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トヨタがブラジルで270億円の新規投資

 トヨタ自動車のブラジル法人トヨタ・ド・ブラジルは19日、2021年に発売予定の新たな車種生産を見据え、サンパウロ州のソロカバ工場に10億レアル(約270億円)の新規投資と300名の新規雇用を発表しました。同投資は、「需要のある場所で生産する」という考えで、中南米での競争力強化を目指し生産の拡充を図るのが目的としています。

 トヨタ・ド・ブラジルの井上雅宏会長は、「消費者、株主、従業員などとの強い結びつきが無ければ、自動車産業の発展に貢献できない。今回の投資は、従業員、労働組合、部品製造会社、販売店サンパウロ州政府などに協力いただいた結果であり、当社のブラジルにおける将来を見据えた強化策の一環だ」と述べました。

 また、トヨタ・ド・ブラジルのラファエル・チャン社長は「今回の新たな投資は、トヨタのブラジルにおける決意を示すものだ。この10年、ブラジル経済・自動車市場は厳しい環境が続いてきたが、現地のビジネスの発展に貢献するためにも、持続的な競争力の強化に向けた取り組みを続けていく」と語りました。

 トヨタは1958年、海外生産の先駆けとしてトヨタ・ド・ブラジルを設立、1959年から2001年までの約40年間に10万台以上の「バンデランテ(日本のランドクルーザーのブラジル仕様車)」を生産・販売し、1998年にインダイアツーバ工場を立ち上げ「カローラ」を生産、2016年には中南米初のエンジン工場も立ち上げました。新たに投資するソロカバ工場は2012年に稼働を開始し、現在は「エティオス」「ヤリス」を生産、累計で66万5千台以上を市場に送り出しています。

 フォード・モーターサンパウロ工場を閉鎖、売却計画を発表するなどサンパウロ州は自動車生産拠点としての地位が低くなっています。ジョアン・ドリア州知事は、自動車メーカーを引き留めるため、10億レアル以上の投資と400人以上の雇用を創出したメーカーに対して、付加価値税を25%引き下げる優遇策を打ち出しています。