中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

上場企業全体で9%増益

 国内メディアによると、財務情報を提供するエコノマチカ社の調べで、2016年のブラジル上場企業295社の純利益合計が前年を9.4%上回りました。純利益合計は980億レアル(約3兆4300億円)で、15年は896億レアルでした。エコノマチカ社がモニタリングしている26業界の中で15年から16年にかけて収益性が悪化したのは11業界、損失を計上したのは15年の7業界から6業界へ減少しています。

 業界別に見ると、最も多く利益を計上したのは銀行業界で、上場23行の純利益は合計485億レアルに上り、上場企業295社の利益のほぼ半分を占めています。利益の落ち込みが激しかったのは建設業で、上場18社合わせて78億レアルの損失でした。建設業界の損失は、53億700万レアルにも上る損失を出したPDG社の影響を受けたものです。

 企業別では、16年に最も大きな利益を上げたのはイタウ・ウニバンコ銀行で、銀行業界の16年の利益の44.5%に相当する216億3900万レアルの利益を出しています。2番目はブラデスコ銀行で、利益は150億8300万レアルでした。損失額が大きかったのは国営石油会社ペトロブラスの148億2400万レアルの赤字、次いで電気通信事業者のオイが69億4300万レアルの損失を出しています。

日系3世のエンジュさん 日本で歌手デビュー

 日本音楽サンパウロ州ジュニア大会や日本音楽ブラジル全国大会で優勝し、2013年の県連主催フェスティバル・ド・ジャポンのミス日系コンテストで「ミス・サンパウロ」に輝くなど、実力派のエンジュ(本名=島田デボラ・エンジュ、3世)が今月、歌謡曲「いとおしい」をひっさげて日本の芸能界に歌手デビューしました。「いとおしい」の作詞・作曲を手がけたのは中村泰士氏で、エンジュのプロデュースも行っています。

 エンジュは7歳の時、歌の指導者だった祖母の故、延寿(えんじゅ)ヨネコさんに日本の演歌を教えてもらったことがきっかけで、日本文化に興味を持ち、歌だけでなく和太鼓や三味線にも興味を持ち、現在では両方とも高い演奏技術を身につけています。

 作詞・作曲をした中村氏は、細川たかしの「北酒場」やちあきなおみの「喝采」など、数々のヒット曲を出しています。歌手の育成でも定評があり、今年78歳になる同氏は「年齢的に、これが最後かな」と語っており、「中村氏、最後のプロデュース」としてスポーツ紙などが早くも注目しています。デビュー曲に関して中村氏は、「売り上げ2万枚、ファン20万人を最低保証します。レコード大賞新人賞を目指したい」と強気の宣言をしました。

 9日、中村氏が大阪を「歌謡曲の聖地」にしようと企画した音楽イベント「レインボー1万人の歌謡曲」が大阪で開催され、エンジュは同イベントに特別出演、約1万人の前で「いとおしい」を熱唱しました。

 1万人という大観衆の前で歌ったのは3年前に来日してから初めてというエンジュは、「緊張と快感が混じったような、舞台で歌う時に感じる独特な感覚を今回も持つことができた。ブラジルで歌う時、子どもの頃から感じていたものと同じです」と話しました。

 写真は「レインボー1万人の歌謡曲」で熱唱するエンジュさん(株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー提供)=サンパウロ新聞より=f:id:ncb:20170421140631j:plain

汚職捜査で最高裁に特別作業グループ

 地元メディアによると、ペトロブラス汚職捜査の手続きを早めるため、最高裁に特別作業グループが設置される見通しです。作業グループの規模はまだ明らかにされていません。現在同事件を最高裁で担当しているのは3人の判事補と判事1人です。

 ジェトゥリオ・バルガス財団の話では、「最高裁で取り扱われる特権階級が関わる刑事案件は手続きが終了するまでに5年以上かかることも珍しくない」としています。

 司法取引で証言したオデブレヒト社元役員によれば、同社で不正な資金を管理していた部署から賄賂または選挙時の非公式口座を通じた資金として支払われた金額は、2006年から14年の間に計33億ドルに上りました。2010年に4億ドル、12年には7億3000万ドル、ピークの13年には7億5000万ドルを支払ったと話しています。メディアが同社会計報告等のデータを元にした調査では、同期間中の4年間は、不正な資金の支払額が同社の純益を上回っていたと報じています。

