中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

どうなる? 伯米関係

 ブラジルのルーラ大統領は米大統領選で民主党のカマラ・ハリス氏を支持する意向を表明していましたが、共和党ドナルド・トランプ氏が勝利したことで、「勝利は国民の声であり、尊重されなければない」とトランプ氏の勝利を祝福しました。

 ブラジルのメディア6日付によると、ルーラ大統領は「新政府の幸運と成功を祈っている」と述べ、世界はより多くの平和、発展、繁栄を得るために対話と共同作業を必要としているとして対話の必要性を強調しました。ジェラルド・アルクミン副大統領もトランプ氏の勝利を祝福し、「今後4年間で両国間のパートナーシップが拡大することを期待している」と述べています。

 トランプ新政権はより保護主義的な経済政策を採用する可能性があり、ブラジルにとって中国に次ぐ第2位の貿易相手国である米国の経済政策の変更は不利に働く可能性が否定できません。そして「トランプ氏の当選は世界中の民主主義分野への警告だ」(労働者党党首のグライシ・ホフマン連邦副議員)と述べ、「私たちは我が国の民主主義の分野を強化しなければならない」と指摘しています。

 こうした政界の反応に対しブラジルの外交筋は「ルーラ政権は現実主義に重点を置き、両国は良好な関係を維持する必要がある」と述べ、ルーラ大統領のカマラ氏を支持する最近の発言は、ルーラ氏とトランプ氏の将来の関係を複雑にしたと論評しています。

ウルグアイ大統領選は左派と中道右派の戦い

 南米のウルグアイで27日、大統領選挙が行われています。ブラジルメディアによると、左派でムヒカ元大統領系のヤマンドゥ・オルシ氏(歴史教師、57歳)が優勢と見られますが、当選に必要な票は獲得できず、決選投票になると見られています。

 世論調査では、オルシ氏は41%から47%の票を獲得すると見られ、2番手にはラカレ・プウ現大統領(中道右派)の秘書官を努めたアルバロ・デルガド氏(獣医師、55歳)が20%から25%を獲得する見込みで、両候補で決選投票が行われそうです。

パンタナールとアマゾンの火災が大気に悪影響

 欧州コペルニクス天文台の科学者らが23日、「パンタナールとアマゾンはほぼ20年で最悪の火災に直面し、南アメリカの大部分で大気の質に影響を与えている」と発表しました。

 パンタナールがあるアマゾナス州マトグロッソ・ド・スル州などは、天文台による22年間の監視で二酸化炭素の最高排出量を記録し、今年はそれぞれ28メガトンと15メガトンが排出されたとしています。

 またボリビアでは、火災による炭素排出量が同天文台データベースの年間最高値に達し、9月中旬までに合計76メガトンを排出、これまでの記録だった2010年を上回りました。ブラジル全土でも、2024 年の累積排出量は9月19日までに183 メガトンの二酸化炭素 (CO2 トン)に達し、記録的な年となっています。

 天文台の科学者マーク・パリントン氏は「2024年の南米の火災は、特にアマゾンとパンタナールで平均を大きく上回った。発生した煙は、火災が発生した場所をはるかに超えた地域、さらには大西洋を越えた地域にも影響を与えている」と話しています。

混迷深まるベネズエラの政界

 ベネズエラの大統領選は28日に行われたが、政権側は現大統領のニコラス・マドゥロ氏の当選を主張し、野党側はエジムンドゴンサレス・ウルティアの当選を主張、同国の政治混乱は収まる気配がありません。米国はすでに対戦相手のエジムンドゴンサレス・ウルティアの勝利を認めていますが、政権は対話を無視して急進化し、反対派への迫害を強化しています。

 両派対立の解決策としてブラジル大統領府の国際問題顧問セルソ・アモリン氏が新聞「バロール・エコノミコ」に「再選挙の実施」を提案しましたが、両派ともに再選挙の実施を拒否しています。政権側は当初から再選挙は不要としており、野党側も「政権の条件のもとでの再選挙は意味が無い」と同例案を拒否しています。混迷の度は深まるばかりです。

