中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

新築住宅成約数は低水準

 地元メディアによると、サンパウロ商用・住宅不動産売買・賃貸・管理業者組合が26日、ブラジル最大の不動産市場であるサンパウロ市の2017年2月の新築分譲住宅の成約戸数を前月比28.3%増、前年同月比4.5%減の798戸と発表しました。成約戸数は過去の数字に比べ低水準です

 同組合は、「市場動向は依然として15年、16年の低調な経済を反映しているが、目標値の4.5%に近付いているインフレ率とともに、金利が低下する傾向にあり、今年の不動産業界は回復の波に乗ると期待している」と、市場は上向くとの見方をしています。

 価格帯は、成約した物件の中では22万5000~50万レアル(約787万~1750万円)が347戸で最も多く、発売物件の中でも同価格帯が61戸で最多でした。

携帯、1年間で1514万件減

 地元メディアによると、国家電気通信庁が11日、2017年2月末時点の携帯電話の契約回線数は2億4291万8971件と発表、前月末時点に比べ50万608件、16年2月末時点に比べ1514万3806件も減少しました。

 今年1月末から2月末にかけては、首都ブラジリアを含む27州中の23州で携帯電話の契約回線数が減少しています。減少数が多かった州は10万9639件減ったリオ州で、ミナス・ジェライス州(8万4189件減)、セアラー州(7万1829件減)と続いています。増加した州もあり、リオ・グランデ・ド・スル(3万6843件増)、マット・グロッソ・ド・スル(3782件増)、ロンドニア(2379件増)、トカンチンス(1081件増)の4州でした。

 17年2月末時点の主な事業者のシェアはVivo30.4%、Tim25.6%、Claro24.8%、Oi17.3%となっています。この4事業者の中で契約回線数を減らしたのはTimだけで、他の3事業者はいずれも増やしました。

44%が「非常に満足」=15歳の生活満足度調査=

 経済協力開発機構OECD)が19日に発表した2015年度PISA(国際学生評価プログラム)調査の「学生の満足度」報告書で、ブラジルの15歳生徒の生活に対する満足度が先進国の生徒より高いということが分かりました。国内メディアが報じています。72カ国の15歳の生徒54万人を対象に行なわったもので、ブラジル青少年は授業時間外のインターネット使用が他国よりも多いという結果も見られます。

 調査は、0(最悪の生活)から10(最高の生活)の指標を設定、生活の満足度を選択するよう求めています。ブラジルの平均は7.59で、OECD加盟35カ国の平均7.31をわずかに上回っています。「非常に満足している」(9および10)と答えたブラジル人は44.6%で、OECD加盟国の平均(34.1%)を上回りました。「非常に満足している」との回答が高かった国はドミニカ共和国(67.8%)、コスタリカ(58.4%)、コロンビア(50.9%)となっています。アジアの韓国や香港では20%にも達していません。

 「不幸」(0から4と回答)と回答したブラジル人は11.8%で、OECD加盟国の平均と同じでした。

職務中に誘拐され現金など奪われる

 地元メディアによると、交通取締りを業務とするサンパウロ市交通工学公社の係員が26日、仕事中に電撃誘拐される事件が起きました。

 事件の経緯は、交通工学公社の係員が同市内西部の幹線道路で路上に停車していた車両をけん引しようとしたところ、別の車に乗っていた武器を持った2人組に拉致され、けん引中の車両に押し込められました。車内には3人乗っていました。武器を持った2人組はその後、交通工学公社の車を運転し、車両1台をけん引したまま市内東部大通りまで来て係員を解放、交通工学公社の車を放置したまま逃走しました。

 交通工学公社の係員は現金400レアルと携帯電話を奪われました。

リオ州のATM爆破事件はPCCが指導

 リオ・デ・ジャネイロ市および同都市圏で銀行支店のATM(現金自動預け払い機)が連続して爆破される事件が起きていますが、同州検察局は実行犯をサンパウロ州を拠点とする犯罪組織PCC(州都第一コマンド)のメンバーから訓練を受けた人間とみています。リオでは22日までの1週間に6カ所でATMが爆破されています。これまでのケースだと、犯行グループは武装した10~15人で、車両に分乗し現場へ移動、深夜3~4時ごろ約10分間でATMを爆破しています。犯行後は警察車両の追跡を妨害する突起物を路上にまいて逃走しています。

