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労働者党は大統領選候補をハダッド氏に変更

 国内メディアによると、労働者党は11日パラナ州クリチバ市で開催した全国幹部会議で、大統領候補をルイス・イナシオ・ルーラ元大統領から副大統領候補だったフェルナンド・ハダッド氏(元サンパウロ市長)に変更することを決めました。副大統領候補にはハダッド氏から共産党のマヌエラ・ダビラ氏になりました。

 ルーラ氏の大統領選立候補を認めなかった選挙高等裁判所は労働者党に対し、11日までに大統領選候補者の変更を行わなければ、同党の大統領選への参加は出来ないとしていました。

 ルーラ氏の弁護団は連邦最高裁判所に対し立候補登録無効判断の根拠となった2審有罪判決の効力の一時停止や、選挙高裁が設定した労働者党の候補者変更期限の延長を求める訴えのほか、ルーラ氏の立候補登録は認められないとした選挙高裁の判断に対する抗告を行っていますが、労働者党はとりあえず大統領候補の変更を行ったことになります。

ボルソナロ氏の治療続く

 地元での報道によると、7日、大統領候補のジャイル・ボルソナロ氏(社会自由党)はミナス.ジェライス州ジュイス・デ・フォーラ市で選挙運動中に刃物で腹部を刺され、小腸と大腸、動脈に傷を受ける重傷を負いました。同氏は連邦警察官に市内のサンタ・カーザ病院へ搬送され、緊急手術を受けました。翌8日にはサンパウロ市のアルベルト・アインシュタイン病院に移り、10日現在も同氏はアインシュタイン病院の集中治療室で治療を続けています。

 アインシュタイン病院によれば、ボルソナロ氏は意識があり術後感染症の徴候も無く、容態は安定しています。しかし、依然として集中的な治療を要する状態で、少なくとも1週間程度の入院,加療が続きます。病院は、後日、再手術が必要と話しています。

襲撃犯は40歳の男

 ボルソナロ氏襲撃犯は襲った直後に拘束され、南マットグロッソ州カンポ・グランデ市の連邦刑務所に勾留されています。同州軍警察の調べでは、犯人は40歳で、事件当時はジュイス・デ・フォーラ市内のペンション(木賃宿)に滞在していました。調べに犯人は、「襲撃は計画的な行動で、個人的な動機で刺した」と話し、背後関係は不明です。

 現場にいたもう一人の男も襲撃に関与した疑いで連行され、連邦警察の事情聴取後に釈放されました。男は「犯人と面識はない」と話し、事件との関係を否定しています。男は現場でボルソナロ氏支持者と争いになり負傷、現在近くの病院に入院中で、警察は男が退院後、あらためて調べることにしています。

 事件発生後、大統領選の他の候補やテメル大統領、連邦最高裁判所と選挙高等裁判所長官は、ボルソナロ氏への暴力行為を非難すると表明しました。

国立博物館再建に各国が支援を表明

 アジェンシア・ブラジルによると、2日夜に発生した大規模火災により建物・収蔵品が大きな被害を受けたリオデジャネイロ市の国立博物館再建と修復に向け、国際的な支援の輪が広がっています。国連教育科学文化機関(ユネスコ)も支援を表明しました。

 同博物館の火災では、200年に渡り蓄積された2000万点の収蔵品の9割が焼失、損壊したと見られ、同博物館の研究にも悪影響を与えています。国際的な支援はテメル大統領が直接各国政府に要請したもので、協力作業の管理のためブラジル政府は、省庁横断の管理委員会を立ち上げました。

 支援を表明したのはブルガリア政府、中国政府、チリ政府、フランス政府、ポルトガル政府、エジプト政府、メキシコ政府などです。各国の協力を得てブラジル政府は、12カ月間で、博物館の再建に向けて活動を始めるとしています。

 支援を表明した国の中で博物館学と考古学の分野に知識のあるメキシコは、収蔵品の復元、修復に取り組み、また同博物館がエジプトのミイラに関する膨大なコレクションを所蔵していたことから、エジプト政府も被害を受けたエジプト関連の収蔵品の復原、修復に協力するとしています。

