中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

輸出が好調で自動車生産拡大

 地元メディアによると、全国自動車工業会は6日、完成車の好調な輸出で生産が拡大していると発表しました。2018年1月の国内生産は乗用車、軽商用車、トラック、バスを合わせて21万6834台と17年1月の生産台数を24.6%上回っています。対前月比では1.5%増でした。1月の輸出台数は06年に記録した1月の最高(4万6000台)を超える4万7000台に上っています。

 自工会のアントニオ・メガレ会長は「我々はあの最も憂うつな段階から抜け出しているところだ。(今年1月の)数字は1月のものとしては非常に妥当なものであり、過去10年間の平均(生産数)の範囲内に納まった。1月(の輸出)は史上最高だった。我々は年間輸出台数の新記録樹立に向けて進んでいる」とコメントしています。

 自動車生産の復調で同産業を支える労働者の生活も通常に戻りつつあり、新規採用を始めるメーカーも現れています。

18年の成長予想2.7%

 各メディアによると、ブラジル中央銀行は5日、2018年の経済成長見通しを前週のプラス2.66%からプラス2.70%と発表しました。2019年もプラス2.99%から3.00%と予想しています。これは100を超える金融機関アナリストの見方を集計したものです。

 2018年の年間インフレ率の予想は3.95%で、2018年末の基本金利予想はこれまでと同じ6.75%としています。

携帯電話契約が1年で758万件減少

 国家電気通信庁によると、2017年12月末時点におけるブラジルの携帯電話(モバイル・インターネットを含む)の有効回線は、1年前に比べて757万8808件少ない2億3648万8548件でした。有効回線のうち1億4851万件(全体の62.8%)は料金先払い、8798万件は料金後払い契約です。地元メディアが伝えています。

 16年末から17年末にかけて有効回線数が増加したのはロライマとサンパウロ2州で、他の州、ブラジリア連邦直轄区の回線数は減少しました。ロライマ州内の回線数は1年間で5715件増加し17年末で48万5000件、サンパウロ州は17万8000件増で6235万3000件でした。この1年間で減少率が最も大きかったのは22万7000件減のアラゴアス州、実質減少数では108万5000件減のリオ州でした。

 主要な通信事業者の17年末時点でのシェアはビーボ(Vivo)31.69%、クラーロ(Claro)24.96%、チン(Tim)24.79%、オイ(Oi)16.47%。4社の中でシェアが拡大したのはビーボとクラーロで、チンとオイはいずれもシェアを落としています。この1年間で契約者が増加したのは116万1979件増のビーボだけでした。

サンパウロ市カーニバルに日本人も多数参加

 9日、ブラジル各地でカーニバルが始まりました。サンパウロ市でもサンボードロモのカニバル会場で開幕し、12日まで華やかな衣装に身を包んだサンバ・ダンサーが真夏の祭典を彩りました。会場には3万人を超える人が集まり、ダンサーの中には日系人や日本人の姿も見られました。

 パレードのトップバッターは「光、カメラ、恐怖、独立した生産」をテーマにした「INDEPENDENTE TRICOLOR」が務め、悪魔やゾンビの衣装で踊り観客を興奮させました。続いて「ペルーシ」が「アフリカ出身の歌い手の80歳記念」をテーマに登場、アフリカ文化を反映した衣装の踊り子がアフリカ色の濃いサンバを披露しました。ペルーシには多くの日本人も参加、サンバ指導を行っている葛西叙江さんを筆頭に、葛西さんの生徒らが山車の上や、ダンサーら約50人が会場を熱狂させました。

 ペルーシの山車の上で踊った前田史恵さん(43、京都)は「出番の直前まで衣装が届かず、山車が動き出してから最後の部分が届いて、はらはらした」と振り返り、「街で生活しているよりも、ブラジルらしさをスタンドのお客さんたちも含めて感じられた。また機会があれば参加したい」と上気した顔で話しました。

 また同じく吉田理加さん(39、千葉)は「ブラジルを満喫したい一心で、カーニバルに参加した。仲間と一緒に進めた準備が楽しかった。スタンドから手を振ってもらえるのも嬉しかったし、カーニバルを肌で感じられた。ここでなければ出来ない経験ができた」と楽しそうに語っていました。
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 <写真>ウニドス・ド・ペルーシに参加した吉田さん(サンパウロ新聞提供)