 地元メディアによると、リオ州検察局組織犯罪撲滅特別行動グループが9カ月間にわたって捜査を続け、リオ州の犯罪組織コマンド・ベルメーリョ(CV)と繋がりのある犯罪者がPCCから爆弾の取り扱いや配置に関する指導を受けていることを突き止めました。PCCとCVは昨年末まで同盟関係にありました。捜査官は「奴らは単にATMを爆破するだけではない。サンパウロ州の犯罪者が長年にわたってこの種の犯罪を続け紙幣が損傷しない破壊技術を習得、リオへ移動しその技術を教えている」と指摘しています。

 ATM爆破を狙う犯罪組織が直面していた問題は、爆発時に紙幣が損傷し使用出来なくなることでした。ATMには、熱で爆発を感知して紙幣を利用できない状態にする装置が設置されているためです。ところが犯罪組織は、紙幣が収納されている部分を保護し爆発させる爆薬の配置方法を取得しているのです。

 検察局は20日、昨年以来リオ州でATMの破壊を行っていたとみられるグループの強制捜査をリオ州、サンパウロ州で行いましたが、犯人グループの一斉検挙とはいかず、容疑者の一部は現在も逃走したままです。

自動二輪生産が対前年比で1.6%増

 オートバイ・メーカーが加盟するブラジル2輪自工会が12日、2017年第1四半期(1~3月)のブラジル国内オートバイ生産台数は対前年同時期に比べ1.6%増の23万1381台と発表しました。国内メディアが報じたものです。

 17年のオートバイの生産は1月に前年同月比7.5%増と拡大しましたが、2月は同5.4%減と落ち込み、3月になって同2.3%増と盛り返しました。同自工会は声明の中で「今年2月はカーニバルの休日のために昨年2月よりも営業日が4日少なかった」と落ち込みの理由を述べています。マルコス・フェルマニアン自工会会長は「小売りにとって今年初めの2カ月は非常に悪かった。3月になって良くなり、今年は少なくとも業界の目標を達成できると期待させるプラス要因だ」としています。

 排気量別にみると、今年1~3月には160cc未満の小排気量車の生産が16年同時期に対して4.6%落ち込み、18万9050台にとどまりました。フェルマニアン会長は小排気量車の生産減少について、「このクラスのオートバイの主要ターゲットである低所得層が不景気に苦しめられているためだ」と指摘しています。160cc未満の小排気量車の今年1~3月の小売り台数は17万7431台と、対前年比で14.6%も落ち込んでいます。

立ち小便に罰金条例がサンパウロ市議会通過

 地元メディアによると、サンパウロ市議会は19日、路上で立ち小便をした場合500レアル(約1万7500円)の罰金を科す条例案を賛成多数で可決しました。サンパウロ市長が承認すれば発効します。主に街頭カーニバルや文化イベント「ビラーダ・クルトゥラル」、LGBTプライド・パレード(通称ゲイ・パレード)などの大規模イベントの開催時や、サッカーの試合会場への行き帰りの道で適用されます。

 カイオ・ミラン市議(PSB)は、市長が発表した新しい公衆トイレが設置されるまでの間に、高齢者や子供、路上生活者など、尿意をもよおした時に路上で排尿する以外の選択肢を持たない者を傷付けることの無いよう、条例違反に当てはまる条件がこれから検討されるとしています。同市議は「街頭カーニバルの参加者らが列に並びたくないという理由で公衆トイレの脇に立ち小便をするのを防ぐことにある」と同条例の狙いを話しています。

 条例が発効した場合、違反者から徴収された罰金は都市清掃のために同市の基金に納められます。

上場企業全体で9%増益

 国内メディアによると、財務情報を提供するエコノマチカ社の調べで、2016年のブラジル上場企業295社の純利益合計が前年を9.4%上回りました。純利益合計は980億レアル(約3兆4300億円)で、15年は896億レアルでした。エコノマチカ社がモニタリングしている26業界の中で15年から16年にかけて収益性が悪化したのは11業界、損失を計上したのは15年の7業界から6業界へ減少しています。

