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「しんかい」6500と「よこすか」がサントスに寄港

 「アトランティス大陸の発見」として世界中から注目された有人潜水調査船「しんかい6500」と同支援船「よこすか」が25日、サントス港に停泊し、その勇姿が報道関係者に公開されました。「しんかい6500」は独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC、平朝彦理事長)が1月から11月まで実施している生命の限界に迫る世界一周航海プロジェクトの一環としてブラジル沖3海域で深海調査を実施し、「アトランティス大陸の発見」という快挙を成し遂げたものです。この発見について北里洋領域長は「南大西洋形成史を書き換える発見」と指摘しています。
 「しんかい」公開と同時に記者会見が支援船「よこすか」船内で行われ、海洋研究開発機構の藤倉克則チームリーダー、北里洋領域長、サンパウロ総合大学海洋研究所のビビアン・エレーナ氏が質疑に応じました。会見には約10社の報道機関が出席しました。
 会見では北里氏が、リオ・グランデ海膨とサンパウロ海嶺での調査の成果について語り、リオ海膨での花こう岩の発見は「南大西洋形成史を書き換える発見」と述べ、その他に「豊かで多様な生物が確認できた」「空白の海域での調査が海洋開発のフロンティアになった」と成果を強調しました。
 エレーナ氏は「ブラジル側での特に人材育成という意味で大変意義のある調査だった。今後は採取したデータをブラジルの複数の研究機関と共有していきたい」と、調査に参加できた喜びを語りました。
 藤倉チームリーダーは「ブラジルは日本と科学分野で最も協力関係にある国。南米各国の中で深海調査を独立してできる能力のある国はブラジルしかなく、今後もできる限り協力したい」と総括しました。
 ブラジルでの調査を終えた同船は28日に次の調査海域のカリブ海に向けサントス港を出港しました。今後ブラジルで得たさまざまなデータの解析をサンパウロ総合大学海洋研究所とブラジル地質研究所が中心となって行います。