大統領選挙の1次投票はボルソナロ氏がトップ=投票意向調査=

 地元メディアによると、調査会社Ibopeが5日、大統領選挙の投票意向調査の結果、ジャイル・ボルソナロ氏(社会自由党)がトップだったと発表しました。調査では13人の大統領候補者のうちボルソナロ氏が22%を獲得、次いでマリーナ・シルバ氏(持続可能性ネットワーク)とシロ・ゴメス氏(民主労働党)がそれぞれ12%でした。調査は1日から3日間行われ、142市の有権者2002人が回答しました。

 これまで最も人気のあったルーラ元大統領(労働者党)は、選挙高等裁判所が立候補を認めなかったため、質問の中に同氏を含めませんでした。ルーラ氏の代わりに労働者党は、同氏の副大統領候補だったフェルナンド・ハダッド氏を選択肢に含めていました。

 ボルソナロ氏、シルバ氏、ゴメス氏以外の候補では、ジェラルド・アルキミン氏(ブラジル社会民主党)が9%、ハダッド氏が6%、アルバロ・ジアス氏(ポデモス党)とジョアン・アモエド氏(ノボ党)が3%、エンリケメイレレス氏(ブラジル民主運動党)が2%でした。前回調査ではボルソナロ氏は20%を獲得し、シルバ氏が12%、ゴメス氏9%、アルキミン氏7%、ハダッド氏4%でした。

 投票したくない候補者については、これもボルソナロ氏が44%と最も多く、シルバ氏26%、ハダッド氏23%、アルキミン氏22%、ゴメス氏20%と続いていました。

 1次投票でどの候補も半数を得られなかった場合は上位2候補による決選投票が行われます。この場合、ボルソナロ氏とゴメス、アルキミン、シルバ3氏が協調体制を取ると、誰が候補になろうとボルソナロ氏を上回りました。ハダッド氏の場合は、同氏が36%、ボルソナロ氏が37%でした。

立候補却下でルーラ氏が不服申し立て

 各メディアによると、選挙高等裁判所に大統領選出馬を認められなかったルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領弁護団は4日、同裁判所に不服申し立てを行いました。同弁護団は、選挙高裁への申し立てのほか連邦最高裁判所にも、国連自由権規約人権委員会の声明を根拠に、ルーラ氏への2審有罪判決効力の一時停止を求める訴えも行いました。弁護団が根拠とした国連人権委員会の声明は、「上訴中のルーラ氏の政治的権利保障を求める」というものですが、選挙高裁は「声明に強制力はない」と判断しています。

 選挙高裁は、控訴審で有罪判決を受けた人の被選挙資格停止を定めるフィシャ・リンパ法を根拠に、ルーラ氏の立候補は認められないと判断しています。高裁は、ルーラ氏が属する労働者党に、大統領選候補者名簿の大統領候補を入れ替えるための期間を10日間、と通達しました。

 弁護団の選挙高裁に対する不服申し立ては、これから受理するかどうかを判断しますが、同申し立てが合憲と判断されれば、連邦最高裁判所で審理することになります。

ルーラ氏は大統領選に立候補出来ず

 各メディアの報道によると、選挙高等裁判所は31日、10月に行われる大統領選に出馬登録を行ったルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領(労働者党)の出馬審査を行い、立候補は認められないとする判断を示しました。現在、ルーラ氏は2審で禁錮12年の有罪判決を受け収監中で、選挙裁判所が同氏の立候補は適法かどうかを審査していました。

 ルーラ氏の出馬に関して国連の自由権規約人権委員会は、「上訴中は同氏の立候補は認められるべきだ」とする声明を出していましたが、選挙裁判所は「声明に強制力はない」としています。ブラジルでは、2審で有罪判決を受けた人はフィシャ.リンパ法で、被選挙権が停止されることになっています。

 選挙高裁の判断にルーラ氏の弁護側は、同裁判所または連邦最高裁判所へ不服申し立てを行う可能性が残されています。

ペット市場で医薬品分野が伸び

 国内メディアによると、国際市場調査のユーロモニターの調査でブラジルのペット市場は2016年、対前年比で4.9%拡大、世界2位の189億レアル(約5076億円)に膨れ上がり、17年にはさらに拡大し、203億レアル(約5450億円)に増大しています。ユーロモニターは、ブラジルのペット市場は2年後、米国を抜いて世界最大になると予想しています。

