なされるケースは、05年の4.8%から15年の15.7%へ増加しています。