小売業績3年ぶりプラス

 各メディアによると、ブラジルの小売業界の売上げが金利の低下で調子を取り戻し、家具、家電製品の販売が好調で対前年比2%の伸びになりました。ブラジル地理統計院が9日発表したもので、2年続けて落ち込んでいた小売りが、やっと回復を見せ始めたようです。

 昨年の小売業界は家具や家電のほか、スーパー・ハイパーマーケットの業績も上向いています。しかし地理統計院は慎重で、小売りが完全に回復したというには時期尚早としています。地理統計院は「17年は国内販売の2年間の落ち込みが止まった。しかし、過去2年間で減少した10.2%の回復にはまだ遠い」と説明しています。

奴隷的扱いで宗教指導者を逮捕

 各メディアによると、連邦警察はバイーア、ミナス・ジェライス、サンパウロ各州で活動する宗教グループを強制捜査、6日、指導者13人を拘束しました。これまで警察は、信者が奴隷のような扱いを受けているとの疑いで捜査していました。調べで宗教グループは、信者を奴隷のように扱っていたほか、人身取引や詐欺、組織犯罪、文書偽造、資金洗浄などにも関与させていた疑いがもたれてます。

 連邦警察は、宗派指導者は教会で信者たちに、「この組織を維持・管理するため、自分の財産全てを寄付するよう説得していた」と見ています。そのため教義の中に、「全ての財産や不動産が共有されるコミュニティで共存する」と謳い、宗教を隠れ蓑に犯罪を行っていたとの見方をしています。

 指導者はこの教義を信者たちに教え込み、財産を寄付させた後、3州各地の畑や修理工場、ガソリンスタンド、パステル店、菓子店、縫製業で無報酬で働かせていました。寄付された財産や無報酬で働かせたことで、この教団は家屋や大農園、高級車を含む大規模な財産を蓄積していました。現在は、3州だけでなく、別の州にも手を広げつつありました。

 捜査は、教団所有の企業についても行われ、指導者5人が勾留されるまで進んでいます。6日には、22件の予防勾留、17件の商業施設活動停止、42件の捜索押収各令状を執行するため、連邦警察官220人、労働省監査官55人が各地で動員されました。

「銃を持った第2の男」はバイトの軍警官=カーニバル小便殺人=

 地元メディアの続報によると、ガソリンスタンド内のゴミ置き場で小便をした路上カーニバル参加者の男性2人が銃で撃たれ死亡した事件で警察は、監視カメラに映っていた「銃を持った第2の男」は軍警官だと特定、発表しました。ガソリンスタンドのビデオには、男性2人を銃で撃った給油係の男(指名手配中)のほかにもう1人、銃を手に持っている男の姿が映っており、警察は身元の特定を急いでいました。

 警察の調べによると、この軍警官は仕事が休みだったため、同ガソリンスタンド内のコンビニエンスストアの警備のアルバイトをしていました。スタンドのオーナーは警備員は雇っていないと話していましたが、嘘の供述でした。副収入を得るため警察官が警備のアルバイトをするのは広く行われていることですが、建前はアルバイトは警察の規則で禁じられています。

 問題の警官は事件当時監視カメラに、私服で腰付近から拳銃を抜き出し、銃口を下に向けた状態で片方の手のひらで隠すように持っている姿が映っています。警官は「乱闘騒ぎの最中に、鉄を取れという言葉を聞いたため用心のために銃を取り出したが、誰にも向けることはせず、騒ぎが収まった後に元の場所に戻した」と説明、銃による威嚇も発砲もしていないと供述しています。

給油係の犯行と断定=カーニバル小便殺人=

 6日の地元メディアによると、サンパウロ市内のガソリンスタンドで3日夜に起きた小便をめぐる銃撃事件で、警察はガソリンスタンドの給油係の男(47)を銃撃犯と断定、逮捕状を裁判所に請求しました。発砲した給油係は事件後に姿をくらましており、警察が行方を追っています。

 警察の調べに同スタンドの従業員たちは、見知らぬ男が発砲したなどと口を揃えていました。しかし、スタンド内に設置された監視カメラに路上カーニバル参加者とスタンド従業員の乱闘が写っており、乱闘中にシェル石油の赤色の作業コートを着た給油係の男がカーニバルのグループに向けて複数回発砲する姿がはっきりと認められました。映像には、発砲した給油係の男のほかにもう一人、銃を手に持っている男の姿が映っていましたが、警察はこの男も発砲したのかどうか、調べを進めるとしています。