 大統領選の結果について国連の専門家は「選挙過程における政府の不平等を明記し、野党側が提出した議事録には公平性があった」という報告書を発表しています。この報告書についてマドゥロ政権は「ゴミの報告書」と無視しています。

ベネズエラで吹き荒れるマドゥロ政権反対デモ

 ブラジウでの報道によると、ベネズエラマドゥロ大統領は、28日の大統領選挙での勝利以来、ベネズエラ政府に対する国民の抗議活動が続き、31日にマドゥロ大統領は国内の街頭や地域社会に軍隊と警察を配備すると発表しました。またマドゥロ大統領は31日、支持者に対し大統領支援の抗議活動を行うよう呼び掛けました。

 ベネズエラの全国選挙管理委員会(事実上マドゥロ大統領が支配)によると、軍隊と警察を配備はマドゥロ大統領が51%の得票率で勝利したとの発表後に全国に広がっている反政府デモの波に対する政府の対応としています。野党と国際社会は全国選挙管理委員会の発表に疑念を抱き、透明性を求めています。

 ベネズエラNGOによると、国内各地での抗議活動は30日夜まで続き、少なくとも11人が死亡、数十人が負傷したといいます。ベネズエラ司法長官は700人以上を逮捕したと発表しました。

 ベネズエラ野党は、全国選挙管理委員会が発表したマドゥロ氏が得票率51.2%で勝者であると宣言した件で、投票議事録(各投票所の投票数と結果を記録した文書)が公表されていないと正確性に異議を唱え、抗議デモを行っています。マドゥロ氏反対派のマリア・コリーナ・マチャド氏は議事録の73%にアクセスできたと述べ、野党候補のエドムンド・ゴンサレス氏が66.2%対31.2%で勝利しているといいます。

 マドゥロ氏勝利には米州機構も認めないとしており、ラテンアメリカ9か国(アルゼンチン、コスタリカエクアドルグアテマラパナマパラグアイ、ペルー、ドミニカ共和国ウルグアイ)は、全国選挙管理委員会が発表した結果について議論するため、米州機構緊急会合の開催を要請しました。

 ブラジルのルーラ大統領は30日、マドゥロ大統領の再選における不正疑惑を受けて引き起こされたベネズエラ危機について初めてコメント、「争いを解決するためには地方自治体が投票議事録の提示が不可欠」と述べました。そして、「反対派は控訴し、法廷で白黒をつけることが正常で平和的な解決法と確信している」と述べています。

アルゼンチンは強力な経済調整を実施

 アルゼンチン国立統計国勢調査研究所が12日発表した消費者物価指数によると、同国6月のインフレ率は4.6%でした。ブラジルのメディアによると、アルゼンチンのインフレ率は5月時点では4.2%と5カ月連続で減速していましたが、6月に入って再び上昇に向かい始めました。

 6月に物価上昇を牽引したのは住宅、水道、電気、ガス、その他の燃料で、レストランやホテル、教育・文化なども値上がりしました。12カ月後の物価上昇率は271.5%に達すると見られています。

 アルゼンチンは現在、超自由主義者のハビエル・ミレイ大統領指揮下で、強力な経済調整を実施しています。連邦政府の事業の停止、各州への送金を停止、サービス料金への補助金削除といった公共支出の大幅な削減を推進、今年の第 1 四半期には2008 年以来初めての財政黒字を達成しました。しかし、その反動として同国は深刻な不況に直面しています。

 世界銀行は今年のアルゼンチン経済の見通しを経済活動が3.5%縮小するとの予測をしており、1月の予測値2.7%減と比較して0.8ポイント(pp)悪化しています。しかし、2025 年についての予測はより楽観的です。「経済不均衡が解消されインフレが低下するため、5%の成長を遂げ、回復基調に入る」としています。

 ミレイ大統領による一連の改革はアルゼンチン上院も承認しています。このことでミレイ政府は特別な権限を手中にしており、国営企業の民営化推進などの計画を継続していくことになります。