 ペット市場で17年に大きな伸びを見せたのは、売上高が16年に対して7%拡大したペット用医薬品分野です。ペット用医薬品を扱う薬局は、現在、店舗販売のほかオンライン販売を活用することを考えています。ブラジル・ペット用品工業会のデータを見ると、昨年、ペット用医薬品に支出された金額は、ペット関連市場全体の7.7%に相当する15億レアル(約450億円)に上っています。

 動物用の医薬品を専門的に扱うブラジル最大の薬局チェーン、ドロガベチ社は市場の成長に乗じて、18年末までにフランチャイズ薬局を50店舗まで増やす方針です。同社は、店舗とオンライン両方のチャネルを利用して販売増を目指しており、「開発に1年半をかけた電子取引は今、眼科用製品とともに成果を発揮しつつある」としています。同社の考えでは、店舗とネット販売を組み合わせることで、売上高を10~15%増加すると見ています。

 インターネットでの医薬品販売について国家衛生監督庁は、「利用者が薬剤師やその代理人と即座に相談できるシステムである必要がある。販売者はこのため、専門家を常時配置しておかなければならない」と注意を促しています。

貧困と投資減で乳児死亡率上昇

 エスタード紙によると、2016年の乳児死亡率が1990以降で初めて前年比で増加し、専門家は「貧困の進展と保健への投資の減少が原因」と指摘しています。指摘は、保健省が1歳未満の乳児と妊産婦の死亡率上昇の原因究明で招いた専門家討議中に行われました。データでは、16年の1歳未満の乳児死亡率は出生数1000あたり14で、対前年比4・8%増です。

 当初は、ジカ熱流行よる出生数の減少が1歳未満死亡率を引き上げたと見られていました。ブラジリア大学のアナ・マリア・ノガレス・バスコンセロス教授のその一人でしたが、その後の研究で同教授は「乳児死亡率上昇傾向は、ジカ熱流行後も繰り返されている」と指摘して自説を否定、「死亡率の変化の速さに驚いている。投資の不足と管理問題が原因」と述べています。

 保健省は乳児死亡率の上昇について、出生数減少が影響いう見方を変えていません。

南東部で猛威を振るう黄熱病

 地元での報道によると、サンパウロ州内で黄熱病による死亡が激増しています。同州保健局調査では、サンパウロ州内で2017年1年間で38人が黄熱病で死亡しました。今年に入ってからも黄熱病の猛威は続き、8月までで昨年の4.6倍に相当する176人が死亡しています。州保健局は、年末までにさらに増えると予想しています。

 黄熱病による死者が増加しているにもかかわらず、黄熱病ワクチンの接種がなかなか進んでいません。保健局は州民の95%がワクチンの接種を受けることを目標に活動していますが、現在、州民の接種率は70%と捗っていません。

 黄熱病の罹患者は主に南東部で増加しています。保健省によると、17年7月から18年6月までに南東部各州で確認された罹患者の数は、ミナス・ジェライス州520人、サンパウロ州516人、リオ州223人、エスピリト・サント州6人となっています。その他、国内全体で1232人が黄熱病の疑いがあるとして調査中です。

零細・小企業517万社が資金ショート

 国内での報道によると、セラーザ・エクスペリアンが13日、6月の時点で延滞債務を抱えている零細・小規模企業が517万4000社と発表しました。これは過去最多の前月(512万2000社)より1%多く、2カ月続けて最多記録を更新しています。対前年同月比では9.5%(約44万7000社)増です。

 セラーザは、「零細・小規模企業は、ブラジル経済がゆっくりとした成長を始めたことで原材料費が上昇、増加する運営資金がショートしデフォルト(債務不履行)に陥っている」と見ています。デフォルト状態にある零細・小規模企業を産業別に見ると、46.5%がサービス業が占め、44.5%が商業、8.6%が工業です。

 また、デフォルト企業の地方別では、54.3%がサンパウロ、リオ両州の南東部に集中し、北東部は16.1%、南部は15.8%、中西部は8.7%、北部は5.2%でした。