成人の45%が慢性疾患

 サンパウロ州カンピーナス大学がブラジル全国で6万人を対象に実施した第1回全国健康調査の分析結果で、18歳以上のブラジル人の45%が慢性疾患に苦しんでいることが分かりました。明らかになった慢性疾患は高血圧、糖尿病、関節炎やリウマチ、背中・腰の問題、うつ病ぜんそくなどです。

 地元メディアによると、調査担当の研究者は「慢性疾患を抱えている人は教育レベルの低い人や民間の健康保険に加入していない人が多い」と指摘し、「生活が安定している人と高学歴な人は、健康的な生活習慣を身に付ける情報にアクセス出来るのだろう」と解説しています。

消費者の景況感上昇

 地元メディアによると、消費者の景況感を表すジェツリオ・バルガス財団(FGV)の指数、消費者信頼感指数が3月、対前月で3.5ポイント上昇、14年12月以降で最も高い水準の85.3ポイントになりました。3月は同指数の現況を評価する指標と期待感の指標両方が改善しています。

 現況指数は対前月で1.2ポイント高く、15年8月以降で最高の71.5ポイント、期待指数は前月比5.1ポイント高で95.7ポイントに達しています。同財団によると、3月の景況感の改善はすべての所得層で見られ、特に世帯月収2100.01~4800.00レアルの層で上昇が際立っています。

 同調査は、主要7州都の2000世帯以上を対象に3月2~22日に行われました。この調査を見る限り、ブラジルの景気は底を打ち、上昇に向かったと思われます。

大臣、議長、議員など98人を捜査開始

 エスタード・デ・サンパウロ紙によると、国営ペトロブラス社を巡る汚職捜査で連邦最高裁判所は連邦検察庁に対し、汚職に関連した76件の捜査開始を許可しました。捜査対象になるのは8人の現職大臣、上下両院議長を含む上院議員24人、下院議員39人の98人に上ります。対象者には3人の知事、政治家など23人と国家会計検査院の検査官1人が含まれています。

 捜査対象の現職大臣はパジーリャ官房長官、モレイラ・フランコ大統領府事務局長、ヌネス外相、カサビ科学技術相、マッジ農相、バルバーリョ国家統合相、ペレイラ産業相です。与党PMDB(民主運動党)党首のジュカー上議、PSDB(社会民主党)党首のネベス上議も含まれています。容疑は贈賄、収賄、資金洗浄、文書偽造が大半で、カルテル形成や入札の不正に関するものもあります。
 捜査開始許可を受け検察庁は、証拠の収集や証人・捜査対象者からの聞き取りなどの手続きを行う見通しです。捜査の終了後、検察が起訴か不起訴の判断をします。検察が起訴し、最高裁が受理した場合、その対象者は最高裁の刑事訴訟被告人になります。

 最高裁で扱われる特権のない元政治家たちについては、下級の裁判所へ送られました。ここには、9人の知事や、元大統領のカルドーゾ氏、ルーラ氏、ジルマ氏が含まれています。テメル大統領関与の疑いも取りざたされていますが、大統領在任中は任期以前の事案では捜査されない特権があるため、今回の捜査対象者には含まれていません。

パラナ州経済使節団が大田区で企業誘致

f:id:ncb:20170414133108j:plain ブラジルの西森ルイス下院議員を団長とする「パラナ州日伯友好経済使節団」(団員17人)が来日、10日、東京・大田区の産業プラザで中小企業経営者を対象にブラジル・ロンドリーナ市への進出を促すセミナーを開きました。セミナーでは西森議員、ベリナッチ・ロンドリーナ市長の二人が講演し、ブラジル進出のメリットを語りました。

 セミナー開催のきっかけは昨年11月、西森議員が訪日し大田区内の中小企業を視察、職人たちの「匠の技」に驚嘆したこと。西森議員は「この技をブラジルに導入し、ブラジル成長の原動力にしたい」と思い関係各方面に働きかけ、セミナー開催にこぎ着けました。

 大田区の説明によると、区内には3500の工場があり、その8割が従業員9人以下の小規模会社。しかし、工場で働く職人一人一人は世界的な技能を持っている。彼らはネットワークで結ばれ、製品を作る場合、ネットワークがフル稼働し、職人が互いの技術を発揮し協力する。「ネットワークを活用することで設計図を手渡されてから3日で製品を作り上げる」と言われるほどとか。