ルーラ大統領を攻撃するミレイ大統領

 ブラジル大統領府はアルゼンチンのミレイ大統領の攻撃的な投稿に不快感を示しながらも、ルーラ大統領に「挑発に応じないよう」助言しました。

 ブラジルのメディアによると、ミレイ大統領はX(旧Twitter)上でルーラ大統領への攻撃を行い、2日の投稿では、ミレイ大統領は「労働者党のメンバーが汚職で逮捕され、ルーラ大統領は共産主義者であると述べている」と批判しています。ブラジル大統領府は「アルゼンチン外交のやり方を批判したからだろう」と見ています。

 大統領府は、ミレイ大統領はアルゼンチン大統領選の際、ルーラ大統領が競争相手のペロン主義者セルジオ・マッサ氏を支援したことを根に持ち執拗に攻撃していると見ています。大統領顧問らはアルゼンチン大統領の攻撃的な姿勢に不満を持ちながらも、「同じ土俵に上がる必要はない」とルーラ大統領に自重を求めています。

 ブラジル外務省は来週末、ミレイ大統領が保守派フォーラムに参加するためサンタカタリーナを訪れるため、その動向を注意深く見守ることになりそうです。

世界の住みやすい都市1位はウィーン、大阪が9位

 英国の雑誌「エコノミスト」が発表した「世界で最も住みやすい都市トップ10」をブラジルのメディアが29日付で報じています。それによると、オーストリアのウィーンが3年連続で住みやすい都市の1位に選ばれ、日本の大阪市が9位にランクインしています。

 2位はコペンハーゲンデンマーク)、3位はチューリッヒ(スイス)、4位がカルガリー(カナダ)と続き、以下はシドニー(オーストラリア)、バンクーバー(カナダ)、大阪、 オークランドニュージーランド)となっています。

 この調査はエコノミスト誌の調査部門が、都市の安定、健康、文化と環境、教育、インフラの状況を分析してランク付けしているもので、毎年発表しています。部門ごとに1から100までのスコアを付け、獲得スコアでランキングしているものです。

 上位の10都市は教育分野で最高スコア (100) を獲得し、1位のウィーンは安定性、健全性、インフラストラクチャの分野でも最高のスコアを獲得しました。ベスト10にブラジルの都市は含まれていません。

ボリビアでクーデター未遂事件

 26日にボリビアで起きたクーデター未遂事件で、27日、首謀者としてホセ・フアン・ズニガ将軍が逮捕されました。同将軍は「大統領の命令に従って行動した」と、ルイス・アルセ大統領が人気獲得のためにクーデターを示唆したと供述しました。政府は大統領の関与を否定しています。

 ブラジルのメディアによると、ズニガ将軍は「アルセ大統領は23日、人気を高めるために何か準備する必要があると語り、私(将軍)は、装甲車両を路上に配備すべきか?と尋ねた。すると大統領は『はい』と答えた」と供述しています。反大統領派も「自らのクーデター騒ぎだ」と主張しています。

 しかし、ズニガ将軍の大統領関与には何の証拠も示されていなく説得力に欠け、政府も関与を否定しています。警察は、クーデターは5月から計画されていたとしており、関与した約20人を逮捕しました。 反乱に参加した兵士は200人だったとしています。弁護士のエヴァリスモ・ママニ氏も「この出来事は計画的に行われたものだろう」と話しています。

乾き火災増加のブラジル

 ブラジルの観光地パンタナールで火災が増加しています。ブラジルのメディアによると、ブラジル全土での火災の増加はアマゾンの激しい干ばつによるもので、アマゾン河流域に深刻な水量不足をもたらしアマゾンで作られる湿気が減少、これがブラジル全土で火災発生の可能性を高めているといいます。

 パンタナールがあるマットグロッソ州マットグロッソ・ド・スル州でも干ばつが続き、世界最大の湿原の生物群も乾燥し、可燃性に変化しています。2023年、同地域の浸水面積は平均より61%減少、火災はマトグロッソ・ド・スル州のパンタナール全体に広がっています。

 乾燥はブラジル全土に広がり国立宇宙研究所によると、今年国内で記録された火災発生件数は過去10年間で最多となっています。専門家は、ラニーニャ現象で太平洋の中部赤道帯が冷え、同地域で多くの雨が降れば、アマゾン河流域の水量が回復するとの期待を寄せていますが、あくまでも期待に過ぎないとしています。