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代理出産の新生児登録が依頼者名義で可能

 地元メディアによると、代理出産を依頼した場合でも出生届は、実際に妊娠した女性(代理母)の名前で届け出ることが義務付けられ、依頼者へ登録を変更するには長い時間が必要でした。この問題でサンパウロ州裁判所はさきごろ、依頼した両親の名前で新生児の出生届を出すことを承認しました。
 代理母を引き受けた女性が既婚者だった場合、その夫と新生児には血縁関係がないにもかかわらず出生証明書には子供の父親として記載される仕組みになっていましたが、これも是正されます。届け出に代理母の名前を不記載とすることも併せて決定しています。
 すでに先月12日、サンパウロ州裁判所は検察局の承認を得て、サンパウロ市内の病院で生まれた新生児に依頼者の名前での出生届を許可しています。新生児の両親は獣医師のエリーネ・カペリーニさん(31)と夫のウィルソン・カペリーニ・ネットさん(31)。エリーネさんは以前流産により子宮摘出手術を受け、母親になりたいという願いを持ちながらもそれがかないませんでした。このため代理母を依頼、このたび子供を授かったものです。
 ブラジルには代理出産について規定する法令が存在しないため、生殖医療部門を有する病院は、連邦医師審議会(CFM)の基準に従っています。代理出産に関して、金銭のやり取りは禁止されていますが、米国やインドなどでは合法とされています。そのため、インターネット上では秘密裏に代理出産の取り引きが行われていても、取り締まりは難しい現状で、法令と判例不足により法廷闘争が後を絶ちません。
 リオ・グランデ・ド・スル州のロザーナ・ガルビン判事は「今回の判決は現代の世相を反映している。司法も世情についていかねばならない」とコメントしています。