 西森議員が導入したいのは、こうした熟練の技。ベリナッチ市長は「職人が持つハイテクとブラジルの資源が結びつけば、無敵の製品が出来上がる」と、経営者にブラジル進出を促していました。

 写真は西森議員(右)とベリナッチ市長

世界に先駆けジャパンハウス30日に開館

 「日本文化の戦略的海外発信」基地として2015年から建設準備が始められ、ビジネス街の中心パウリスタ大通りに16年から建設中だったサンパウロのジャパンハウス(JH)が先ごろ完成、30日に開館式が行われます。JHは日本文化を広める拠点となる場所で、ここで洗練された日本の生活や様式、芸術、文化、最新技術などが紹介されます。

 開館式の30日には日・ブラジル両国の政府関係者をはじめ、総合プロデューサーの原研哉さん、建築家の隈研吾さんらが出席予定です。一般公開は5月6日から。7日には音楽家の坂本龍一さんがブラジル人音楽家と共演するコンサートも開催されます。サンパウロのJHは建設中のロンドンJH、ロサンゼルスJHに先駆けて開館するもので、サンパウロのJHが世界最初のJHになります。

 サンパウロJHは4月、プレイベントととして日本の芸術作品の展示や花を使ったインスタレーション(空間を使用する現代美術)などを開催しています。開館後は「竹」をテーマにした企画展示を皮切りに様々なイベントを行い、活動が本格的にスタートします。館内には日本食レストランや日本製品の店頭販売、日本語書籍を揃えたメディアルームが設置され、日本の全体像が紹介されます。

大卒の路上生活者が増加

 リオ市役所が調査、発表した「路上生活者への支援及び社会的包摂プラグラム」によると、同市内で路上生活している大学卒業者が2015年から16年にかけて75%も増加、40人から70人になっています。国内メディアが報道しました。

 同市内中心部はもともと路上生活が多い地域です。路上生活者の多くは家賃や交通費の金が無く、仕事場に近い場所の市内中心部路上で寝泊まりするためです。

 オフショア企業で海洋市場の仕事に従事した経験を持つ路上生活者の男性は、「(路上生活している)エンジニアや多国籍企業の元財務管理者、弁護士を知っている。そんな人が路上で暮らしている。もちろんドラッグのせいじゃない。薬物使用者もいるが、(路上生活をするようになった)人の多くは不況が原因だ」と話しています。同氏は、市場を襲った金融危機が彼や大卒の人々を路上での暮らしに追いやったと指摘しました。

 公共保護局と検察庁の建物の脇で客待ちをしながら2年間、路上生活者の様子を見てきたというタクシー運転手は、「彼らの多くは働いている。朝5時半頃からリュックを持って仕事に向かう。私は約2年間それを見てきた。路上生活者の数は徐々に増加してきている。彼らの会話を聞いていると、高い教養を持っている人が多い」。運転手は生活苦で路上生活を強いられているとしています。

不況でもデジタル広告業界は拡大

 ブラジルにおけるデジタル広告への投資は経済危機の最中でも拡大しています。米国のオンライン広告の協議会であるインタラクティブ・アドバタイジング・ビューローのブラジル支部が29日に公表した報告書「デジタル・アドスペンド2017」によると、ブラジルで2016年にデジタル広告へ投資された金額は118億レアル(約4130億円)と、前年に対して26%拡大しました。この結果は同協議会が予想した前年比12%増の104億レアルを大きく上回っています。

 報告書では、ブラジルのデジタル広告投資は17年にも拡大し、16年実績に対して26%増の148億レアルになると予想しています。予想通りなら、ブラジル広告市場における投資額全体の3分の1近くをデジタル広告が占めます。同協議会は、ブラジルの広告市場全体の16年の投資額は440億レアルで、17年には470億レアルに拡大するとしています。

 16年に行われたオンライン広告への投資の媒体別の金額は「検索、クラシファイド三行広告)、価格比較」が57億レアル(全体の48.5%)、「ディスプレイ、ソーシャルメディア」が38億レアル(同32.5%)、「動画」が22億レアル(同19%)でした。