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ジルマ大統領が米国の諜報活動で訪問延期

 地元メディアによると、ジルマ大統領(労働者党=PT)は10月23日に予定していた米国への公式訪問を中止しました。訪米のための準備団の派遣中止を表明以来、訪米そのものも中止となる可能性が指摘されていましたが、17日になって大統領官邸(プラナルト宮)が大統領の訪米中止を発表したものです。これにより両国間の通商取引への影響を懸念する声が出ています。その一方で来年早々にも公式訪米を実施するという可能性を指摘する声もあります。
 今回の訪米中止は、ジルマ大統領の別荘グランジャ・デ・トルト農園にルーラ前大統領(PT)をはじめとする相談役を集めた13日の協議で決定しました。フランクリン・マルチンス前社会通信局長、ルイ・ファルコンPT党首のほか、ルーラ前大統領とジルマ大統領の選挙キャンペーンを担当したジョアン・サンタナ氏なども同席しました。
 この協議に出席した全員が、ジルマ大統領の訪米中止は米国に対してブラジルの主権を示すだけでなく、政府と国民のプライバシー侵害を許さないという強い姿勢を示す絶好の機会になる、という意見で一致したということです。
 ジルマ大統領はこれまで、米国家安全保障局(NSA)による諜報活動の容疑に関して米国側が行った説明が不十分だと強く批判してきました。米国側もブラジルの主張に納得する姿勢を示しており、米ホワイトハウスはプラナルト宮が声明文を発表した2分後に米国民に対して訪問延期の声明を発表しています。発表の中にはジルマ大統領の訪米について「中止」という表現を使わず「延期」になったと述べており、新たな日程は諜報活動の詳細調査が終了しブラジル政府に十分な説明がなされた後で決定されるとおもわれます。