中南米の最新情報

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テメル前大統領を汚職容疑で逮捕

 連邦警察は21日朝、原子力発電所アングラ3号(リオ・デ・ジャネイロ州)の建設工事に関係して賄賂を受け取った疑いでミシェル・テメル前大統領をサンパウロ市内の自宅で逮捕しました。逮捕後、テメル前大統領の身柄はリオ・デ・ジャネイロへ移送されました。国内メディアによると連邦検察庁は、「コロネル・リマ」(リマ大佐という意味)の通称で知られるテメル前大統領の友人がアングラ3号の建設工事にかかわるエンジニアリング企業の経営者に、テメル副大統領(当時)に109万レアル(約3200万円)の賄賂を支払うよう依頼、2014年末にその賄賂が実際に支払われたと主張しています。

 テメル前大統領の逮捕は、ブラジルの大統領経験者の中で実刑判決を受け収監されているルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領に次いで2人目になります。現職のハミルトン・モウラン副大統領はテメル前大統領の逮捕に、「大統領経験者が逮捕されるというのは国にとって非常に良くないことだ。しかし、テメル前大統領の逮捕が諸々のプロジェクトの進行の障害にはならない」とコメントしました。

米GM サンパウロ州で巨額投資

 国内メディアによると、米自動車メーカー、ゼネラルモーターズGM)は19日、2020~24年間にサンパウロ州で100億レアル(約3000億円)の投資を行うと発表しました。100億レアルのうち50億レアルはサンジョゼ・ドス・カンポス工場に投じられ、同社がかつてシボレーのブランドで製造、販売していたピックアップトラックの新型を製造します。

 大規模な投資のニュースは同社ラテンアメリカ法人のカルロス・ザルレンガ社長とサンパウロ州ジョアン・ドリア知事の面談の中で発表されました。この投資でサンパウロ州内では、GMは約1万3000人、ドリア知事は1万5000人の雇用が維持される、としています。また、GMは、この投資によりサンパウロ州政府の自動車産業優遇の対象となり、商品流通サービス税(ICMS)が最大25%割引という恩恵を受けます。

リオ市でデング熱患者増加

 16日付国内メディアによると、リオデジャネイロ市内では今年に入ってから、ネッタイシマカ媒介する「デング熱」の罹患者数が増加しています。今年1月から2月のデング熱患者1000人確認され、昨年同時期比で45%増加しています。リオ市保健当局はデング熱罹患者の大幅な増加を受け、「ネッタイシマカが繁殖するのを防ぐため、水溜りや水溜りの原因となる物を放置しないように」と呼びかけています。

 リオ市内では例年、雨が多くて気温が高い3月、4月、5月にデング熱の患者が増加します。雨が多くて気温が高いという条件が蚊の繁殖に適しているためです。

違法製品での損失が約4.8兆円

 国内メディアによると、海賊版や偽造品、密輸品などが経済に与えた損失は2018年の1年間で約1600億レアル(約4兆8000億円)に上りました。ブラジル偽造撲滅協会と国境経済社会開発研究所が15日に発表した調査結果で明らかになりました。18年の損失額は17年比で11%増加しています。

両機関は、製品の税負担が密輸品などの外国製品の価格を安くし消費者の購買意欲を高めているとして、「密輸と違法市場は拡大しているが、これは正規製品への税負担増加によるものだ。港湾と国境における不徹底な検査で違法商品が増大している」と国境での摘発不備を指摘しています。

州知事、遺族へ賠償

 国内メディアによると、サンパウロ州ジョアン・ドリア知事は14日、サンパウロ市近郊スザノ市内の学校で起きた無差別殺人事件で亡くなった生徒5人と職員2人の遺族に、州政府がそれぞれ10万レアル(約300万円)の賠償金を支払うと発表しました。ドリア知事は「30日以内に犠牲者に賠償金を支払う。犠牲者は州立の学校の中にいた」と述べました。

 13日の無差別殺人事件で2人組の犯人に殺害された8人のうち7人(生徒5人と職員2人)はサンパウロ州教育局の管理下にある公共施設で殺害されため州政府の賠償を受けられますが、もう1人の犠牲者(校外の店で撃たれた)は州立学校とは無関係の場所で殺害されたため賠償の対象になりません。

 州政府による賠償金は、遺族は無条件で賠償金を受け取ることができるます。また同知事は「遺族が、法的に州を訴えることを選ぶとしても、それは自由に出来る」とも話しました。

学校に侵入した卒業生2人が生徒らを射殺

 サンパウロ市近郊の街、スザノ市内にあるサンパウロ州立ラウル・ブラジル学校で13日、校内に侵入した2人組の男が同校の生徒や職員ら合計8人を射殺、その直後に犯人が校内で自殺するという事件が起きました。同日付メディアによると、事件が起きたのは午前9時半頃で、学校は授業の合間の休憩時間でした。