 現場で事件を目撃した人は「銃撃した男はスタンドが雇っている警備員だろう」と話していますが、ガソリンスタンドのオーナーは警備員の存在を否定しています。オーナーは「従業員は誰一人として、スタンド内の小便をする場所ではない所に小便をした連中に、発砲したのが誰かを言わなかった」と話しました。

風力発電が徐々に増加

 メトロジャーナル紙によると、昨年、ブラジル国内発電のうち風力発電が7.3%を占めました。国内の風力発電は、2010年代初めに連邦政府の入札が始まってから10倍以上に成長しており、今後5年間で少なくとも46%成長すると見られています。

 ブラジル風力エネルギー協会は、「経済状況は最悪な状態から脱出した。これから回復と成長のためにエネルギーが必要になり、風力エネルギーの先行きは明るい」と話しています。また、「ブラジルは再生可能エネルギー分野で風力という非常に大きな潜在力を有している。我々の国には世界最高の風があり、最高の質で低価格で発電でき、他のエネルギーとの競争力もある。このため投資家の関心も高い」としています。

 特に北東部と南部の風は、世界平均(設置容量の30%)を上回る生産性があるといわれます。北東部では、発電量は年間で容量の40%を超え、7月から10月には水力発電と同じ容量の60%に達しています。冬と春の貯水量が低下する季節は、風の状態が最も安定しているときで、同協会関係者は「雨が降り始めると風が止み、雨が少なくなると最良の風が吹という完璧な補完関係にある」と強調しています。

 昨年の北東部地方は、雨量が少なく水力発電は深刻なレベルに落ち込みました。風力発電を重用しなかった月は3月のみでした。国家電力システム運営機構の調べでは、7月の風力発電比率は55.7%に達し、6~10月の期間は他のエネルギー源による電力供給を上回りました。風力電力が消費電力の64%を占め、発電容量の76%を記録した日もあったとしています。

 また、生計のための単一栽培に頼っていた4000家族は土地を賃貸することで、風力タービン1台につき月1000レアルの収入を得ています。風力発電の恩恵はこんなところにも波及しています。タービンは他の作物栽培の妨げにはならないそうです。

小便が原因で銃撃され2人死亡

 地元メディアによると、街頭で立ち小便をすると500レアルの罰金と定めた条例が施行されて初のカーニバルを迎えたサンパウロ市内で、路上カーニバル開催初日の3日だけで参加者30人(50人とする報道もある)が立ち小便で罰金を科されました。またカーニバル参加の男性3人が小便が原因で銃撃され、2人が死亡、1人が重症で入院しました。

 事件は同市内南部のイビラプエラ公園付近で行われていた路上カーニバルで起きました。3人はカーニバル列に合わせ徒歩で移動中、小用を足すためトイレを借りようと通り沿いにあるガソリンスタンドに立ち寄り、そこで銃撃されました。

 ガソリンスタンド従業員は事件の経緯を警察に、「我々がトイレの使用を認めなかったところ3人は、スタンド内のゴミ袋が置いてあるところで用を足した。用を足し店頭にきたところ、見知らぬ何者かに銃で撃たれた」と証言しています。ところが事件現場にいた被害者の友人は、「被害者の友人3人は給油係員と口論した後に撃たれた」と証言、従業員との証言と食い違いを見せています。

銃撃者は従業員か警備員?

 目撃者の一人は記者の取材に、「被害男性はスタンドの従業員のからゴミ置き場で小用を足しても良いとの許可をもらいそこへ向かったところ、他の給油係員によってゴミ置き場で用を足すのを禁じられた。用を足し3人がスタンドの店頭へ戻ってくるとケンカが始まり、白いシャツを着た1人の男が鉄の棒と銃を取り出した」と話し、別の女性は「暴力行為は目撃したが、誰が撃ったのかは見ていない。でも銃撃犯はこのガソリンスタンドの警備をしていた者だと思う」と話しました。

 また匿名で取材に応じた目撃者は「6回の銃声を聞いた。誰が撃ったかは見ていない。しかし、銃弾は体の致命的な部位に命中していることから、撃ったのは警備員かスタンドでアルバイトをしている警察官ではないかと考えている。従業員たちは銃撃犯をかばっているのではないか」と話しています。