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ツーマ・ジュニア国家法務局長官,ビザ発給で中国系マフィアと談合

 日系社会に貢献するウィリアム・ウー下議が絡んだ疑獄事件が発覚しました。以下にサンパウロ新聞の記事を紹介します。

 5日付オ・エスタード紙の記事によると、外国人登録やビザ発給業務などを行う国家法務局のロメウ・ツーマ・ジュニア長官が、サンパウロ市を基盤とする中国系犯罪組織と連携し、不法滞在の中国人合法化や査証(ビザ)発給に便宜を図っていたことが判明した。中国製携帯電話やゲーム機の密輸容疑で昨年9月に逮捕されたパウロ・リー(李)容疑者の捜査で浮上した。2人はかなり親密な仲とみられ、Eメールでは日系社会に馴染みの深いウィリアム・ウー下議(PPS党、SP)の名前も登場している。
 昨年、息子2人を含む13人とともに密輸容疑で逮捕された李容疑者は、ブラジルカンフー連盟会長の肩書きを持ち、サンパウロ市の中国コミュニティーを代表する人物。裏では、国内最大級のピラッタ(海賊品)供給会社と通じており、主に中国製携帯電話の密輸と国内販売市場を牛耳っていた。
 連警が「国内最大級」とする犯罪組織の捜査を進める中で、盗聴電話やEメールの内容からツーマ・ジュニア長官の疑惑が浮かび上がった。長官は昨年7月発令の不法滞在外国人に対する恩赦令に関し、中国人へのビザ代行業で金儲けしたとみられる李容疑者に便宜供与した疑い。
 2人は法案の進捗状況について度々電話で確認し合い、昨年6月の国会通過と同7月の大統領承認直後に長官が李容疑者に報告している。長官の出張先で会うこともあり、ホテルでは同室するほどの仲。李容疑者は恩赦令の署名式にも招かれ、「喜びの瞬間」に立ち会っている。
 恩赦発令後、李容疑者は顧客のビザ発給の進捗状況を確認するメールを長官の個人アドレスに度々送り、その都度返信を受け取っている。中には、長官から指示されたと見られる外国人担当局の局長から、「上海でのビザについて」書類送付を求める転送メールもあった。
 李容疑者は、ビザ代行の代金は「1人につき350レアル程度」としたものや、立案者のウィリアム・ウー下議が近々長官に連絡する旨、同下議が中国語によるパンフレットを準備している旨を伝えるメールも送信。名刺には、法務省の紋章と「国家法務局ロメウ・ツーマ・ジュニア長官の特別顧問」の肩書きが入っていた。
 なお、1月の法務省最終報告によれば、恩赦令で滞在が合法となった中国人は5492人、ボリビア人に次ぐ多さだった。
 一連の疑惑に関し、サンパウロ州連警特別捜査局は長官に事情聴取を求め、公務のない土曜日を選んで行われた聴取では、長官は李容疑者の密輸など違法行為については知らなかったと供述。ただ、国家法務局は事情聴取の事実自体を否定している。
 ツーマ・ジュニア長官は法務省の中でも重要ポストに就いているばかりか、4月からは海賊品撲滅国家審議会の委員長も務めており、今回、密輸や海賊商品の犯罪組織との疑惑が持ち上がり、大ひんしゅくを買うことになった。

 以上

 このところブラジルと中国は急接近しており、事件の推移に注意です。