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サンパウロ総合大学日系人合格者が減少傾向

 元人文研所長の宮尾進氏(現・同研究所顧問)の調べで、ブラジル最難関とされるサンパウロ総合大学の今年度合格者1万1080人のうち、9.53%にあたる1056人が日系人と分かりました。サンパウロ大学入試業務担当財団が発表した合格者名簿で宮尾氏が調べたものです。
 サンパウロ州の人口約4100万人のうち、日系人は約100万人(約2.5%)です。この割合からすると9.53%の合格者はかなり優秀とも思われますが、宮尾氏は「ここ最近のサンパウロ大学への日系人合格者の減少は著しい」といいます。宮尾氏が2000年に行った調査では、サンパウロ大学合格者の約18%が日系人だったそうです。
 日系人の高学歴志向はブラジルでも周知の事実で、さまざまな調査結果にも表れています。例えば、同じく00年にブラジル地理統計院が発表した人種別学歴統計では、大卒以上の人間が黒人は1.5%、褐色人は2.5%、白人は9%なのに対して、黄色人は22%に上っています。
 宮尾氏はこの日系人の高学歴志向の理由を二つ挙げます。一つは日本移民がヨーロッパ系移民より後進移民であり、社会進出の手立てが学歴を得ること以外に無かったこと。もう一つは、学問を重視する儒教(コウシイズム)の影響だということです。特に後者に関しては日本移民より後発の中国、韓国移民に見られ、中国、韓国移民子弟の高学歴者が多くなっています。