 業界別に見ると、最も多く利益を計上したのは銀行業界で、上場23行の純利益は合計485億レアルに上り、上場企業295社の利益のほぼ半分を占めています。利益の落ち込みが激しかったのは建設業で、上場18社合わせて78億レアルの損失でした。建設業界の損失は、53億700万レアルにも上る損失を出したPDG社の影響を受けたものです。

 企業別では、16年に最も大きな利益を上げたのはイタウ・ウニバンコ銀行で、銀行業界の16年の利益の44.5%に相当する216億3900万レアルの利益を出しています。2番目はブラデスコ銀行で、利益は150億8300万レアルでした。損失額が大きかったのは国営石油会社ペトロブラスの148億2400万レアルの赤字、次いで電気通信事業者のオイが69億4300万レアルの損失を出しています。

日系3世のエンジュさん 日本で歌手デビュー

 日本音楽サンパウロ州ジュニア大会や日本音楽ブラジル全国大会で優勝し、2013年の県連主催フェスティバル・ド・ジャポンのミス日系コンテストで「ミス・サンパウロ」に輝くなど、実力派のエンジュ(本名=島田デボラ・エンジュ、3世)が今月、歌謡曲「いとおしい」をひっさげて日本の芸能界に歌手デビューしました。「いとおしい」の作詞・作曲を手がけたのは中村泰士氏で、エンジュのプロデュースも行っています。

 エンジュは7歳の時、歌の指導者だった祖母の故、延寿(えんじゅ)ヨネコさんに日本の演歌を教えてもらったことがきっかけで、日本文化に興味を持ち、歌だけでなく和太鼓や三味線にも興味を持ち、現在では両方とも高い演奏技術を身につけています。

 作詞・作曲をした中村氏は、細川たかしの「北酒場」やちあきなおみの「喝采」など、数々のヒット曲を出しています。歌手の育成でも定評があり、今年78歳になる同氏は「年齢的に、これが最後かな」と語っており、「中村氏、最後のプロデュース」としてスポーツ紙などが早くも注目しています。デビュー曲に関して中村氏は、「売り上げ2万枚、ファン20万人を最低保証します。レコード大賞新人賞を目指したい」と強気の宣言をしました。

 9日、中村氏が大阪を「歌謡曲の聖地」にしようと企画した音楽イベント「レインボー1万人の歌謡曲」が大阪で開催され、エンジュは同イベントに特別出演、約1万人の前で「いとおしい」を熱唱しました。

 1万人という大観衆の前で歌ったのは3年前に来日してから初めてというエンジュは、「緊張と快感が混じったような、舞台で歌う時に感じる独特な感覚を今回も持つことができた。ブラジルで歌う時、子どもの頃から感じていたものと同じです」と話しました。

 写真は「レインボー1万人の歌謡曲」で熱唱するエンジュさん(株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー提供)=サンパウロ新聞より=f:id:ncb:20170421140631j:plain

汚職捜査で最高裁に特別作業グループ

 地元メディアによると、ペトロブラス汚職捜査の手続きを早めるため、最高裁に特別作業グループが設置される見通しです。作業グループの規模はまだ明らかにされていません。現在同事件を最高裁で担当しているのは3人の判事補と判事1人です。

 ジェトゥリオ・バルガス財団の話では、「最高裁で取り扱われる特権階級が関わる刑事案件は手続きが終了するまでに5年以上かかることも珍しくない」としています。

 司法取引で証言したオデブレヒト社元役員によれば、同社で不正な資金を管理していた部署から賄賂または選挙時の非公式口座を通じた資金として支払われた金額は、2006年から14年の間に計33億ドルに上りました。2010年に4億ドル、12年には7億3000万ドル、ピークの13年には7億5000万ドルを支払ったと話しています。メディアが同社会計報告等のデータを元にした調査では、同期間中の4年間は、不正な資金の支払額が同社の純益を上回っていたと報じています。