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イタケロン競技場周辺で少女たちに性的暴行

 地元メディアによると、サッカーW杯ブラジル大会の開幕戦が行われるサンパウロ市のイタケロン競技場に隣接するファベーラ(貧困街)で、少女の性犯罪被害が増加しています。4月初めに少女たちから証言を得た児童権利擁護委員会が、イタケロン競技場の工事現場で働く労働者たちを調査して分かりました。
 未成年者性的虐待に関する議会調査委員会(サンパウロ市)として証言の収集を行ったパトリシア・べゼラ下院議員(社会民主党=PSDB)は、「2011年のイタケロン競技場の着工当時から現在まで、競技場周辺で少女たちに対する性的暴行が行われていたことは疑いようのない事実だ」と語っています。調査に協力した13歳少女は、イタケロン競技場の工事現場で働いていた労働者から性的暴行を受けて妊娠したと証言しています。競技場周辺の労働者グループを取材した地元紙の記者も、性犯罪が行われていることを知っているという証言が得られたとしています。ある労働者は、ファベーラの近くでは工事が終盤に差し掛かった今でも未成年者に対する性的暴行が続いていると話し、「実際に行われている場に遭遇したこともある。外見から判断するとまだ幼い少女だった」と証言しています。
 サンパウロ市役所はイタケロン競技場周辺が性犯罪の温床になっていることを確認しており、未成年者が被害者となる性犯罪防止ネットワークを構築しました。同ネットワークは未成年保護官や学校が協力し、大統領府人権局が発表したW杯期間中の青少年人権保護政策「アジェンダ・デ・コンベルジェンシア」を実践します。同市市人権局で青少年向け政策を担当するファビオ・シルベストレ氏は「本当はW杯期間中に学校が休みになるのは良くない。少女たちが外出する機会が多くなることで、より危険な状況に身を晒すことになる」と警告しています。
 児童問題に取り組む非政府組織(NGO)のプラン・インターナショナルは、W杯期間中にブラジルを訪れる男性観光客が増えることで、各開催都市では少女たちに対する買春などが増加する恐れがあると指摘しています。