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ルーラ氏、官房長官就任へ 野党は批判

 各メディアによると、大統領府は16日午後、ジャケス・ワグネル官房長官が退任し、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ前大統領が官房長官に就任すると発表しました。ルーラ氏は官房長官として連立与党間の調整役、大統領弾劾阻止、景気後退から脱却するための経済政策に関与する役割を担うことになります。
 国営石油ペトロブラスにからむ汚職で捜査対象となっているルーラ氏が閣僚に就任した場合、同氏に関する起訴や勾留などは最高裁判所で判断されることにり、野党側はこうした動きを「ルーラ氏を守るため」と批判、国内全26州および連邦直轄区の連邦地裁に告発し、就任を阻止する構えです。
 閣僚就任の可能性は、ペトロブラス汚職捜査がルーラ氏へ近づくにつれ各メディアが報じ始めました。ルーラ氏は、同汚職に関与した企業からサンパウロ州アチバイアとグアルジャーにある不動産を通じて不正な利益を受けたとして捜査対象になっています。ルーラ氏は疑惑を否定しています。

一部閣僚も交代

 ルーラ氏は15日夜にブラジリアに到着。大統領と4時間にわたって話し合いました。16日には、ルーラ氏と大統領のほか、ワグネル官房長官、ベルゾイーニ大統領府総務長官、バルボーザ財務相なども加わって同件について話し合いが行われました。そこでルーラ氏の大臣就任が決まったと見られています。
 大統領府の公式発表に先立ち、与党労働者党の下院政府リーダーがソーシャルネットワークで、別の下院労働者リーダーも議会内のメディアに、就任決定を明らかにしていました。退任するワグネル官房長官は大統領府の秘書室長に就任する予定です。ルーラ氏の就任は22日と見られます。
 フォーリャ紙は、ルーラ氏就任とともに一部の閣僚が交代する可能性の他、外貨準備の利用や利下げといった経済政策の転換につながりそうだとの市場の懸念も報じています。