 目撃者によると、フードを被った男2人が同校の敷地内に侵入し、中庭で少なくとも30発の銃弾をバラマキました。校内にいた多くの生徒らはその場から逃げ、近隣の民家に避難するなどしましたが、生徒5人と同校の職員1人、教育コーディネーター1人が撃たれて死亡しました。犯人は学校に侵入する前に学校近くの自動車屋に立ち寄り店主を銃撃、店主は3発弾が当たり病院に運ばれましたが助かりませんでした。店主は犯人2人のうちの1人の叔父でした。

 警察によると、銃乱射の男は17歳と25歳の2人組で、いずれも同校の元生徒でした。警察は犯行現場から38口径の回転式拳銃1丁と弓、火炎瓶と思われる物体数本が入ったリュック、配線が施された物体が入った手提げかばんを押収しました。警察は事件の捜査を進めていますが、現時点で犯行の動機は分かっていません。

現代自がピラシカバ工場能力を増強

 国内メディアによると、韓国・現代自動車のブラジル法人は11日、サンパウロ州ピラシカバ市にある同社工場の生産能力を年18万台から年21万台に拡大するため1億2500万レアル(約37億円)を投じると発表しました。同工場では2013年以降、3交代制で作業を行っており、現在は2700人の従業員で、18年には毎週月~金曜日は24時間操業、土曜日は「残業」で同工場の生産能力(年産18万台)を上回る19万3000台生産を達成していました。これから同工場は投資で生産プロセスを改善し労働者を増員せずに生産能力を3万台増やすとしています。

 投資資金は、オペレーションの改善、ロボットを含む新たなハイテク機器取得に向けられます。同社ブラジル法人は「増産される3万台は、ブラジル市場の成長を見据えたもので、車は主にブラジル市場に供給する。これでシェアを回復できる」としています。

 ピラシカバ工場では現在、販売台数がブラジルで3番目ぐらいに大きい乗用車「HB20」とスポーツ用多目的車(SUV)の「Creta」を生産していますが、需要に対応できないほど売れ行きが好調です。乗用車と軽商用車(ピックアップトラックなど)を合わせた市場シェアは16年に10%を達成し4位となりましたが、生産が需要に追いつかず、19年1、2月はシェアー7.5%、順位は7位まで落ちていました。

リオのカーニバル 「立ち小便」で1万7000円の罰金

 地元メディアによると、リオデジャネイロ市役所は11日、2019年の同市のカーニバルには700万人を超える人が集まり、同市の経済に37億8000万レアル(約1134億円)の収入をもたらしたと発表しました。同市の計算には、サンバパレード会場での動員数だけでなく、路上カーニバルまでが含まれています。

 今年のカーニバル期間中には160万人以上の旅行者がリオ市に滞在し、同期間中にリオ市内の商業、サービス業での消費額は18年のカーニバルに比べて26%増加しました。また同市が収集したゴミの量は、昨年比14%増の1227トンに上りました。

 ゴミを「ポイ捨て」したとして同市の条例違反に問われ、231人が罰金を科されました。路上などで「立ち小便」をした999人が563.30レアル(約1万6900円)の罰金を科されています。

男女間で大きい賃金格差

 ブラジルの女性は働き口を見つけることが困難な上に、職に就いた場合にも男性よりも少ない賃金という問題を抱えています。8日付国内メディアによると、ブラジル地理統計院の「職業集団における男女の賃金差についての特別研究」で、ブラジルの成人男性の平均所得は同年代の女性の平均に比べ20%以上多いと指摘しています。

 2018年の25~49歳の被雇用男性の平均月収は2579レアル(約7万7000円)ですが、被雇用女性の平均は2050レアル(約6万1000円)と男性の79.5%でした。同研究によれば、男女間の賃金格差は年齢が増すに連れて大きくなっています。25~29歳の層では女性の平均月収は男性よりも13.1%安ですが、30~39歳の層では18.4%安となり、40~49歳の層では一気に25.1%も安くなっています。

 職業によっては、女性が受け取る報酬は男性の半分にも満たないものもあります。例えば鉱業や冶金などのエンジニアの場合、男性の平均月収は1万1922.40レアル(約35万7000円)ですが、同じ職の女性の平均月収は5000レアル(約15万円)です。またエレクトロニクスエンジニアの場合も男性の平均が1万2218.80レアル(約36万6000円)で、女性の平均は4000レアル(約12万円)になっています。

EUに「拒否」されたブラジル人6割増

 7日付伯メディアによると、欧州連合EU)への入域を断られたブラジル人の数が2018年に大きく増加しました。欧州対外国境管理協力機関の情報で、18年に欧州連合域内の国に入国しようとして入国を拒否されたブラジル人が4984人いたことが判りました。この数はウクライナ(5万7593人)、ロシア(2万5953人)、アルバニア(2万4546人)、ベラルーシ(7953人)、セルビア(7662人)、モルドバ(6368人)に次いで7番目に多くなっています。

 同機関は、拒否されたブラジル人の多くは有効な査証、あるいは居住許可が無く、旅行や滞在を認める書類を持っていなかったためです。同機関によると、昨年は中東から欧州域内へやって来る不法移民の数が減少しました。ただ、ギリシャとスペインでは減少していません。また、ポルトガルでは不法に入国しようとして見つかった人の大部分をブラジル人が占め、17年の2倍になっています。